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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、娘2人ともっふるで挑む最強Fランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第十六章 忘却編 〜命がけの世界救済が完全スルー!? 孤独な戦いを「いつもの笑顔」で塗り替える最強パパの器ー!?〜

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第130話 え、パパが勇者!? 証拠ゼロのホラ話を「信頼」だけで真実(公式)に書き換え!? 地方領主の手に負えないパパのやらかし、ついに中央政府へ直通ですかー!?

港町ベーゼの冒険者ギルド。

扉を開けた瞬間に飛び込んでくるのは、いつも通りの活気とざわめきだった。

依頼掲示板の前には屈強な冒険者たちが人だかりを作り、報酬や魔物の情報を巡って声を張り上げている。

――どこを見渡しても、何一つ変わっていない。


亮「よし、一応ケジメとして報告すっか」


亮は軽い足取りで受付カウンターへ向かう。


受付嬢「いらっしゃいませ。神崎さん、本日のご用件は? 依頼ですか?」


亮「いや、ちょっと特殊な報告があってさ」


受付の女性は、亮の話を聞き終えると、困り果てた顔で眉をひそめた。


受付嬢「ええと……亮さん。つまり、『世界が灰色になって、人々が消えかけて、黒い影のような管理者と戦った』……と?」


亮「そうそう。大変だったんだぞ、な」


あんな「パパ、その言い方だと絶対頭おかしい人だと思われるから!」


案の定、周囲の冒険者からは


「亮さんのホラ話か?」


「昨日は飲みすぎたんじゃないか?」


とクスクス笑いが漏れる。

証拠もなければ、自分たち以外に記憶もないのだ。

門前払いも時間の問題――。


バルトス「……その話、部屋で詳しく聞かせてもらおうか」


奥から現れたのは、ギルド長のバルトスである。

部屋に入ると、そこにはこの街の領主ベルンの姿もあった。


ベルン「別件で来ていたのだが、街の英雄たちが信じられない話をしているのでな、バルトスに呼びに行かせた」


あんな&みゆ「お忙しいところ、お時間をいただきありがとうございます」


ベアトリス「ありがとうございますですわ」


ベルン「相変わらず、神崎のところは礼儀正しい娘たちだな。教育がいいのか、反面教師なのか……」


亮「ははは、領主様も分かってますね。美人だし、人気者で強い。自慢の娘たちなんですよー?」


あんな「パパ、親バカはほどほどにして。……領主様、本題に入らせてください」


みゆ「感情論を排し、事実関係のみを簡潔に報告します」


みゆが、いつもの冷静な口調で説明を始めた。

・街全体が灰色に染まり、物理干渉不能な特殊階層へ転移したこと。

・その間、住人たちの存在が希薄になり、消滅の危機にあったこと。

・「グラファイト」「インク」と名乗る管理者を名乗る存在と交戦したこと。

・現在は元に戻っているが、住人全員にその間の記憶が欠落していること。


二人は最後まで、一言も遮らずに耳を傾けていた。


ベルン「……」


バルトス「……」


やがて、ベルンが重い口を開く。


ベルン「……確認する」


低く、静かな声。


ベルン「現時点で、この街に被害報告はない。……相違ないか?」


みゆ「はい」


ベルン「行方不明者も、怪我人も、届け出は一件もない」


みゆ「はい」


ベルン「公的な記録にも、魔力の乱れさえ残っていない」


みゆ「はい。痕跡は完全に消去されています」


ベルン「……だが、君たちは。君たちだけは、確かにそれが“あった”と言うのだな」


みゆ「事実です。私たちが観測しました」


迷いのない即答。

一瞬の沈黙が部屋を支配する。


バルトス「……普通に考えれば、あり得ん話だ。集団幻覚だと切り捨てられればそれまでだ」


あんな「……ですよね。証拠なんて、あたしたちの記憶しかないんですから」


亮「まぁ、そうなるよな。俺が逆の立場でも『寝ぼけてんのか?』って思うし」


バルトス「だが――」


バルトスの視線が、亮へと向く。


バルトス「お前たちのこれまでの実績は知っている。実力も、な」


ベルンも静かに頷いた。


ベルン「君たちがこんな馬鹿げた虚偽報告をする理由もない。メリットが皆無だからな」


亮「まぁ、嘘ついても魚は安くなりませんからね」


あっさりと答える亮に、ベルンはふっと口元が緩んだ。


ベアトリス「本当のことですわ! わたくしもこの目で見たのですわ!」


ベルン「だろうな。君たちの言葉を疑っているわけではない」


否定はしない。

信じている。

だが――


ベルン「……だが。私にも、これは“判断”ができん」


あんな「……それって、どういう?」


バルトス「証拠がない。記録もない。具体的な被害も出ていない」


一つずつ、動かせない事実を積み上げるようにバルトスが続ける。


バルトス「この街、この規模のギルドで扱うには、情報が特殊すぎるし足りなすぎる。手に負えんのだ」


ベルン「結論を出そう」


静かに、断言するように告げる。


ベルン「これは――この街だけで抱えていい案件ではない。一地方の領主に収まる話ではない。王都へ回す。中央へ報告を上げる」


その一言で、室内の空気が一気に引き締まる。


ベルン「そこで、お前たちが王都へ報告に行ってくれないか?」


あんな「私たちが……?」


みゆ「中央判断への移行。極めて妥当なリスクヘッジです」


ベルン「この現象がベーゼ特有のものか、あるいは他でも起きている可能性もある。過去の事例照会や調査体制の規模を考えると、王都の専門機関が最も適切だ」


亮「任せてくださいよ」


あんな「……はぁ。やっぱりこうなっちゃうのね。いつものパパだね」


亮「だって、報告先が変わるだけで、やることは変わらないだろ?」


みゆ「はい。手続きのレイヤーが上がるだけです」


ベアトリス「流石ですわ! ついに国家規模の依頼ですわ!」


バルトス「すまないが、他に方法がないんだ」


ベルン「こちらでも引き続き調査は行う。……だが、おそらく核心には届かんだろう」


領主の静かな断言。


みゆ「合理的判断です。局所的な観測では限界があります」


あんな「……分かりました」


完全には納得しきれないモヤモヤはある。

それでも、事態が自分たちの手を離れて動き出すことで何か進展があると。


ベアトリス「王都ですわね! 楽しみですわ!」


亮「行くかー。ルークさんや騎士団の連中は元気かな?」


あんな「みんなに会えるのはいいけど……あの『英雄様扱い』だけは勘弁してほしいんだけど!」


みゆ「予測不能です」


バルトス「ほう、王都の騎士団にも知り合いがいるのか。なら話が早い。この親書を持っていけ」


ベルン「書面はこれだ。王都ギルド本部への正式な紹介状だ」


バルトス「頼んだぞ。街の平和を守ったのは、お前たちなんだからな」


あんな「分かりました。責任持ってお届けします!」


みゆ「承知しました。迅速に搬送します」


ベアトリス「承知しましたわ! 華麗に任務を遂行しますわ!」


もっふる「ピィー!」


こうして――

港町で起きた不可解な現象は、地方の枠を超えて国家案件へと格上げされた。

次は正式な依頼としての「王都行」。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は、

国家の大きな渦へと巻き込まれていく。


手に持つのは「国家の秘密」と「明日への食欲」!?


神崎家、ふたたび王都へ全速力(?)で前進!

灰色の絶望も、消えかけた命も、美味しい焼き魚の香りで上書き完了!

これぞ神崎家の真骨頂、どんなシリアス展開も「お腹が空いた」の一言で日常に引き戻す、圧倒的なポジティブ・スローライフ。

消えない違和感を胸に秘めたあんなをよそに、パパとお米を愛する仲間たちは、さらなる情報を求めて花の都へと舵を切る!


「お米、あるかなぁ」


管理者の恐怖より、炊き立てのご飯が恋しいパパの能天気さは、もはや世界の救いか!?


次回、第131話 え、パパが勇者!? 潮騒に背を向けて、再び歩む王都への道!? 違和感さえも日常の一部に変えて、家族で目指す次なるステージ!?


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