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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、娘2人ともっふるで挑む最強Fランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第十一章 港町編 〜三姉妹のド派手な祝砲! どさくさ紛れに伝説を呼び覚ますパパ!?〜

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第101話 え、パパが勇者!? もっふると響き合う「世界の理(ことわり)」の正体とは!? 伝説を越えた一撃が、港町に最高の海の幸と平和を運ぶー!?

誰も動けなかった。


降り注ぐ海水の雨の中、みゆは杖を支えに膝をつき、肩で荒い息を吐いている。

ベアトリスは愛剣を突き立て、辛うじて立ち上がっている状態だ。


極大魔法ですら倒しきれなかった、再生する絶望。

完膚なきまでに破壊されたはずのクラーケンが、暗雲を背負って再びその巨大な触手を天高く持ち上げた。

それは街を、船を、そして希望を粉砕するための死神の鎌だった。


あんな「……くっ、まだ、終わってないの……!?」


絶望が港町を包み込もうとした、その時だった。


亮「……え、まだ終わってなかったの?」


のんきな、けれど不思議と透き通った一言。

その瞬間、戦場の空気が一変した。

荒れ狂っていた潮風が止まり、波の音が遠のく。


あんな「パパ……?」


みゆ「……え? パパ、今……何を……」


亮はゆっくりと、折れたオールを捨てて船の先端へと一歩踏み出した。

目の前には、空を埋め尽くし、太陽を隠すほどの漆黒の触手。


だが、亮の瞳に映っているのは死への恐怖ではない。

今夜の晩御飯の献立が「イカ刺し」か「イカ焼き」かという、あまりにも真剣な悩みだけだ。


亮「よし! もっふる、行くよ!」


もっふる「ピィー!」


その瞬間、亮ともっふるの間で、目には見えないほど純粋で強大な力が共鳴し始める。

それは魔力でも闘気でもない、世界のことわりそのものを書き換えるような「無欲の波動」だった。


もっふる「ピィィィーーーーーー!!」


空を裂くような、もっふるの金切り声。

その震動が空気を震わせ、クラーケンの巨体を、いや、海そのものを物理的に硬直させた。


亮「よーし! イカ焼き、ゲットだー!」


亮が、まるで散歩にでも行くような軽やかな動作で、一歩踏み込んだ。

ただの一撃。

亮がクラーケンの中心部へ向かって剣を突き出した、その瞬間。


――ドォォォォォンッ!!


海が、割れた。


左右に押し分けられた巨大な潮の壁。

その中央、海底まで届くかのような「道」の間で、伝説の魔獣クラーケンの巨体は、再生する暇さえ与えられず、一瞬でその核を破壊した。


あんな「何をしたの?」


みゆ「解析不能。物理演算が追いつきません」


ベアトリス「さすがですわ」


港町ベーゼに、さっきとは比べ物にならないほどの地響きのような歓声が巻き起こる。


「やった! 本当にやったぞ!!」


「あの冒険者、海を割りやがった!!」


しかし、歓喜の余韻に浸る間もなかった。


海面が再び不気味に盛り上がり、地底から響くような、先ほどよりも低い重低音が世界を揺らした。


ゴゴゴゴゴゴ……!!


クラーケンが沈んだその反対の場所から、今度は岩山のような巨大な甲殻こうかくが姿を現した。


クラーケンをも凌ぐ巨体。


二本の巨大なハサミ。


伝説の深海守護獣『グラン・キャンサー』。


あんな「……なっ、まだ次が来るの!? 嘘でしょう!?」


ベアトリス「あ、あれ……さっきのクラーケンよりヤバいですわ! 次が、本番なの……っ!?」


みゆ「……絶望。魔力残量ゼロ。迎撃、不可能です……」


町の人々の顔から一気に血の気が引いた。


「ま、まだいるのかよ……!」


「もうダメだ、今度こそこの町は終わりだ……!!」


堤防は阿鼻叫喚の渦と化す。

絶望が再び、街を覆う。

だが、船の上に立つ亮だけは、その巨大なカニを見上げてぽつりと呟いた。


亮「……これ、食べれるかな? カニ鍋、美味しそうじゃない?」


バキンッ!!


言葉が終わるか終わらないかの瞬間。

亮が軽く踏み込んだだけで、島のように巨大なカニの甲羅が、まるで薄い氷のように粉々に砕け散った。

理屈抜きの、絶対的な一撃。

触れてさえいない。


亮「……あれ? 今の、ちょっと強すぎた?」


一瞬、世界が止まったかのように、誰も言葉を発せなかった。


そして。


「……は?」


誰かの、間の抜けた声。

それを合図にしたかのように――


「え、えええええええええええええええええええええええええ!!?」


堤防が、爆発した。


「カニが!! 一撃で!!?」


「いやいやいやいや今の何だよ!!?」


「触れてないぞ!? 触れてないのに砕けたぞ!?」


「あの冒険者、何だァァァ!!!」


悲鳴とも歓声ともつかない叫びが、港町ベーゼを揺らした。

船の上でも状況が把握出来ていなかった。


あんな「……え?」


ベアトリス「……今のは、何? 触れてさえいないように見えましたわ……」


みゆ「……普通じゃない。物理法則、戦闘理論、全てが破綻しています……」


もっふる「ピィー!」


亮「あ、カニ鍋には日本酒だよな!そのためにはやっぱりお米が……また今度かな」


みゆ「そうですね」


あんな「……」


そこには、静かに海へと帰っていく巨大なカニの残骸……そして、最高の食材しかなかった。

しかし、その内部から現れた、光り輝くカニの身……ではなく、かすかに光を放つ不思議な「紋章」が海底へと沈んでいった。

そのことは、誰も気が付かないのであった。


こうして――

海を割り、伝説を二本立てで粉砕したパパ。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が、

最上級の海の幸を手に入れ、沈みゆく夕陽を背に港へと帰還する。


「伝説の海獣」が特大サイズのシーフードBBQに早変わり!?

クラーケンにグラン・キャンサー、深海の絶望を「完食」して港を救った神崎家!

「世界一の娘たち」への賛辞に親バカ全開の亮パパと、勝利の代償に「海トラウマ」を抱えたもっふるの明暗が分かれる!?

宴の中、月夜の影――去り際の青年が呟いた「勇者」の響きが、平穏なスローライフを揺るがす?


次回、第102話 え、パパが勇者!? 港に響く「世界一の娘たち」への賛辞!? 絆で勝ち取った最高の海の幸と、月夜に忍び寄る新たな物語の影ー!?


お腹はいっぱい、謎は山積み!

英雄扱いのご一行、次なる目的はやっぱり「白いごはん」!?


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