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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、最強の娘たちともっふるで挑むFランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第二十二章 南国編~お米と温泉目当ての観光気分で進んだら、火山信仰の村が前代未聞の緊急事態に⁉~

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第180話 え、パパが勇者!? 一級品の土壌なのに作物が全滅危機!? 火山灰の恵みと異常な暑さー!?

ルークたちが村長トーマスから火山信仰の古い伝承を聞いていた、その頃。

村の周辺に広がる広大な農地には、Aランク冒険者パーティ流星のラウル、シェリル、ディオン、そして王立魔術師団のノエルとアルトの姿があった。


ノエル「……わぁ、思ったよりもずっと広い農地なんですね」


ギラギラと照りつける太陽の下、ノエルは手で日差しを遮りながら、目の前に広がる畑を見渡した。


シェリル「ええ。カルデア村は、この南方地域においては農業も非常に盛んな村なんです」


ディオン「……本来ならな」


ディオンが低く、どこか苦い声を漏らす。


ノエル「本来なら……ですか?」


ラウル「まあ、口で説明するより見れば一発で分かるさ。おい、ちょっと近くまで行ってみようぜ」


ラウルは苦笑いを浮かべ、畑のあぜ道へと近づいていく。

ノエルたちがその後に続くと、すぐにその「異変」がはっきりと目に飛び込んできた。


広大な畑に植えられた作物の葉は、どれも青々とした瑞々しさを失い、ぐったりとしおれている。

まだ成長の途中であるはずの若い苗も、大地の熱に当てられたかのように完全に元気がなかった。

誰の目から見ても、明らかに作物の状態は良くなかった。


ノエル「これは……ひどい……」


シェリル「ええ。今年に入ってから急に、作物の育ちが悪くなってしまったそうなんです」


ディオン「村の奴らは、この尋常じゃない暑さが原因だろうと言っている」


ラウル「前回、俺たちが依頼のついでに立ち寄った時は、もっと青々として元気な作物がたくさん実っていたんだがな……」


ノエルは、そんな元気のない畑の中で黙々と作業を続ける村人たちを見つめた。

額や首筋からは絶え間なく大粒の汗が流れ落ち続け、衣服を濃い色に染めている。

それでも手を休めない彼らの表情には、明らかな疲労が出ていた。


ノエル「皆さん、本当に、毎日こんな暑さの中で 大変そうですね……。見ているだけで胸が痛みます」


シェリル「ええ。これだけ枯れてしまっては、当然今年の収穫量も大幅に落ち込んでしまいますから」


ディオン「自給自足が基本のこの村にとっては、まさに死活問題だ」


ラウル「単純に、自分たちが生きるための食い物が減っちまうからな。不安になるのも当然だぜ」


人間が生きるために最も必要な、食。

それが脅かされ、減っていけば、どんなに屈強な者であっても心に深い影を落とすことになる。


アルトは一人、畑の中にしゃがみ込んで土を調べていた。

黒っぽい土をひと掴みほど手に取り、指先でじっくりと擦り合わせながら、魔力の通りや土の湿り気を確認していく。


アルト「……うん? おかしいな……」


ノエル「アルト、何か分かったの?」


アルト「いや。……土自体は、決して悪くないんだ」


ラウル「ほう? そうなのか?」


アルト「ああ。立ち枯れを起こすような病原菌の気配もない。むしろ、驚くほど良い土だ」


ディオン「……聖火山フェルナードの火山灰のおかげだな」


アルト「火山灰?」


アルトの疑問に、シェリルが優しく微笑みながら補足した。


シェリル「はい。この辺りの畑は、大昔から山の噴火によって堆積した火山灰を、独自の技術で混ぜ込んで利用しているんです」


ラウル「いわゆる、山の神様からの恵みってやつだな。この土があるから、この暑い土地でも上質な作物がたくさん採れるんだとよ」


アルトは立ち上がり、パンパンと手を払いながら周囲を見回した。

赤茶けた荒々しい大地。その過酷な環境の中で、奇跡のように広がる黒い畑。


アルト「なるほど……。魔力伝導率を見ても、土壌自体は非常に良好、むしろ一級品と言っていい」


ノエル「土が良いのに育たない……。じゃあ、作物が枯れてしまう本当の原因は……」


アルト「間違いない、この異常な気温だろうな。土壌の栄養を吸い上げる前に、植物自体の水分が熱で蒸発してしまっているんだ」


ディオン「俺もそう思う。いくら火山灰の恵みがあっても、限度を超えている」


シェリル「そうですね。地元の方々でさえ、ここまで過酷な暑さの年は聞いたことがないと仰っていました」


ラウル「南方は元々暑い場所だが、それでも物事には限度ってのがあるからな」


その時だった。

世話をしていた村人たちが、ラウルたちの衣服の紋章に気づいて声を掛けてきた。


村人A「……もしや、王都から来てくださったという、調査隊の方々ですかな?」


ノエル「はい! 王立魔術師団のノエルです!」


村人B「おお、本当に来てくれたのか……! ありがてぇ、助かりますだ……」


泥に汚れた手を握りしめ、村人は切なげに自分たちの畑を見渡した。


村人A「この土地は昔から、あの山の恵みのおかげで豊かに生きてきました。こんな恐ろしい状態になるなんて、生まれて初めてですじゃ……」


村人たちの悲痛な訴えに、ラウルたちの表情も自然と真剣なものへと変わっていく。


村人A「このまま暑さが続けば、収穫がさらに減ってしまう。冬を越せるかどうかも分からん……」


ノエル「必ず、私たちが原因を調べます! 少しでも皆さんの力になれるよう、全力を尽くしますから!」


ノエルの力強い言葉に、村人たちは救われたように何度も頭を下げた。


村人A「ありがとうございます……! よろしくお願いしますだ……」


村人たちが作業に戻った後、アルトは畑の広がりを見つめながら腕を組んだ。


アルト「土壌は異常なし。水不足でもない。となると、やはり元凶はこの異常な気温か」


シェリル「村長さんも仰っていましたね。温泉も、最近になって急に熱くなっているそうですし……」


ディオン「さらに、俺たちが道中で遭遇した、魔物たちの活発化と統率行動……」


ラウル「……なあ。これ、全部どっかで一つに繋がってる気がしねぇか?」


ノエル「はい。私も、まったく同じことを思っていました」


カルデア村で起きている、一見バラバラに見える異変の数々。

それは、村人たちの命の綱である農業の現場にも、確実に、そして深刻な影響を及ぼし始めていた。


こうして──

調査隊は、火山の偉大な恵みに支えられてきたカルデア村の、あまりにも厳しい現状を目の当たりにした。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?) は、

大自然がもたらす異常な暑さは、容赦なく、

少しずつ村人たちの平穏な暮らしを脅かし始めていたのだった。

山の異変で設定温度が激上がりしたカルデア村の温泉。

突如として勃発した謎の女湯温泉我慢大会。


王都Bランクのプライドをかけた紅蓮の輪の挑発に神崎家の負けず嫌いメーターも急上昇。

壁の向こうで娘たちが文字通り命がけの死闘(?)を繰り広げる!


そんな限界突破の熱戦が展開される中、男湯でもっふると一緒に極楽気分で気持ちいいなー!と朝風呂を満喫するパパのダメさが今回も大炸裂。


次回、第181話 え、パパが勇者!? 壁の向こうで娘たちが命がけの死闘を繰り広げている最中にもっふると極楽気分で朝風呂を満喫する私欲百パーセントの無自覚パパー!?


湯煙の向こうで加速する乙女のプライドをかけた大熱戦、一体どうなっちゃうの――!?

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