第164話 え、パパが勇者!? 暴走寸前のパパの米欲をみゆが冷静にデータ分析してあんなが鋭く突っ込む、最強姉妹の日常連携!?
受付前では、職員達が依頼書を整理している。
「南方街道の護衛依頼、追加です!」
「フレイムウルフ討伐も増えてます!」
「あっちの掲示板空けろ!」
ギルド内にはいつも以上のざわめきが満ちており、集まった冒険者たちも不安げに意見を交わしている。
冒険者A「おい聞いたか? 最近、南の方の地域だけ妙に異常な暑さらしいぞ 」
冒険者B「ああ、南部の火山地帯が急に活性化し始めたんじゃねぇかって噂もあるな 」
掲示板へ新しい依頼書が貼られていく。
冒険者C 「また南か……」
冒険者D「最近多くねぇか?」
ギルド職員「本当にここ数日で一気に受注数が増えていまして」
そんな活気と緊張感が入り混じる中、亮たちは依頼掲示板の前に並んで立っていた
亮 「おー、いっぱい増えてるな!」
あんな「ほんと、見事に南の方面の依頼ばっかりだね。これ、ちょっと普通じゃないかも」
ベアトリス「すべて討伐や護衛の依頼ですわ!やはり不穏な空気が漂っていますわ!」
みゆ「……完全にデータが偏っている。特定の属性要因を検出」
掲示板には、同じような依頼が並んでいた。
ファイアスライムの異常繁殖調査及び討伐
バーニングラビットの群れ討伐
フレイムウルフの群れ出現に伴う討伐
フレイムアントの巣の調査及び討伐
冒険者たちが話しているのを聞いていると、
「南の街道、最近暑いらしいぞ」
「火山地帯の近くはもっと酷いとか」
「商隊の護衛も増えてるらしい」
亮「暖かいと元気なんだな!」
冒険者「元気で済む問題かよ」
あんな「依頼の中に、フレイムアントってあるけど……これってまさか」
みゆ「虫です。それも火を纏った巨大な蟻の集団と推測 」
ベアトリス「虫ですわ! まあ、わたくしの火魔法で一網打尽にして差し上げたいですわ!」
もっふる「ピィー!」
その時。
ギルド奥の扉が開いた。
ガリオス「騒がしいな」
王都冒険者ギルド長。
ガリオスの登場で、空気が少し締まる。
冒険者たちが軽く頭を下げた。
ガリオスは掲示板を見て眉をひそめる。
ガリオス「いくら何でも、南方からの依頼が増えすぎだな 」
リーナ「はい。特にフレイムウルフ関連の凶暴化と、それに伴う被害報告が急増しています」
ガリオス「火山地帯周辺は元々火の魔物が多い場所だが、今回のこの連鎖的な活性化は妙だ。何か根底にある流れが変わったかのような 」
みゆは静かにガリオスを見る。
みゆ「周囲の環境魔力における、火属性魔力の異常な濃度上昇」
ガリオス「断定はできん。だが、南方一帯の広範囲で同じような報告が同時に増えているのは事実だ」
あんな「王都はまだ大丈夫なんですか?」
ガリオス 「今のところはな。王都周辺は少し活発程度だ」
だが、その言葉とは裏腹に、ガリオスの表情は険しかった。
南方。
火山地帯。
火属性魔物の異常な活性化。
少しずつ一本の線として繋がり始めている。
亮「南って米があると言っていたよね」
あんな「その怪しい話ほんとなの?」
みゆ「港町ベーゼの老人が言っていましたが、情報としては噂程度です」
亮「米ありそうじゃん」
隣の掲示板を見ていた見知らぬ冒険者が、ふと会話に口を挟んできた。
冒険者「ん? お前ら、今『米』って言ったか? 確かそれ、俺も南の行商人から聞いたことがあるぞ」
亮「マジで!?」
一気に目が輝く。
冒険者「確か、白い小さな粒だよな」
亮「行きたい!!俺、今すぐ南へ行きたい! 」
あんな「ちょっとパパ! その突発的な即決行動、今までの経験上、嫌な予感しかしないんだけど」
みゆ「現段階では不確定情報多数。ですが、パパのモチベーションが最高値に達したため、静止は困難と判断します」
ベアトリス「新たなる旅の始まりですわ! 素晴らしいですわ! 」
もっふる「ピィー♪」
神崎家特有の和やかな笑い声が広がっていった。
周囲の冒険者たちも「またあの家族が始まった」とばかりに肩の力を抜いて微笑んでいる。
だがその一方で、
南方から届く依頼書は、今も少しずつ増え続けていた。
こうして――
王都では、南方の異変が静かに問題視され始めていた。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は、
記録院で、過去の異変記録発見ー!?
王都を揺るがす深刻な魔力の乱れが発生!?
魔術師団長・マルティナさえも大警戒する不穏な異変が始まっているというのに、Fランクパパは「お湯が早く沸いて便利」と究極の天然発言を炸裂させてしまい……。
次回、第165話 え、パパが勇者!? 魔術師団長が深刻な魔力の乱れを大警戒する裏で『火力が強ければお湯が早く沸いて便利』と言い放つパパ!?
静かに、しかし確実に忍び寄る王都崩壊の危機(?)すら、神崎家流の超ポジティブ思考で完全スルーしちゃうー。




