表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、娘2人ともっふるで挑む最強Fランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第十六章 忘却編 〜命がけの世界救済が完全スルー!? 孤独な戦いを「いつもの笑顔」で塗り替える最強パパの器ー!?〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

143/144

外伝 え、パパが勇者!? 釣竿一本で海神クラスを一本釣り!? 物理法則無視の「食欲チート」で、伝説の主を晩御飯にしちゃうんですかー!?

港町ベーゼの朝。

潮の香りが心地よく鼻をくすぐり、穏やかな波の音が響く。

きらきらと光る水面は、まさに平和そのもの――のはずだった。


亮「よし、今日は釣りだ! 伝説の大物を釣り上げるぞ!」


あんな「いきなり!? 何かと思えば……朝から気合入りすぎでしょ」


亮は自慢の(といっても安物の)釣竿を肩に担ぎ、鼻歌まじりに波止場へ向かう。


みゆ「定番のパパの突発的言動。ですが、現在の天候、波の高さ共に釣りには最適です。データ的にも肯定します」


ベアトリス「釣りですわ! わたくしが豪華な晩餐になるような大物を仕留めてみせますわ!」


もっふる「ピィー♪」


亮「せっかくの港町なんだからな。やらない手はないだろ。スローライフの基本は現地調達だ!」


あんな「まぁ、それはそうだけど……パパがやると、ただの『のんびり』じゃ済まない気がするのよね……」


不安を隠せないあんなを余所に、一行は堤防にズラリと並んだ。

亮が勢いよく竿を振ると、ぽちゃんと小気味よい音を立てて仕掛けが海に沈んでいく。

静寂。

ただ、波の音だけが聞こえる贅沢な時間。


ベアトリス「……静かですわ。精神修養のようですわ」


みゆ「釣りは待機時間が主となる行動。忍耐力が試されます」


あんな「……これ、地味すぎない? 私、もう飽きてきちゃったんだけど」


亮「まぁ、そんなもんだろ。この『何もない』を楽しむのが大人の余裕――」


のんびりとした時間が流れ、足元ではもっふるが丸くなって寝息を立て始めた。

あんなも「可愛い……」と毒気を抜かれていた。

その時だった。


ぴくっ。


亮「ん?」


海面に浮かぶ浮きが、不自然に揺れた。

ぴく、ぴく、と刻むような予兆。


みゆ「生体反応、確認。針にかかりました」


ベアトリス「きましたわ! パパ、早く!」


あんな「ちょ、ちょっと早くない!?」


次の瞬間。


ぐんっ!!!


亮「うおっ!? ちょっ、待て待て待て!!」


亮の手元で、竿が一気に円を描いて引き込まれる。


亮「なっ……!? 重っ!! なんだこれ、根掛かりか!?」


ギギギギギ……!!


竿が悲鳴を上げ、糸が極限まで引き絞られる。

とても魚とは思えない暴力的な引きだ。


あんな「ちょ、パパ!? 竿が折れる! これ本当に魚なの!?」


みゆ「計測不能。張力、異常値。この引き、通常の海生生物のデータを超えています」


ベアトリス「間違いなく大物ですわ!! 踏ん張ってくださいですわ!」


もっふる「ピィー!?」


もっふるがびっくりして飛び起き、亮の足元を回る。


亮「うわっ、持ってかれる!! 身体が……!」


ぐいっ!!


亮の身体が強引に前方へ引きずられ、堤防の端へと追いやられる。


あんな「落ちる落ちる落ちる!! パパ、離しなさいよ!」


みゆ「補助に入ります。パパの質量を固定」


みゆががしっと亮の腰にしがみつき、アンカーとなって地面を固める。


ベアトリス「わたくしもですわ! 海には渡しませんわ!」


左右から娘たちが支え、亮はようやく踏みとどまった。


亮「助かる!! でもこれヤバいぞ、力が全然落ちねぇ!!」


ばしゃあああっ!!


突如、数メートル先の海面が爆発した。

水しぶきの中から、一瞬だけ巨大な銀色の影が跳ね、凄まじい轟音と共に再び沈む。


挿絵(By みてみん)


あんな「でっか!? なにあれ、クジラ!? でかすぎでしょ!?」


みゆ「通常個体の範囲外。変異種、もしくはぬしクラスの個体と推測」


ベアトリス「最高ですわ! これは騎士の誇りにかけて燃えますわ!」


もっふる「ピィィーーー!!」


亮「全然弱まらねぇ!! 腕が抜けそうだ……!」


ぐぐぐぐぐ……!!


完全に人間と魚の綱引き状態。

亮の足元がズルズルと前に滑り、堤防の石畳が軋む。


あんな「ちょっとこれ無理じゃない!? 竿を捨てて逃げようよ!」


亮「いや、いける!! 晩飯のおかずを逃がすわけにはいかねぇ!!」


あんな「根拠が食欲なの!? 無茶苦茶だよ!!」


みゆ「……物理的な限界を突破するため、力の分散を提案。全員で同時に引き上げます」


亮「どうすればいい!?」


みゆ「私の合図に合わせて、パパの背後から全員で引いてください。パパの筋力に私たちの体重を上乗せします」


ベアトリス「了解ですわ! 筋肉の連動、開始しますわ!」


もっふる「ピィッ!!」


あんな「え、私も!? ちょっと、絶対ドボンする未来しか見えないんだけど!!」


亮「当たり前だろ! 家族だろ!!」


あんな「だよねぇ!! もう、やけくそよ!!」


家族がつながり、亮の背中を全力で支える。

次の瞬間――。


ぐわあああああっ!!


魚が最後の抵抗とばかりに暴れ、巻き上げられた波が雨のように全員に降りかかる。


あんな「うわぁあああ! 冷たい! しょっぱい! もう最悪!!」


ベアトリス「負けませんわーー!! これしきの水、聖水も同然ですわーー!!」


もっふる「ピィィィィィーーー!!」


みゆ「……次で決めます。重心移動、用意。タイミングを合わせてください」


亮「いくぞ!! お前ら、パパに続け!!」


全員、歯を食いしばり、足に力を込める。


亮「せーのっ!!」


ぐんっ!!!


……びくともしない。


あんな「無理ぃぃぃ!! 腕がもげる!!」


亮「もう一回だ! 諦めるな、この先に美味しい煮付けが待ってるぞ!!」


みゆ「再試行。エネルギー効率最大化」


ベアトリス「次こそですわ! わたくしの魔力も乗せますわ!」


亮「せーーーのっ!!」


ぐあああああああっ!!


家族全員の叫びが一つになった瞬間。


――バキッ。


あんな「え、今なんか物理的にヤバい音しなかった!? 堤防壊れた!?」


亮「気にすんな!! 大丈夫だ!!」


みゆ「構造限界に到達。対象の慣性がこちらに向きました!」


ベアトリス「押し切りますわ!!」



亮「これで決めるぞ!! 全員、踏ん張れぇぇぇ!!」


亮が身体を大きく反らし、家族の力を一点に集約して引き上げる。


亮「せぇぇぇーーーのぉぉぉ!!」


――ドォンッ!!


ばしゃあああああっ!!!


爆音と共に、海面からビルの一室ほどもある巨大な魚が空中へ弾き上がった。

銀色の巨躯が宙を舞い、重力に従って――。


ズドォンッ!!!


堤防が大きく揺れ、砂埃が舞う。そこには、ピチピチと跳ねる(というより地響きを立てる)巨大な戦利品が横たわっていた。


あんな「うわぁぁぁぁ!? 死ぬかと思った……」


ベアトリス「やりましたわーーー!! 勝利の雄叫びを上げましょう!」


みゆ「捕獲、成功。……ですが、これは解体に相当な時間を要します」


もっふる「ピィ……」


もっふるは精根尽き果てたのか、その場にへたり込んでいる。


亮「はぁ……はぁ……。どうだ、見たか……俺たち家族の勝利だ……」


亮は息を整えながら、目の前の規格外な魚を見上げる。


あんな「……ねぇ、パパ。これ、本当に魚? また、どっかの海神様とかじゃないの?」


亮「魚だろ。ほら、ヒレがあるし。……多分」


あんな「多分って言った!? 絶対なんかの神様でしょこれ!」


亮「大丈夫だよー。心配性だなー」


ベアトリス「素晴らしいですわ! さすがはパパ、歴史に残る一戦でしたわ!」


みゆ「保存魔法を多重展開します。鮮度が落ちる前に、調理工程の策定に入ります」


もっふる「ピィー……」


もっふるがようやく復活し、魚の周りをクンクンと嗅ぎ回る。


亮「よし!」


さっきまでの死闘が嘘のように、亮はあっさりと立ち上がった。


亮「食うか。おかみさんに頼んで、全部料理してもらおうぜ!」


あんな「そこだけはブレないんだから!! 誰がこれ運ぶのよ、パパが担ぎなさいよ!」


ベアトリス「お祝いですわ! 宴ですわ!」


みゆ「運搬の最適化、計算中」


もっふる「ピィッ!」


亮「おう、任せろ! よーし、帰るぞー!」


あんな「そのテンションで街歩くの!? 恥ずかしいんだけど!!」


笑いながら、亮は自分よりも大きな魚をひょいと担ぎ上げた。


こうして――

港町ベーゼでのんびり釣るはずだった休日は、大物との命がけのバトルへと変貌を遂げた。 けれど、家族全員で力を合わせて勝ち取った戦利品を抱えて帰るその姿は、いつも通りの「神崎家」そのものだった。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)、

その大宴会は、港町ベーゼの歴史に刻まれる“伝説の夜”となるのだった。


【外伝「一本釣り」を終えて】


外伝をお読みいただきありがとうございます


外伝の一本釣り!

世界の綻びなどお構いなしに、家族全員で力を合わせて「今日のごちそう」を勝ち取る姿。これこそが、どんな忘却の理にも負けない神崎家の「生きた証」なのだと思います。


次回、『ぱぱやら!』

舞台は再び、花の都へ!

明日朝8時、本編第十七章スタートとなります。


亮「いやぁ、あの巨大魚との格闘、腕はもげそうだったけど、最後の一口まで最高に美味かったな! この勢いで、王都のお米も一本釣りしちゃうぞ!」


あんな「パパ、お米は釣るものじゃないから! ……でも、あの巨大魚を家族みんなで釣り上げた時の手応え、私も忘れないよ。王都でも、この調子でいこうね!」


みゆ「……肯定。外伝における家族の協力係数は最大値を記録。これより、王都への最短ルートおよび、お米の確保シミュレーションを開始します」


ベアトリス「わたくし、あの魚を釣り上げた時の衝撃で、騎士としてまた一皮剥けた気がいたしますわ! 王都の皆様にも、この勇姿をお見せしたいですわ!」


もっふる「ピィ、ピィ……!」


明日朝8時、またお会いしましょう!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ