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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、娘2人ともっふるで挑む最強Fランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第十五章 奪還編 〜世界の消去担当が襲来! 絶体絶命のピンチを家族の絆でねじ伏せる⁉〜

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第125話 え、パパが勇者!? 虚無を切り裂く一撃と、少年に届いた父の鼓動!? 「絶対に助ける」――家族の意思が、灰色の世界を塗り替え始めるー!?

あんな「このままだと、全員消えるってことでしょ……? 助けるどころか、あたしたちが消滅の目撃者になるだけなんて、冗談じゃないわよ!」


みゆ「残念ながら、論理的推論に基づく結果は『確定』です。この空間のリソースが枯渇すれば、存在データは完全に抹消されます」


みゆは冷静に、淡々と事実を突きつける。

だが、その瞳の奥には、いつもなら即座に導き出されるはずの「最適解」が見当たらないことへの、拭いきれない懸念が表れていた。

目の前で、街の人々の輪郭が少しずつ、砂がこぼれるように削れていく。

触れられない。

止められない。

助けられない。

無力感という名の冷たい霧が、神崎家を包み込んでいた。


亮「……ふざけるなよ。勝手に連れてきて、勝手になかったことにするなんて、そんなの勇者が許してもパパが許さん」


亮は奥歯を噛み締め、灰色の石畳を睨みつける。


あんな「見えてるのに、すぐそこにみんながいるのに何もできないとか……悔しくて、悔しくてしかたないよ!」


みゆ「お姉ちゃん、感情でどうにかなる状況ではないです。次元の位相が違う以上、私たちの意思はこの世界に一切反映されません」


あんな「分かってるよ! でも、理屈だけで納得できるわけないよ」


言葉が続かない。

分かっている。

自分たちが今、映画のスクリーンを外側から眺めているだけの観客に過ぎないことは。

でも、そんな絶望を飲み込めるほど、あんなの心は冷え切っていなかった。


みゆ「……」


みゆは無言で、灰色の空間を凝視した。

まるで無数の数式を空中に描くように、その視線は鋭く一点を貫く。


あんな「みゆ……ほんとに、方法あるの? 奇跡待ちじゃなくて、あたしたちができることが」


みゆ「……あります。干渉を成立させるロジックは存在する。でも、まだ条件が足りない」


亮「その“条件”ってのが、説明書なしの家電みたいに分からんのが問題だな」


みゆ「干渉の起点が必要です。……何か“ズレ”が必要なんです。この世界と私たちの間に、偶然生じた誤差。その一瞬の隙間に、私たちの位相を強引に捩じ込むことができれば……」


ベアトリス「その方法は、具体的にあるのですの?」


亮「つまり、超絶ラッキーを待つ運ってことだな」


あんな「いやいや、命がかかってるのに運って……パパの運に任せたら、世界の端まで吹っ飛ぶでしょ!」


その時だった。

路地の奥、古びた木箱がバランスを崩して倒れ、中に入っていた果物(のような影)が転がっていた。

そして、その前で――。

一人の少年が、半透明の体で困ったように立ち尽くしていた。


あんな「……あの子……」


少年の体が、激しく揺らぐ。さっきまで見てきた人々よりも、さらに不安定だ。

腕が消え、胴体が透け、存在そのものが消えかかっている。


みゆ「……危険域。存在維持限界まで、あと数十秒です」


亮「助けるぞ!」


あんな「どうやって!? 触れないんだよ!?」


亮は走り出していた。分かっていても、体が勝手に動く。


亮「大丈夫だ! 今助けてやるからな!」


叫びながら、少年に向かって力一杯手を伸ばす。

――が、当然のように亮の手は少年の体を虚しく通り抜けた。

地面に転がる果物さえ、掴むことができない。


亮「くそっ……! 掴め! 触れろ! そこにいろよ!」


もう一度。二度、三度。

何度でも手を伸ばし、掴もうともがく。

だが、少年の体はさらに薄くなり、向こう側の路地裏がはっきりと見え始めていた。


亮「……」


亮は、ふっと動きを止めた。

少年はもう、目を開けているのかさえ分からないほど希薄になっている。

亮はゆっくりと歩を進める。

状況は理解している。

だが――もう、考えていなかった。


亮「こういうのはな」


あんな「え? パパ?」


亮「理屈で考えると、遅くなるんだよ」


そう言って、何の前触れもなく。

亮は足元を転がる、存在感の薄い果物に向かって思い切り足を振り抜いた。


あんな「え!? 八つ当たり!?」


ベアトリス「なんですの――!?」


みゆ「……!」


もっふる「ピィー!」


次の瞬間。

灰色の果物が、亮のつま先に弾かれて勢いよく転がった。

重力に従って動いた。

「触れた」のだ。


亮「……あ?」


亮自身が一番驚いている。


あんな「今の……当たった? パパの足、今当たったよね!?」


みゆ「……」


みゆの瞳が、これまでにないほど鋭く発光する。


あんな「え、ちょっと待って、今……確かに触ったよね!? なんで!? 幽霊同士のぶつかり稽古!?」


亮「いや、ただ蹴ったつもりだったんだが。感触、あったぞ」


あんな「それが出来ない世界なんだってば、ここは!!」


驚きに目を見開いていると、少年の影がはっとしたように転がった果物を見た。

そして、彼は慌ててそれを拾い上げる。

その瞬間。

驚くべきことに、少年の輪郭がぐっと色濃くなり、実体を伴った強さを取り戻した。


あんな「……戻った? 消えかけてたのが、戻ったよね!?」


ベアトリス「一体何をしたのですの!? 奇跡ですわ!」


みゆ「……計算外。ですが、成功です」


あんな「成功!? 今のめちゃくちゃなキックで成功なの!?」


亮「なんで成功したんだ? 俺、ただ蹴っただけだぞ?」


みゆ「……理論的な理由は不明です。ですが、今の一瞬だけ、パパの『意思』が世界の『ノイズ』と完全に合致した。それが干渉の起点になった可能性があります」


みゆ「……再現実験を行います。パパ、もう一度同じ動きを。思考を介さず、反射だけで!」


亮「よし、任せろ。何か分からんが、掴んだ気がするぞ!」


亮はもう一度、近くの木箱に向かって同じように蹴りを放つ。

――が。

亮の足は、無情にも箱をすり抜け、空を切った。


亮「……今回は出来ないのか。意外と繊細だな、俺の足」


あんな「何が違うのよ!! 運なの!? やっぱりパパの気まぐれ、運任せなの!?」


ベアトリス「再現性なしですわ」


みゆ「……でも、一度は起きた。それは事実です」


みゆの声は冷静だが、その言葉には確かな“希望”が宿っていた。


みゆ「……条件は『無我の瞬間にだけ起きる干渉』……いえ、まだ足りない。でも、突破口は見えました」


あんな「その足りない物を、全員が消える前に見つけなきゃだね!」


一瞬の奇跡は、すぐに消えてしまった。

でも、亮が残した“結果”は消えない。

確かに触れた。

確かに、少年の消滅を食い止めたのだ。


ベアトリス「完全な不可能ではなくなりましたわ。ならば、わたくしがこの剣を振るう意味もありますわ!」


あんな「やるしかないじゃん。一秒も無駄にできないよ!」


空気が変わる。

“絶望の見物”だった状況が――一刻を争う“救出戦”へと塗り替えられる。

その時、遠くの広場で、また一人の老人が大きく揺らぎ、消えかけた。


あんな「……時間ないよ! 次が来ちゃう!」


亮「だな。次は外さんぞ」


みゆ「……パパの動きに、私の演算を同期させます。無理やりにでも干渉を定着させる」


亮「強引にやるのは俺の得意分野だ。行くぞ!」


ベアトリス「ついて参りますわ!」


あんな「あたしも負けてらんない! 全力でサポートするわよ!」


もっふる「ピィー!」


それぞれが、灰色の世界へ向けて駆け出す。

成功の保証も、理屈の裏付けもまだ完全ではない。

でも、神崎家の辞書に「指をくわえて待つ」という言葉は、最初から載っていなかった。


こうして――

絶対不可能だった世界に、わずかな“干渉”という突破口が生まれる。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?) は、

「奪還行動」――時間との強行戦が始まる――!

「全員だ。一人も置いていかない!」


——パパの無茶振りが世界を震わせる。

絶望の数式を「家族の絆」で書き換えろ!

亮の規格外な一撃が、ついに消滅の連鎖に穴を開けた。


しかし、現実はあまりに非情。

一人を救う間に、十人が砂のように崩れ落ちていく。

圧倒的な「数」と「時間」の暴力。

みゆの計算が導き出すのは、残酷な「選別」の結末か?

「理屈も限界も、パパが『どけ』って言ったらおしまいなんだから!」

——あんなの叫びが、反撃の火蓋を切って落とす!


次回、第126話 え、パパが勇者!? 間に合わない現実を、家族の「同期」でねじ伏せろ!? 灰色の街に響く咆哮――消滅の連鎖を断ち切る、反撃の狼煙のろしー!?


パパを「特異点」とした前代未聞の魔力同期!

物理法則の崩壊すら厭わない神崎家の波状攻撃が、灰色の空を貫こうとしたその時。

背後に現れたのは、この悪夢を統べる「真の不条理」……!?

神崎家vs世界のバグ、いよいよ直接対決の時――!

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