第96話 え、パパが勇者!? 聖獣もっふるの意外な弱点発覚!? 嫌がる相棒を無理やり海へ引きずり込むパパの無自覚な鬼畜の所業ー!?
第十一章、始まります!
「次はお米と、新鮮な海の幸だ!」
パパの飽くなき食欲に導かれ、神崎家一行がついに辿り着いたのは、潮風香る港町。
しかし、期待に胸を膨らませるパパを待っていたのは、活気ある市場……ではなく、魚一匹いない静寂に包まれた「ゴーストタウン」だった!?
もっふるの意外な弱点が発覚したり、娘たちがド派手な魔法で海を割ったりと、スローライフとは程遠い「海の大決戦」の幕が上がります。
パパが「ただの釣り」のつもりで放った一撃が、海の理さえも書き換えてしまうのか。
三姉妹の「神レベル」の解放が、港町の運命を思わぬ方向へ加速させます!
果たして、波の音の向こうでパパを呼ぶ「謎の声」の正体とは――。
100話の節目を越え、さらに加速する神崎家の無自覚ドタバタ珍道中、新章もぜひ楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!
神秘の湖を後にした一行は、東へ向かう街道を軽やかに歩いていた。
背後にはまだ薄く霧の名残があるが、前方の空は抜けるように高い。
亮「いやー、釣りは楽しかったな! もう少しで大物が釣れたのに!」
ベアトリス「ですわ! 次は“海”という場所で、必ずや大物を仕留めてみせますわ!」
もっふる「ピィー♪」
街道をさらに進むと、風の匂いがふわりと変わった。
ツンとした、けれどどこか懐かしい、生命の源のような香りが鼻をくすぐる。
亮「おー! 見えたぞ、みんな! 海だ!」
あんな&みゆ「海だー!」
視界が開けた瞬間、目の前にはどこまでも続く深い青が広がっていた。
水平線が空と溶け合い、陽光を反射してキラキラと銀色の鱗のように輝いている。
ベアトリス「あ、あれが……海ですの!? なんて広大……! 大地が終わって、水の世界が始まっていますわ!」
もっふる「ピィー♪」
一行は駆け出すようにして砂浜へと降り立った。
見渡す限りの青い水平線。打ち寄せる白波。
あんな「綺麗……。なんだか、ずっと見ていられるね」
みゆ「……汚染指数、ゼロ。本来あるべき海の姿です」
初めて見る大海原を前に、ベアトリスは波打ち際で目を輝かせ、波打ち際へ駆け寄る。
ベアトリス「お水が近づいたり遠ざかったりしていますわ! 生きているのですか!? なんですの、この動きは?」
亮「それは『波』って言うんだよ」
ベアトリス「なみ……? 面白いですわ!」
もっふる「ピィー♪」
砂浜に座ったあんなとみゆは、しばらく海を眺めていた。
あんな「こうやって海を見ると、日本と変わらないね。なんだか、ホッとするなぁ」
みゆ「……同感。水の音、潮騒の周波数……リラックス効果が計測されます」
しばらくの間、二人は旅の疲れを忘れて、ただ静かに海を見つめていた。
その一方で、波打ち際では亮とベアトリス、そしてもっふるが賑やかに遊び始めていた。
だが、もっふるだけはどうしても水に近寄ろうとしない。
亮「どうした? もっふる。水遊びは楽しいぞ」
もっふる「ピィー!? ピィー!?」
ザザァ……
と波が寄せてくるたび、もっふるは毛を逆立てて後退りする。
もっふる「ピィィーーー!?」
ベアトリス「どうしましたのですわ? 波は怖くありませんわ?」
亮「あ、そういえば湖でも山菜取りに行ってたよな……」
ベアトリス「まさか……水が苦手なのですの?」
もっふる「ピィー!!」
亮「大丈夫だよー、怖くないって、ほら楽しいぞー!」
ベアトリス「そうですわ、もっふるちゃん! わたくしと一緒に波と踊りましょう!」
亮とベアトリスは波打ち際でバシャバシャと遊び始める。
亮「大丈夫だよー! ちょっと入ってみよう!」
もっふる「ピィィィィ!!」
亮に抱えられ、そのまま海へ――
バシャッ!
もっふる「ピィーーーー!!」
必死で亮の肩にしがみつき、一滴の雫も浴びたくないとばかりに、亮の頭の上に避難するもっふる。
どうやら“水が苦手”という弱点が判明したようだ。
ベアトリス「この水……塩の味がしますわ!」
亮「海水だからね。塩が含まれてるんだよ」
ベアトリス「お水に味があるなんて、海はどこまでも不思議な場所ですわ……!」
あんなが立ち上がり、手を振った。
あんな「そろそろ行こー!」
みゆ「日が暮れます」
亮「おー!よーし、晩ご飯はお魚かな!」
ベアトリス「分かりましたわ!」
もっふる「ピィー……♪」
海との初めての対面。
もっふるにとっては少し災難だったが、潮風に吹かれる一家の表情は、これからの出会いを予感して明るく輝いていた。
こうして――
初めての海に胸を躍らせつつ、
もっふるの“意外な弱点”を知った神崎家は、
次なる目的地・港町へと歩き出した。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は、
ついに海の街で新たな出会いと“お米”を探す旅へ突入する!?
「鯛やヒラメの舞い踊り」を夢見て辿り着いた先は、まさかのゴーストタウン!?
活気を失った「東の真珠」で亮パパが名乗ったのは、矛盾だらけの「スローライフ冒険者」!声をかけてきた青年に、堂々と「Fランク」の証を突きつけるパパの天然っぷりが、港町の希望?を粉砕する!?
潮風に混じる不気味な腐敗臭と、海底から響く重低音……この街、何かがおかしい!
次回、第97話 え、パパが勇者!? 期待した海鮮グルメが全滅!? 魚一匹いないゴーストタウンで自称「スローライフ冒険者」が大迷走ー!?
お米どころか魚さえいない異常事態! 亮パパ一行、海の闇を無自覚に照らし出せるのか!?




