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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、娘2人ともっふるで挑む最強Fランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第十五章 奪還編 〜世界の消去担当が襲来! 絶体絶命のピンチを家族の絆でねじ伏せる⁉〜

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第128話 え、パパが勇者!? 奪還成功と、塗り替えられた「存在しない時間」!? 消えない違和感を抱えながらも、家族の絆で明日を切り拓くー!?

あんな「……これで、終わらせる!!」


鋭い踏み込み。

あんなの視線は、グラファイトの眉間一点を射抜いている。

迎撃するように、漆黒の斬撃が頭上から振り下ろされる――。


あんな「遅いっ!!」


紙一重。

風圧が頬をかすめる中、あんなは迷いなくその懐へ潜り込んだ。

全ての怒りと願いを乗せた剣が、黒い胸板を叩き込む。


――ドォォン!!


確かな手応え。グラファイトの鋼のような体が、初めて大きくよろめいた。


グラファイト「……ぐっ」


ベアトリス「わたくしも参りますわ! 騎士の礼儀、たっぷり教えて差し上げますわ!」


ベアトリスが逆サイドから、流れるような旋回で斬り込む。

空間の継ぎ目ごと切り裂くような剛剣が、小太りな影――インクへと直撃した。


インク「……ほう」


漆黒の体から、ボロボロとすすのような影が削り落とされていく。


みゆ「……物理・魔力共にダメージ貫通を確認。効いています」


亮「よし、一気に押し切るぞ。畳みかけろ!」


あんな「任せて! 覚悟しなさいよ!」


その勝利の予感が漂った瞬間だった。

視界の端――遠くの路地で、一人の住人の影が、これまでとは比較にならないほど大きく揺らめいた。


あんな「……っ! 嘘でしょ!?」


その体は、既に半分以上が消え去り、スカスカのノイズに侵食されている。


あんな「やばい……あの人、消えちゃう……!」


みゆ「……警告。現状の移動速度では、間に合いません」


あんな「間に合わせる! 意地でも間に合わせるんだってば!」


あんなが必死に足を伸ばす。

一直線に。

だが、その距離が絶望的に遠い。

物理的な限界が、あんなの焦燥をあざ笑うように立ちはだかる。

ベアトリスも動こうとするが、同じだ。

この無音の世界では、どれほど速く動いても届かない距離がある。


亮「……パパに任せておけ」


亮が、ふらりと一歩前に出た。

その瞳は、消えゆく人影と、足元の石畳を交互に捉えている。


亮「……ちょっと、世界をズラすぞ」


あんな「は? ズラすって何――」


亮は、理屈や戦略を完全にゴミ箱へ捨て――。

この脆弱な世界の地面を、思い切り蹴りつけた。


ズゥゥゥン!!


あんな「ちょっと、何して――っ!?」


その瞬間。

音のないはずの世界で、空間そのものが悲鳴を上げるように歪んだ。

景色が歪曲し、距離の概念が混濁する。


みゆ「……!? 局所的な空間圧縮……いえ、座標の強制移動!?」


亮は驚愕する娘たちを他所に、強引に右腕を伸ばした。

タイミングも、みゆの理論も全て無視して。

ただ――

「そこにいる奴を助ける」という意志だけで。


亮「来い!! 迷子になってる暇はないぞ!」


――ガシッ。


あんな「え!?」


届くはずのない距離。

なのに、亮の手は確かに住人の腕を掴んでいた。

亮はそのまま、釣り上げられた魚を引くように、無理やり存在をこちらの次元へ引き戻した。

人影が、瞬く間に濃さを取り戻していく。


同時に――。


グラファイト「……干渉が、拡張しただと? 奴が、システムのことわりを上書きしているのか」


インク「……あり得ない。不確定要素にも程がある」


二体の影が、驚愕に揺らぐ。

その隙を、みゆは見逃さなかった。


みゆ「……今です! 最大出力で、この不確定な因果を確定させてください!」


あんな「任せて!!」


ベアトリス「決めますわ!」


三人が同時に、閃光となって弾けた。


あんな――地を這うような超高速の突進。

ベアトリス――空間を爆ぜさせる渾身の斬撃。

みゆ――全ての魔力を一点に集束させた極大魔法。


三つの家族の力が、色褪せた空の下で重なる。

グラファイトとインクの眉間を狙い、一点へ――叩き込む!


あんな「ぶち抜けぇぇぇ!!」


ベアトリス「終わりですわ! 平伏しなさいですわ!」


みゆ「……これで終わり。退場してください」


――ドォォォォォォン!!


爆発的な衝撃波が吹き荒れ、白黒の煙が視界を完全に遮断する。

やがて、煙がゆっくりと晴れていった。


あんな「……やった? 直撃したわよね?」


だが、視界が戻った先にいたのは、何事もなかったかのように静かに佇む二人の影だった。


あんな「うそ、あんなに綺麗に入ったのに……!?」


みゆ「……厄介な相手。ダメージを別次元へ逃がした可能性があります」


ベアトリス「確かに直撃しましたわ! 手応えはありましたもの!」


もっふる「ピィー!」


グラファイト「……理解した。他の有象無象とは違い、なぜお前たちがこの世界に取り込まれなかったのか」


インク「……そしてなぜ、お前たちがここへ来れたのか。その特異性、しかと見届けた」


亮「今更分析かよ。お勉強なら宿題でやってくれ」


グラファイト「……干渉のズレ、そして不確定要素。あの方にご報告が必要だな」


インク「……今回は退く。だが次は、記録ごと排除する」


亮「あの方とは誰だ! 逃げる気か!」


あんな「待ちなさいよ! まだ話は終わってないわよ!」


だが、グラファイトとインクは、あんなの叫びを無視して霧のように溶け始めた。

完全に。

気配一つ残さず。


あんな「……消えた」


ベアトリス「……逃げられましたわ。何と不思議な術ですわ」


みゆ「……維持が切れます。世界が再定義を開始しました」


次の瞬間。

世界が、船酔いのような大きな揺れに見舞われた。

色の薄かった、あの死んだような景色が――一気に“戻る”。

音が、戻る。

色が、戻る。

確かな重さと温もりを伴った、存在が戻る。


あんな「……っ!」


周囲にいた人々が、時計の針が動き出したように、普通に歩き出した。

さっきまで消えかけていた少年も、足元を気にすることもなく、母親の元へ駆けていく。


あんな「……戻った? 本当に、元通りになったの?」


ベアトリス「……統合されたわね。わたくしたちの知る、賑やかな街に」


みゆ「……元の世界へ、位相が固定されました」


亮「……ふぅ。終わりか。肩が凝ったな」


あんな「……助かったのよね? ねえ」


あんなは、近くを歩いていた男に恐る恐る声をかける。


あんな「あ、あの! 大丈夫ですか!? 怪我とか、ありませんか!?」


だが――男は、きょとんとした顔で足を止めた。


男「え? ああ、お嬢ちゃん。怪我って、一体何のことだい? 私はピンピンしてるよ」


あんな「……え?」


周囲を見渡す。

人々は談笑し、店先からは香ばしいパンの匂いが漂ってくる。

誰も、何も覚えていない。

さっきの世界崩壊も、決死の戦いも、自分が消えかけた恐怖さえも。

全部――最初からなかったことのように。


みゆ「……記憶の連続性は、最初から書き換えられています。彼らにとって、あの時間は存在しません」


あんな「……あの怖い記憶は無い方が良いよね! それに、みんな無事なら、それで十分だよ!」


みゆ「肯定。ですが、あの黒い影が何者だったのか、未だ不明な点が多いです」


亮「まぁ、みんな無事だったんだ。良しとしようじゃないか。腹も減ったしな」


あんな「……はぁ。パパはいつでもパパだね。この状況で晩ご飯のこと考えられるなんて、尊敬するわよ」


みゆ「……楽観的思考。これはパパが保有する最高ランクの生存スキルの1つです」


ベアトリス「さすがですわ。わたくしも、その器の大きさに改めて感服いたしましたわ!」


もっふる「ピィー♪」


確かに、全員“戻っている”。

それだけは、揺るぎない事実だった。

だが、みゆは一人、静かに周囲を見渡しながら呟く。


みゆ「……終わりではないです。これは、始まりです」


亮「……ああ。あいつらの言い方だと、また来る可能性があるな」


あんな「だよね……。次は、もっと派手にやらかしそうだし」


ベアトリス「受けて立つまでですわ! 神崎家の絆があれば、何が来ても怖くありませんわ」


もっふる「ピィー!」


その時、一瞬だけ。

賑わう通りに落ちる、長い影の端が――“揺らいだ”ような気がした。



――そして、その空のさらに彼方。

女神は、穏やかな微笑みを浮かべていた。


ふふ……あの家族は、ついに「世界の境界」さえも、その絆の強さで繋ぎ止めてしまいましたね。

存在そのものを消し去り、歴史の塵へと変えようとする冷徹な「消去」の理。

色彩を失った灰色の街で、誰にも届かない声、触れられない絶望に直面しても、あの勇者は決してその手を離しませんでした。


「誰一人として、なかったことにはさせない」


その傲慢なまでの優しさが、システムのバグを、そして世界の綻びを、力技ではなく「家族としての温度」で溶かしていく。

最強の力を持ちながら、それを破壊のためではなく、名もなき少年の存在を証明し、ただ「おかえり」と言える明日を守るために振るう。

その一点の曇りもない意志こそが、虚無さえも打ち砕く、世界で最も強く、そして優しい魔法なのかもしれません。


使命感ではなく、純粋な気持ちで……。

ただ、奪われた日常を「当たり前のもの」として取り戻そうと奔走する彼らの姿は、冷徹な監視者たちの計算さえも大きく狂わせてしまったようです。


さて……次はどんな日々を紡ぐのでしょう。

霧のように消えた影、そして彼らが口にした「あの方」の存在。

不穏な予兆を抱えながらも、あの家族はまた、お米を求めて笑いながら旅を続けるのでしょうか。

光が揺れ、風がそっと戻ってきた街の活気を運ぶ。

その微笑みは、嵐の去った後に広がる、どこまでも青い空のように優しかった。


こうして――

奪還は成功したが、全てが解決したわけではない。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)

まだ見えぬ“侵食”は、静かに、しかし確実に続いている――。


【第十五章「奪還編」を終えて】


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

第15章「奪還編」では、消えゆく人々の存在を取り戻すための、文字通り「世界との決戦」を描きました。

異次元での幽霊扱いという絶望的なスタートから、みゆの理論とパパの「絶対助ける」という意志が同期し、ついには「世界の消去担当」さえも退けて人々の帰還を勝ち取った神崎家。

救い出した後、人々から記憶が消え、何もなかったかのように笑い合う街の光景は、どこか救いであると同時に、みゆが呟いたように「始まり」を予感させる不気味な静けさを湛えています。


パパの「腹も減ったしな」という言葉に救われつつも、確実に変化し始めている世界の理。神崎家の旅は、ついにその核心へと迫りつつあります。


あんな「美容効果を高めるためにも★★★★★を!」

みゆ「肯定。ブクマで倍増効果」

ベアトリス「ありがとうございますですわ」

もっふる「ピィー♪」


次回、『ぱぱやら!』

明日朝8時、本編第十六章スタートとなります。

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