第167話 え,パパが勇者!? 暴走するパパ&みゆ&ベアトリスの三大食いしん坊をあんなが全力でツッコミまくる神崎家の爆笑日常!?
王都冒険者ギルド。
いつもと変わらず、多くの冒険者たちが集まり、賑やかな活気に満ちていた。
そんな中、いつもの席に座っている神崎家の周囲だけは、どこか気の抜けた空気が漂っている。
あんな「パパ、まだ言ってるの。さっきからずっとそればっかりだよ」
ベアトリス「お姉さま、お米も大変魅力的ですが、南方の名物であるお肉の串焼きも非常に気になりますわ! じっくりと炙られたジューシーなお肉……想像しただけで胸が高鳴りますわ!」
みゆ「肯定。未知の土地における、独自の食文化調査。非常に興味深いデータが得られると推測されます」
あんな「ちょっと二人とも、パパに便乗しないでよ。食べ物の依頼なんてギルド案件にないと思うよ」
ギルドの受付カウンターから歩いてきたリーナが、会話に加わった。
リーナ「あれ、亮さんたち、南に行くのですか?」
亮「いや、まだ決めてないんだけどね。ちょっとそんな噂を耳にしたからさ」
リーナ「ええーっ、亮さんたちがいなくなると、ギルドが急に静かになって寂しくなりますよ……」
亮「そう? じゃあ、行くのやめて王都にいようか」
リーナ「本当ですか!?」
あんな「ちょっとパパ、リーナさんを惑わせないでね。それに、最近の噂だと南の方は魔物が増えたみたいだし、普通に考えて危険だよね」
みゆ「データ補足。南方の気温上昇に伴い、虫系魔物の目撃数も増加傾向にあります。個人的に、虫が増えているのは非常に嫌です」
ベアトリス「お任せくださいですわ!不届きな虫どもなど、我が火魔法で一網打尽、丸焼きですわ!」
あんな「ベアトリスちゃん、ギルドの中で物騒な物言いをするのはやめようね!?」
もっふる「ピィー♪」
亮「うーん、でもやっぱり、お米の情報は気になるんだよなぁ……」
リーナ「ははは……。皆さん大変な任務の話をしているかと思えば、まずそこなのですね……」
あんな「パパ。ほら、リーナさんも困っているでしょ」
リーナ「あ、すみません! ですが、その米とかいう食料のことは私の専門外なので、お力になれなくてすみません」
亮「そうか……。リーナさんが知らないなら、やっぱり現地に行くしかないのかな」
あんな「だから食料調査のために遠征するんじゃないってば!リーナさんも謝らないでください」
みゆ「分析結果報告。リーナさん、驚くには値しません。国家の情勢よりも胃袋の欲求が勝る、これが通常運転のパパですから」
亮「だって、お米は家族のソウルフードだろ?」
あんな「それは……確かにそうかもだけど……」
みゆ「白米。いいよね。ツヤツヤのご飯、想像しただけで幸福度が上昇します」
ベアトリス「わたくしも、お腹いっぱい食べてみたいですわ!」
あんな「もう、この人たちは食べ物しか見えてないじゃない!!」
もっふる「ピィー♪」
もっふるが呆れるあんなの顔を見上げて楽しげに鳴き、神崎家のテーブルはいつもの賑やかな笑いに包まれる。
その微笑ましいやり取りを、ギルドの奥の壁に背を預けたガリオスが、腕を組んだまま黙って見ていた。
その視線は鋭く、何か深い思惑を秘めているようでもあった。
南方火山地帯。
そこに眠る、世界の理を覆すほどの強大な存在が、やがて王国全体を激しく揺るがすことになるのを、この時の彼らはまだ誰も知る由もなかった。
――そして、その空のさらに深く。
女神は、穏やかな微笑みを浮かべていた。
「ふふ……」
天上から見守るその瞳には、相変わらず無自覚なまま、王都の日常にこれ以上ないほど温かく溶け込んでいるあの家族の姿が映っていました。
かつては“特別な存在”として遠巻きにされていたあの勇者が、今では市場の頑固な職人たちと居酒屋のようなノリで笑い合い、おっさん空間に完全同期しているのですから、本当におかしなものです。
娘たちもまた、その鋭すぎる経済感覚と愛らしさで地元の主婦層に大絶賛され、ギルドでは親衛隊まで引き連れて、すっかり街の人気者。
最強の力を持ちながら、最弱の称号を何よりも喜んで受け入れるあの家族の歩みは、王宮の上層部が「国家の魔術体系を根底から書き換えた」とどれほど神格化を進めようとも、決して揺らぐことはありません。
魔術師団長が深刻な魔力の乱れを大警戒する裏で、「火力が強ければお湯が早く沸いて便利」と言い放ってしまう、そんなパパの斜め上の食欲センサー。
でも、それこそが愛おしいのです。
彼らは使命感ではなく、純粋な気持ちで、ただ幸せを分かち合い歩んでいるのですから。
世界に忍び寄る不穏な揺らぎ、世界の歯車を無理やり狂わせるかのような南方火山地帯の異変すら、お米とお肉の誘惑という、彼らの底抜けた食欲の前にあっては、賑やかな旅のきっかけに過ぎないのかもしれません。
ただ大切な人を守り、生きて全員で家に帰る。
その純粋な想いこそが、世界で最も強く、そして優しい魔法なのかもしれませんね。
さて……次はどんな日々を紡ぐのでしょう。
光が揺れ、風がそっと雲を押し流していきます。
その微笑みは、どこまでも優しかった。
こうして――
神崎家の前へ、南方火山地帯への正式依頼が持ち込まれた。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は、
南方の熱き大地へ向けて、ゆっくりと新たな一歩を踏み出そうとしていた。
【第20章「始動編」を終えて】
王都の市場でのんびり食べ歩きを満喫するはずが、行く先々で周囲を巻き込み大騒ぎとなった第20章、読了への温かい応援を本当にありがとうございました!
あんなとみゆの鋭すぎる野菜品定めが地元の主婦層を大絶賛させ、亮の前世の知識とおっさんホイホイ能力が職人たちと完全同期する中、周囲の神格化は勝手にクジラ級へと巨大化。
魔術師団長が深刻な魔力の乱れを警戒する裏で「火力が強ければお湯が早く沸いて便利」と言い放つパパの無自覚っぷりは相変わらずですが、ギルド長ガリオスから国を揺るがす特級危険地帯「南方火山地帯」への正式調査を命じられ、物語はいよいよ緊迫の度合いを高めていきます。
世界の歯車を狂わせる火の異変が忍び寄る中、神崎家を待ち受けるのは未知の土地か、それともパパの米欲が引き寄せる新たなる大暴走か?
南方の熱き大地へ向けて、家族のドタバタな旅の次章へ期待が高まります!
亮「いやぁ、20章の市場巡りは本当に楽しかったなぁ! 職人のみんなと居酒屋ノリで語り合えて、パパはなんだか勇者ポイントがまた一つ上がった気がするぞ! この調子で次の章も突っ走るから、みんなも星(評価)をポチッと押して、俺と一緒に美味いお米探しの旅へ進もうな!」
あんな「パパ、ゼーマンさんにゼロ距離で強襲されてパニックになってたくせに、よく言うよ! でも、南の方にお米があるかもしれないって聞いたら、私もちょっとワクワクしてきちゃった。読者のみんな、特級危険地帯でも私たちのドタバタな旅を一緒に歩んでほしいな。ブックマーク登録、よろしくね!」
みゆ「観測データを報告。南方火山地帯の活性化に伴い、世界のバランスに深刻な狂いが生じている可能性を検出しました。ですがそれ以上に、お米とお肉を前にしたパパの食欲暴走によるフラグ炸裂が最大値に達すると予測。重大なトラブルを未然に防ぐためにも、読者の皆様の『評価』という名の強力なバリア展開をよろしくお願いいたします」
ベアトリス「王都大商人のゼーマン殿にも引けを取らないお姉さまの経済感覚、そしてパパの惹きつけるお姿、今回も最高に痺れましたわ! 次なる南方の旅でも、このベアトリスが炎のやらかし……ではなく、皆様をあっと驚かせる大活躍をお見せしますわ! 皆様、ぜひ変わらぬ熱い応援をお願いいたしますわ!」
もっふる「ピィー♪」




