第114話 え、パパが勇者!? 堤防釣りでスローライフ満喫……のはずが、ベアトリスの「超・弱火」で堤防が火だるまパニックにー!?
港町ベーゼの朝。
潮風が心地よく吹き抜け、通りには朝の賑わいが広がっている。
亮「スローライフだー!釣りでもして今日はのんびりしよう」
あんな「朝からテンション高いのはいいけど、また、巨大魚とか釣らないでよ」
みゆ「……パパの『のんびり』という発言。過去のデータから推測すると、何かが起こる前触れである確率、97%です」
ベアトリス「釣り、良いですわ!勝負ですわ!」
もっふる「ピィー♪」
海底王国での試練を終えた神崎家は、久しぶりの“普通の朝”を楽しむように、堤防へと向かった。
亮「ここらで良いかー」
あんな「そうだね」
みゆ「問題ないです」
ベアトリス「釣りは集中力が大事ですわ」
もっふる「ピィー♪」
思い思いに釣り糸を垂らした。
静かな時間が流れる。
ぽちゃん、とウキが沈む音。
波が堤防に当たる音。
あんな「……きた」
軽く竿を引くと、銀色の魚が勢いよく跳ねた。
亮「お、早いな。幸先いいぞ」
みゆ「無駄がない。見事です」
ベアトリス「お見事ですわ!次は私ですわ」
もっふる「ピィー!」
その後も、のんびりと魚は釣れた。
街の人「釣れますかな?」
通りかかった地元の釣り人が、亮に気さくに声をかける。
亮「ぼちぼちですよ」
街の人「それは何よりですな」
ベアトリス「これは真剣勝負ですわ」
街の人「こりゃー威勢のいいお嬢さんだ」
笑いがこぼれる。
あんな「これ、今日のお昼ご飯にいけるね。新鮮なうちに食べちゃおうか」
亮「いいね、焼き魚にしてたべよう。おじさんも一緒にどうですか?」
街の人「ありがとう。でも遠慮させてもらうよ。妻が待っているのでな」
亮「そうですか。では、また機会がありましたら」
街の人は手を振って去っていった。
ベアトリス「では、わたくしが火を――」
あんな「火加減気をつけてね」
みゆ「火力制御、大事」
ベアトリス「任せてくださいですわ。今回は海底での反省を活かします。超・弱火ですわ!」
亮「その言葉が一番怖い」
あんな「ほんとそれ」
みゆ「前例がある」
もっふる「ピィ……」
ベアトリス「いきますわ――《ファイア》」
ぼっ――
……ゴォッ!!
亮「強い!」
あんな「全然弱くない!キャンプファイヤー再来じゃない!」
みゆ「計算外の過剰出力。熱量が飽和しています」
一瞬で火柱が跳ね上がり、堤防の上が一気に熱気に包まれる。
結果――。
ベアトリス「……あらですわ?」
網の上には、芸術的なまでに真っ黒に焦げた「元・魚」が鎮座していた。
もっふる「ピィー……」
あまりの惨状に、一同に沈黙が流れる。
あんな「はい、交代」
みゆ「決定」
ベアトリス「そんな……!」
がっくりと肩を落とすベアトリスを余所に、みゆが冷静に焼き、今度はちょうどいい焼き加減に仕上がった。
ベアトリス「勉強になりますわ」
亮「よし、いただきます」
あんな&みゆ「いただきます」
ベアトリス「いただきますわ……」
もっふる「ピィー!」
一口。
亮「……うまい。 潮風の中で食べるのは格別だな」
あんな「美味しい。やっぱり獲れたては違うね」
みゆ「焼き加減、最適解です。味の安定を確認」
ベアトリス「次は成功させますわ……」
悔しそうにしながらも、どこか嬉しそうだった。
穏やかな食事の時間。
家族の笑い声。
それだけで、十分だった。
食後は腹ごなしに街をぶらつくことにした。
通りには露店が並び、活気ある人々の声が溢れている。
いつもの港町。
子供たち「あー、もっふるちゃんだー」
「本当だー」
「さわってもいい?」
亮「おぅ!いいよ、な、もっふる?」
もっふる「ピィー♪」
子供たちに囲まれ、ふかふかの毛をなでられるもっふる。
のんびりとした、平和そのものの時間が過ぎていく。
亮「おーし、そろそろ行くかー。みんな、ありがとなー!」
あんな「そうだね」
ベアトリス「行きますわよ」
子供たち「またねー、もっふるちゃん♪ おじさんもねー!」
亮「おじさんかぁ……パパって呼んでくれてもいいんだけどな」
あんな「パパ、変なこと言わないの」
歩き出しながら、亮がふと思い出したように口を開いた。
亮「ところでお米の情報もあるかな?」
あんな「前に商人が言っていた話だよね」
みゆ「情報としては不確定」
ベアトリス「街の人に聞いてみますわ」
亮「ついでだからな」
もっふる「ピィー♪」
こうして――
釣りに食事に街ぶらと、港町ベーゼでの穏やかな一日を満喫する神崎家。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は、
お米の情報収集で、新たな手がかりを探すことに――!?
「南か西か、白いから似たようなもん」!?
運命の羅針盤は、ボケ気味おじいちゃんの超テキトー記憶!
港町ベーゼでついに掴んだ「お米」の手がかり!
「水で炊くと増える白い粒」という有力すぎる特徴に、神崎家のテンションは最高潮!
しかし、その情報源である老人の記憶は、賞味期限切れ寸前の超あやふや物件だった!?
次回、第115話 え、パパが勇者!? お米の情報源は記憶喪失寸前の老人!? 「南か西か、白いから似たようなもん」という超適当な導きに、家族の運命が翻弄されちゃうー!?
「白いから似たようなもん」で片付けられたパパたちの運命やいかに!




