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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、娘2人ともっふるで挑む最強Fランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第十五章 奪還編 〜世界の消去担当が襲来! 絶体絶命のピンチを家族の絆でねじ伏せる⁉〜

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第124話 え、パパが勇者!? 消えゆく輪郭と、みゆが導き出した「唯一の希望」!? 灰色の空の下、家族が繋ぐ反撃へのラストピースー!?

目の前には、相変わらず無機質な日常を繰り返す人々。

けれど、その誰一人として――こちらを認識しない。

触れられない。

届かない。

温もりも、鼓動も、存在の確信さえも得られない「モニターの向こう側」にいるような隔絶感。


あんな「……ねえ、パパ。実際どうするの? 」


亮「……とりあえず、もう一度確認をしてみるかな」


あんな「何を? 散々すり抜けたでしょ?」


亮は無言で、近くの建物の壁へと歩み寄った。

年季の入った石造りの壁。

亮はそこへ、ごく自然に掌を伸ばし――。

スッ。

亮の手首までが、抵抗もなく石壁の中に埋まった。

引き抜いても、壁に傷一つなく、亮の手にも埃一つ付いていない。


亮「やっぱり壁も同じだな。まるで、実体のないホログラムの中に突っ立ってる気分だ」


あんな「……分かってたけど、いざ目の前で見ると(へこ)むわね」


みゆ「肯定。空間ごと全物質が干渉不可設定です。無機物か生体かの区別もありません。この世界の全データが、私たちの物理演算から完全に除外されています」


みゆは静かに目を閉じた。

乱れがちな呼吸を整え、この異常な空間に満ちる「微かなノイズ」に意識を研ぎ澄ませていく。


あんな「……みゆ?」


みゆ「……探索サーチ。この世界の『底』に流れる信号を拾います」


みゆが一歩踏み出すと、目に見えない波紋が彼女を中心に広がる。

魔力の流れ、空間の歪み、存在の密度。

生きている者の鼓動は一切検知できない。

だが、みゆは確実に、この灰色の世界の「綻び」へ探りを入れ始めていた。


ベアトリス「分析開始ですわね。わたくしも、剣を振るうべき『核』が見つかればいつでも行けますわ!」


あんな「頼むよ、ほんと……。このままじゃ、ただの通行人Aにもなれないわ」


もっふる「ピィー!」


その時だった。

通りの向こう。買い物袋を下げた一人の女性が、ふらりと足を止めた。


あんな「……ん? あの人、どうしたの?」


女性の輪郭が、不自然に揺らぐ。 まるで古い映像にノイズが入ったみたいに、存在の境界線がジジッ、とぶれる。


亮「……おい、あれを見ろ」


次の瞬間――女性の体が、一瞬だけ透き通るように“薄くなった”。


あんな「えっ!?」


ほんの一瞬。瞬きをするほどの短い間。

だが確実に、彼女の色はさらに抜け、向こう側の景色が透けて見えた。

そして――何事もなかったかのように、元に戻る。

女性は再び、無表情に歩き出す。

周囲の人間も、誰一人としてその異常に気づいていない。


あんな「……今の、見た? 今、あの女性、消えかけたよね!? 消滅しかけてたよね!?」


亮「ああ、一瞬だったがな。透け具合が洒落になってなかったぞ」


あんな「一瞬でもダメでしょ!」


ベアトリス「どういうことですの!? 死後の世界というわけでもなさそうですのに!」


みゆ「……『劣化』が進行している可能性があります」


あんな「進行って、どういうこと?」


みゆ「この世界の精度。色が薄いのは初期症状。でも今のは違う。存在そのものが崩れかけていました」


あんな「そんなの……」


ベアトリス「そんなこと、あり得ませんわ! 人の命を何だと思っているのですの!」


もっふる「ピィー……!」


みゆはゆっくりと目を開いた。

その視線は、さっきの女性ではなく――灰色の街全体へと向けられる。


みゆ「……局所的なバグではない。全体が、同じ状態です。この空間を維持するリソースが底を突きかけている」


あんな「どういうこと? 分かりやすく言って」


みゆ「……このままだと」


みゆは言葉を選ぶように、わずかに間を置いて――。


みゆ「……全ての人々が消えます」


あんな「……っ!」


空気が、一気に氷点下まで冷え込んだかのように重くなる。


あんな「いやいやいや待って! 全部って何!? 街ごと!? この人たち全員消えちゃうの!?」


ベアトリス「そんなの、絶対にお止めしなければなりませんわ!」


亮「取り返す前に、取り返すモノがなくなっちまうのか。……最悪のタイムリミット付きかよ」


もっふる「ピィー!」


再び、通りの奥で別の男が同じように揺らぐ。

今度は、さっきよりも長い。

数秒の間、男の腕が完全に消失し、空中に断面のようなノイズが走った。

男は戻る。

だが――。

さっきより戻りが遅い。

腕の輪郭が、心なしかさっきより曖昧になっている。


みゆ「……進行速度が上昇しています。指数関数的に、崩壊が加速している」


ベアトリス「食い留めますわ! 何か方法はありませんの? わたくしの魔力でも何でもお使いくださいですわ!」


みゆ「……」


みゆは無言で、微動だにしない空間を見つめ続ける。

そして、小さく、絶望を噛み締めるように呟いた。


みゆ「……位相が違う。私たちは、この映像を見ているだけの観客に過ぎない。だから……戻せない。触れられないものは、直しようがないんです」


現実の話である。

触れられない。

届かない。

干渉できない。

――だから、助けられない。

世界最強の家族が、目の前の「消えゆく一人」さえ引き留められない。


あんな「……じゃあ、どうすんのよ。あたしたち、パパが無理して開けた穴を通って、ただみんなが消えるのを特等席で見物しに来ただけなの?」


声が、情けなくかすれる。


亮「このまま、指をくわえて見てるだけしか出来ないのか……!」


あんな「……」


みゆ「……」


ベアトリス「……」


誰も、すぐには答えられない。

その沈黙の間にも、世界は少しずつ、確実に崩れていく。

また一人、また一瞬。

人々の輪郭が、街の影が、少しずつ、少しずつ薄くなっていく。


あんな「……無理でしょ……こんなの、どうしろって言うのよ……」


みゆ「……」


みゆは、絞り出すように顔を上げた。


みゆ「……論理的な方法なら、一つだけあります」


あんな「えっ!? 本当に!?」


亮「マジか。さすがみゆだな」


ベアトリス「……お聞かせください、ですわ!」


みゆ「……でも」


みゆは一瞬、言葉を詰まらせた。


みゆ「……まだ、決定的な何かが足りない。私たちの存在を、この世界に強引に同期させるための『きっかけ』が」


その時だった。 すぐ近く。

一人の子供の姿が――腰から下が完全に消失した。


あんな「っ!!」


あんなが反射的に手を伸ばす。

当然、触れられない。

手は少年の胴体を虚しく通過する。


あんな「やばいって!! これ、もう戻らないんじゃないの!?」


子供は、数秒後に形を戻した。

だが、戻りきっていない。

色はさらに透け、足元の石畳がはっきりと見えてしまっている。


ベアトリス「……限界が近いですわ。これ以上は、空間ごと弾けますわ!」


あんな「もうダメなの? こんなところで終わり……?」


亮「……」


亮は無言で、その消えゆく光景をじっと見つめていた。

拳を固く握りしめ、その瞳に静かな、しかし烈火のような怒りを宿して。

そして――ぽつりと呟いた。


亮「このままだと、全員消える。……あいつらの日常を、消え物扱いにする奴が、俺は一番嫌いだ」


その言葉は、静かだったが、この空間を支配する「虚無」を真っ向から否定する重みがあった。

亮の怒りが、周囲の空気を震わせ始める。


こうして――

干渉できないという絶対ルールの中で、世界は確実に崩壊へと進み始める。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は、

「干渉確立」――絶対不可能を、パパがやらかす!?



「物理の壁? 知ったことか!」


——パパの無意識キックが、世界のバグを蹴り飛ばす!?

絶望的な「干渉不可」のルールを前に、みゆが導き出した答えは「奇跡待ち」。

しかし、考えるより先に体が動いたパパの「八つ当たり(?)キック」が、消えゆく果物を捉えた!

理屈も法則も置き去りにして、パパの「助けたい」という意思が、ついに灰色の世界に穴を開ける!

「幽霊同士のぶつかり稽古!?」

——あんなのツッコミをよそに、救出作戦は「力技」のフェーズへ!


次回、第125話 え、パパが勇者!? 虚無を切り裂く一撃と、少年に届いた父の鼓動!? 「絶対に助ける」――家族の意思が、灰色の世界を塗り替え始めるー!?


再現性ゼロの奇跡を、みゆの演算で「確定事項」に書き換えろ!

タイムリミットが刻一刻と迫る中、神崎家が繰り出す「理論無視の波状攻撃」がいよいよスタート!

異次元の果てで、パパが世界を再定義する——!?


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