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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、最強の娘たちともっふるで挑むFランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第二十二章 南国編~お米と温泉目当ての観光気分で進んだら、火山信仰の村が前代未聞の緊急事態に⁉~

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【外伝】神崎家VS紅蓮!?宿命のライバル?女性たちの熱きバトル開幕!?

温泉我慢大会という、誰も望んでいなかった激闘を終えた六人は、ようやく休憩所へとたどり着いていた。


全員、まだ少し頬が赤い。

火照った体を床の上で投げ出していると、温泉施設のおばちゃんが木製の盆を重そうに抱えてやって来た。


おばちゃん「お嬢ちゃんたち、温泉上がりには名物の火山ヤギミルクだよ。疲れた体に染みるからねぇ」


目の前に並べられた六本の木製ジョッキ。

ほんのり湯気を立てる真っ白なミルクからは、どこか香ばしい甘い香りが漂っていた。

その濃厚な香りが鼻腔をくすぐるだけで、湯上がりの体にじわりと活力が戻ってくるような気がする。


あんな「わぁ、おいしそう!」


ベアトリス「温泉の後の一杯……最高ですわ!」


みゆ「成分分析。高タンパク、高ミネラル。栄養補給には最適です」


セリナ「……」


そのジョッキを見つめたセリナが、不敵に笑う。


セリナ「ふふっ……」


あんな「……その笑い方、嫌な予感しかしない」


セリナ「今度こそ決着をつけるわ!」


あんな「だから何の決着ですか!?」


リュシア「火山ヤギミルク一気飲み対決!」


ミレイア「負けた方が今日一日、荷物持ちね!」


みゆ「分析。私たちが勝つ確率99.8%です」


ベアトリス「神崎家代表として負けるわけにはいきませんわ!」


あんな「なんでみんな乗り気なのー!?」


全員の目が完全に戦闘モードへと切り替わる。


いつの間にか空気はぴりりと張り詰め、六人は一斉にジョッキを構えた。


「「「せーのっ!」」」


ごくっ、ごくっ、ごくっ――!


一気に流し込まれる火山ヤギミルク。


濃厚でありながら、後味は驚くほどさっぱりとしていて引き際が良い。

あっという間に全員が飲み干した。


「あーーっ!」


「おいしい!」


「最高ですわ!」


セリナ「……私の勝ちね」


あんな「いや、みんな同時だったよ!」


リュシア「私の方がコンマ一秒早かったわ」


みゆ「計測不能。全員ほぼ同時です」


ベアトリス「引き分けですわ!」


誰一人として己の負けを認めず、納得がいかない様子で睨み合う。

その時だった。


「焼きたて火山まんじゅうはいかがー!」


タイミングが良いのか悪いのか、香ばしい匂いが休憩所いっぱいに広がる。

店先には、ふっくらと湯気を立てる丸いまんじゅうがずらりと並んでいた。


セリナ「……!」


あんな「その目はやめて!」


セリナ「第二ラウンドよ!」


あんな「始めないでー!」


リュシア「火山まんじゅう早食い対決!」


ミレイア「もちろん参加ですわ!」


ベアトリス「神崎家の名誉にかけてですわ!」


みゆ「分析。私たちの勝利です」


「「「いただきます!」」」


ぱくっ。


「熱っ!!」


「あふっ!」


「はふっ、はふっ!」


「あチチチチ!」


焼きたての餡は予想以上に熱く、まるで溶岩のようだった。


それでも誰も皿に戻そうとはしない。

涙目になりながら、必死に口を動かし続ける。


セリナ「ま、まだ……負けない……!」


あんな「だから勝負じゃないってば……はふっ!」


ベアトリス「お、おいしいですけれど……熱いですわ!」


ミレイア「はふっ……はふっ……!」


リュシア「水……いえ、まだ我慢……!」


みゆ「分析。全員、正常な判断能力を失っています。勝負の意味はありません」


数分後――。

机の上には、呆れるほどの数の空になった皿が山積みになっていた。


あんな「……もう食べられない」


セリナ「……私も」


リュシア「お腹いっぱい……」


ミレイア「もう夕食はいりませんわ……」


ベアトリス「神崎家代表……無念ですわ……」


みゆ「報告。全員、満腹により戦闘不能です」


長椅子に並んで突っ伏す六人。

全員がお腹を押さえ、指一本動かすのも億劫(おっくう)な様子で完全に沈黙していた。

その様子を見ていたおばちゃんがにこにこと笑う。


おばちゃん「ふふっ。本当に仲良しさんたちだねぇ。」


その言葉に、残された最後の力を振り絞って全員の叫びが重なった。


「「「違いますーーっ!!」」」


カルデア村の温泉。

そこでは今日もまた、誰も頼んでいない奇妙な勝負が繰り広げられていたのであった。


こうして――

泉街の片隅で繰り広げられた少女たちの熱き(?)戦いは、全員の自爆という形で幕を閉じた。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が、

また一歩、騒がしい方向へと進んでいくのだった。

読者の皆様、いつも『パパ、またやらかしてる!』を応援いただき、本当にありがとうございます!


今回は本編の激闘(?)から少し離れて、カルデア村の温泉を舞台にした【外伝】をお届けいたしました。

本編ではいつもパパのやらかしに振り回されている娘たちですが、パパがいないところはいないところで、結局いつも通り(あるいはそれ以上?)本当に賑やかな感じになってしまいました。

誰も頼んでいないのに、なぜか毎回限界突破の勝負に挑んで自爆していく彼女たちの姿を、楽しんでいただけていれば幸いです。


温泉上がりの「火山ヤギミルク」に、熱々の「火山まんじゅう」

カルデア村の名物はどれも一癖ありますが、美味しいのは間違いありません。

……とはいえ、何事も「ほどほど」が一番ですね。


完全に戦闘不能(満腹)になった彼女たちが、この後どうなったかは……。


いよいよ明日朝8時より、本編第二十三章がスタートいたします!

これまでと同様に、いえ、これまで以上に楽しんでいただけたら嬉しいです。


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