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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、娘2人ともっふるで挑む最強Fランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第十四章 消失編 〜世界から音が消えた街!? 怒れるパパが世界の理を座標ごと踏み潰す!?〜

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第119話 え、パパが勇者!? 止まった時間の中に残る、人々の確かな体温!? 記憶の霧を振り払い、家族を守るためにパパが真実に手を伸ばすー!?

カツ、カツ、と足音だけが石畳に響く。

人の気配が完全に消え去った港町ベーゼに、その音はやけに大きく、不気味に跳ね返っていた。

亮は無言のまま歩を進め、周囲を観察する。

異常だ。

だが――街そのものが壊されているわけではない。

争った跡も、逃げ惑った形跡も見当たらないのだ。


あんな「……ねぇ、パパ」


亮「なんだ」


あんなは少しだけ迷ってから言った。


あんな「これ……誰かに無理やり連れ去られた感じじゃないよね」


亮「……ああ」


同じことを考えていた。


亮「……連れ去られたなら、叫び声や争った跡が残るはずだ」


あんな「そうだよね。叫び声も何も聞こえなかったし」


ベアトリス「なかったですわ」


もっふる「ピィー!」


亮は、昨日立ち寄ったパン屋の前で足を止めた。

扉は開け放たれたまま。

吸い込まれるように中へ入ると、カランと軽い鈴の音が虚空に響く。

誰もいない。

だが――


あんな「……パンが、そのまま」


棚には、香ばしく色づいたパンが並べられたままだった。


みゆ「まだ、柔らかい……」


指で軽く押す。

ふわりと押し返してくる、その確かな弾力。


亮「……さっきまでいた感じがするな」


店主は、ここにいた。

間違いなく。


あんな「でも……なんで……」


答えはない。

一行は店を出て、通りの反対側にある魚屋へと向かった。

木箱に並ぶ魚はまだ新しく、表面の水気さえ乾いていない。


みゆ「ここも……鮮度が維持されています」


亮「時間が経ってない」


みゆ「消えたこと以外、昨日のままです」


亮「……」


歩き、見て、確認する。

どこも同じだった。

生活の途中。誰かが次の動作に移るはずだった場所。

それが、映画のワンシーンを一時停止したかのように、唐突に止まっている。


あんな「……昨日さ」


ぽつりと、あんなが言った。


亮「?」


あんな「この通り、もっと人いたよね。活気があって、騒がしくて……」


亮「……ああ。お魚売ってる威勢のいいおじさんもいたよな」


みゆ「はい。確実に存在していました」


自然な会話。

だが、その中に昨日から感じていた違和感が再び混じり始める。


あんな「でもさ……なんか変じゃない?」


亮「何がだ?」


あんな「昨日のこと、ちゃんと覚えてるのに……」


みゆ「微妙なズレを感じます」


亮「ズレ……?」


二人の言葉を聞きながら、亮は思考を巡らせる。

昨日。

確かにここにいた。

人もいた。

話もした。

――だが。


亮「……」


一つ、引っかかる。


亮「……あの店主。昨日、俺たちのことを『初めて』だと言ったよな」


みゆ「言っていました」


あんな「でも、ほぼ毎日行っているのに…」


ベアトリス「おかしいですわ」


亮「……ああ。矛盾してるんだ。俺たちの記憶にはあるのに、向こうにはなかった。あるいは、何かが書き換えられていたのか……?」


発言が噛み合っていない。

違和感が、明確な形になり始める。

これは単なる「集団消失」ではない。


亮「……どういうことだ?」


一瞬、考える。


亮「みゆ、探索 《サーチ》をしてみてくれるか?」


あんな「え?」


亮「本当に、この街から一人残らず消えたのか確認したい」


みゆ「分かったやってみる、探索 《サーチ》」


みゆが瞳を閉じ、不可視の波動が街全体へと広がっていく。


みゆ「……反応なし。有効範囲内に、私たち以外の生命反応を検知できません」


亮「そうか」


あんな「やっぱり誰もいないのだね」


亮は周囲を見渡す。

止まったままの街。

温もりの残る生活。

そして――

亮「街の人全てを誘拐?」


あんな「そんな事、可能なの?」


みゆ「物理的、および魔力計算上、不可能です。数千人を一瞬で、かつ無傷で転送するなど、神の領域の干渉です」


ベアトリス「異常ですわ」


もっふる「ピィー!」


まだ足りない。

だが一つだけ、はっきりしていることがある。


あんな「……普通じゃない。絶対に、誰かが意図的にやってる」


その言葉は重く、誰もいない通りに消えていった。

海風が、無人の街を吹き抜けていく。

まるで最初から誰もいなかったかのように。

だが、神崎家は知っている。

ここで笑い、暮らしていた人々の確かな体温を。


亮「……もう少し歩こう。何か、この静寂を破るヒントがあるはずだ」


あんな「うん」


みゆ「……」


ベアトリス「ですわ」


もっふる「ピィー!」


一行は再び歩き出す。

止まったままの時間を切り裂くように。

“何か”の痕跡を探して。

その足音だけが、やけに大きく響いていた。


こうして――

残された生活の温もりが、この異変が“ただの時間のズレではない”ことを突きつけた。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は、

小さな痕跡が、亮の心の奥に眠る「守るべきもの」への感情を揺らし始める――!



「ふざけるな」――静かな怒りが、スローライフを終わらせる。

パパが選んだのは、世界への宣戦布告!? 無人の家、食卓に残されたぬくもり、そして床に転がる小さな靴。

つい昨日まで、もっふると笑い合っていた子供の「当たり前の明日」を奪った理不尽な消失。

いつものんびり、娘たちにツッコまれてばかりの「おじさん」が、今、神をも恐れぬ守護者パパの顔を見せる!


「取り返す。絶対にだ」——理屈も正義も関係ない。

ただ、家族と、この街の笑顔を冒涜したヤツを絶対に許さない!


次回、第120話 え、パパが勇者!? 小さな靴が灯した、父としての消えない怒り!? 「絶対に、取り返す」――静かな宣言とともに、反撃の幕が上がるー!?


みゆもデータ計測を忘れるほどの威圧感。

パパが本気で拳を握ったとき、止まっていた時間は爆ぜるように動き出す!

異変の黒幕よ、覚悟しろ。

君が怒らせたのは、世界一「家族を愛する不器用な男」だ!

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