第132話 え、パパが勇者!? 騎士団も驚愕の「美人三姉妹」お披露目ー!? 娘自慢が止まらない親バカパパと、門の影で一家を狙う不穏な瞳ー!?
第十七章、始まります!
港町ベーゼでの騒動を解決し、ついに王国の心臓部・王都へと帰還した神崎家一行。
「今度こそ、お米を探しながらのんびりスローライフを」と願うパパですが、運命の女神(と娘たちのツッコミ)はそれを許してくれません。
王都に足を踏み入れた瞬間、待ち受けていたのは国家の重鎮たちによる超厳戒態勢の「過剰接待」!?
世界の消失というシリアスな謎を前に、思考停止して「お腹が空いた」と宣うパパの鋼鉄メンタルが、今回もあらぬ方向へと事態を加速させていきます。
最強の娘たちが騎士団を心酔させ、パパが無自覚な「壁ドン(物理)」で伝説を創り上げる、波乱万丈の王都再会編。
家族の絆とやらかしのインフレが止まらない神崎家の日常を、今回も楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!
港町ベーゼを後にした神崎家一行の進む街道は、いつもと変わらない穏やかな静けさに包まれていた。
そよ風が道端の草を揺らし、遠くで鳥のさえずりが小さく響く。
あんな「避暑地みたいにのんびりできるかと思ったら、あわただしかったね!」
あんなが明るい声で港町ベーゼを振り返る。
みゆ「不思議な森、クラーケン、巨大カニ、海底王国、そして街ごと消える現象……。これらすべてに遭遇する確率は、隕石が三日連続で庭に落ちるより低確率です 」
あんな「ほんと、異常なほどの確率でイベントに遭遇しているね」
亮「まあーお米が南にあると分かっただけでも良しとしよう」
あんな「その情報、どこまで信じられるの?」
亮「釣りは楽しめたし、イカにカニにと、海鮮パーティーは最高に美味しかっただろ? これ以上ないくらい順風満帆な旅だったじゃないか」
亮が屈託なく笑うと、あんなも元気をもらったように笑った。
あんな「……もう、さすがはパパ」
みゆ「パパの思考は、極めて楽観的です」
ベアトリス「素晴らしいですわー!」
もっふる「ピィー♪」
一行が賑やかにしばらく行くと、道の先に二騎の騎影が見えてきた。
馬上の二人は、寸分の乱れもない整った姿勢で、まっすぐこちらを見据えている。
亮「……あれ、ルークとカイルじゃないか?」
あんな「ほんとだ……なんでこんな所にいるの?」
みゆ「待機状態。偶然ではありません」
ベアトリス「お迎えですわ!」
もっふる「ピィー」
近づくと、二人の騎士は一歩前に出た。
ルーク「神崎家の皆様……お待ちしておりました」
カイル「ベーゼでのご活躍、聞き及んでおります。今日はお迎えに参りました」
亮「ルーク、カイル! 久しぶりだな。わざわざこんな所までありがとう」
亮がいつもの調子で軽く手を上げる。
本来ならもっと砕けたやり取りになる相手だが、今日の二人は「仕事モード」の引き締まった表情を崩さない。
ルーク「本日はご同行をお願いしたく参りました」
あんな「……同行?」
カイル「詳細は王都にてご説明いたします」
みゆ「説明の省略。優先度の高さがうかがえます」
亮「なんか固くない?」
ベアトリス「お仕事モードですわ!」
もっふる「ピィー」
すると、ルークの表情がふっと和らいだ。
ルーク「仕事はここまでで、ここからは久しぶりの再会といきましょう」
カイル「会えるのを楽しみにしていましたよ。亮さんたちが王都に来るというので、志願したんです」
亮「志願? 出迎えの?」
ルーク「そうです。ベーゼからの書簡が届き、亮さんが来ると聞いて、居ても立っても居られなくて」
亮「そういうことか」
あんな「ちょっとびっくりさせないでよ! またパパが何かやらかしたのかと思いましたよ」
みゆ「定番のパパなら、やらかしです」
ベアトリス「騎士団の方と知り合いなんですの? さすがはパパですわ! わたくし、一度お手合わせしたいですわ!」
ルーク「亮さん、この方は……? 確か、グラーディオ卿のご令嬢では?」
亮「ルークとカイルは初めてだったか。娘のベアトリスだ」
ベアトリス「ベアトリスですわ。よろしくお願いしますわ!」
ルーク「よろしくお願いします……」
カイル「……娘? 養女でももらったのですか?」
亮「美人だろー。神崎家美人三姉妹だ」
あんな「いや、パパ。説明になってないから!」
あんなが事の詳細を話すと、騎士たちは感心したように頷いた。
ルーク「……なるほど、亮さんの魅力は領主様の娘君まで虜にしましたか 」
カイル「そういうことでしたら、尚更お手合わせしたいですな」
ベアトリス「よろしくお願いしますわ」
もっふる「ピィー♪」
そんな話をしながら進んでいくと、やがて王都の巨大な城壁が見えてきた。
亮「王都かー。みんなに会えるの楽しみだなー!」
あんな「過剰接待は勘弁だけどね」
みゆ「それは拒否です」
ベアトリス「楽しみですわ!」
もっふる「ピィー♪」
カイル「一足先に報告へ戻ります。亮さん、今夜は王都で一番の酒場を予約しておきますよ!」
亮「お、頼むよ。みんなで乾杯しよう!」
カイルが爽やかに駆け抜けていく姿を、家族みんなで並んで見送る。
亮「おー、なんかカッコいい」
あんな「騎士だよね」
みゆ「訓練のたまものです」
ベアトリス「最高ですわ!」
もっふる「ピィー♪」
門をくぐろうとしたその時、亮はふと、カイルが去っていった方向とは別の、城壁の影に視線を止めた。
亮「……? 今、誰かいたような」
あんな「え、パパ何? 早く行こうよ、ルークさんたちが待ってるんだから」
亮「あ、ああ……そうだな。気のせいか」
亮は首を傾げながらも、賑やかな家族の輪に戻る。
……しかし、門の影で見つめていた「瞳」の正体に、亮たちはまだ気づいていなかった。
こうして――
信頼する騎士たちの先導により、一家は再び中央の舞台へと返り咲く。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は、
活気に満ちた王都の門へと吸い込まれていくのだった。
王国騎士団、魔術師団、さらには皇女様まで緊急集結!?
国家の中枢に放り込まれた神崎家に、かつてない重圧がのしかかる!
「世界の消失」という禁忌の謎を前に、重鎮たちの間で飛び交う過激な議論!
そんな絶体絶命の緊張感の中、ただ一人「お腹が空いた」
と脳内フリーズを起こすパパの鋼鉄メンタルが炸裂する!?
次回、第133話 え、パパが勇者!? 王宮重鎮が緊急集結で絶体絶命ー!? 世界消滅の謎を前にパパが思考停止で大混乱ー!?
国家予算級の難題も「飯」で解決!?
緊張の糸が切れたその先に、さらなる“違和感”が牙を剥く――!




