第91話 え、パパが勇者!? 目指すは日本の心、お米と刺身!? 呆れる娘たちと海を夢見るパパの、新たな珍道中がスタートー!?
第十章、そして――第二部スタートです!
「あぁ……炊きたてのお米に、新鮮なお刺身が食べたい……」
パパのそんな「日本の心」への渇望から始まった、神崎家の新たな旅。
海を目指して突き進む一行が迷い込んだのは、数百年もの間、人を寄せ付けなかったという「伝説の聖域」
神秘的な静寂に包まれるはずのその場所で、パパが「ただの釣り」を始めたことから、事態は聖域の主をも巻き込む未曾有の大騒動に!?
「ただの青虫」がA級魔獣扱いされ、一振りの竿が湖を割り、拾った石が古代の遺物を凌駕する――。
娘たちの(物理的に)熱すぎるバックアップと、もっふるの癒やしも全開でお届けします。
果たしてパパは、伝説の主と「ガチンコ勝負(?)」の末に、念願の白米へと辿り着けるのか。
――ここからでも楽しめる、新しい旅の始まり。
神崎家の無自覚すぎる珍道中、ぜひ気軽に読んでいただけたら嬉しいです!
ミルナ村を後にした神崎家の一行は、街道をのんびりと進んでいた。
背後に遠ざかる村からは、今日も穏やかな湯気が昇っていることだろう。
亮「いやぁ、温泉よかったなー。心も体もリフレッシュできたよ」
あんな「そうだね。色々と大変なこともあったけど、無事に解決できたし。またいつか、みんなでゆっくり行きたいね」
みゆ「……温泉成分による疲労回復効果、および村の経済基盤の安定。ミッション完了」
ベアトリス「本当に素晴らしい日々でしたわ! また一つ、思い出が増えましたわ」
もっふる「ピィー♪」
あんなはふと、前を歩く亮の背中を見て首をかしげた。
あんな「ところでパパ、どこに向かってるの?」
みゆ「……迷子の可能性、上昇中」
ベアトリス「迷子ですの!? それもまた、新しい発見がありそうで楽しそうですわ!」
亮「いやいや、目的地は決まってるぞ! 東だ!」
あんな「東ーー!?」
みゆ「情報が雑すぎます。……パパ、その根拠は?」
亮は満面の笑みで、振り返って言った。
亮「商人のルイスさんが言ってたんだよ。東に“お米っぽい何か”があるって!」
あんな「“ぽい”って何よ!? もっと具体的な根拠はないの!?」
みゆ「信頼度、限りなくゼロ」
亮「あはは、確かにルイスさんは『お米』っていう名前自体は知らなかったんだけどね。白くて小さくて、炊くとふっくらして甘い粒……それらしいものが取引されているっていう噂を教えてくれたんだ」
亮がそう言って道端の斜面に目を向けた時、ふと足が止まる。
苔むした岩の隙間に、不自然に転がっていたのは、五角形の奇妙な形をした鈍い色の石だった。
亮「お、これいい形だな。見てよ。釣りの重りにちょうど良さそうだ」
あんな「ちょっと、パパ! 旅の途中でゴミを増やさないでって言ってるでしょ! どこにでもあるただの石じゃない」
みゆ「……スキャン中。特異な魔力反応なし。ただの堆積岩と推測されますが、形状の対称性が不自然に高い」
亮「いや、なんかこれ……『呼んでる』気がするんだよね。お米への案内石かも!」
亮は鼻歌混じりにその石をアイテムボックスに入れると、再び歩き出しながら話を戻した。
亮「それに、東には海もあるってさ!」
ベアトリス「海……! 私、見たことありませんわ! ぜひ行ってみたいですわ!」
もっふる「ピィー♪」
亮「だろー! 広い海を見ながら、獲れたての魚を食べるんだ。刺身に煮魚、焼き魚……想像しただけでお腹が空いてくるよ!」
あんな「……ちょっと、お米はどうなったのよ」
みゆ「……目的が既に食欲に変換。いつものパパです。しかし、東へ向かうルート上、不可解な霧が発生しているエリアを確認。注意が必要です」
亮「よし、決まりだ! 港町で釣りをしながら、今度こそ本物のスローライフを満喫するぞー!」
あんな「はいはい、スローライフね」
みゆ「……嫌な予感しかしない。トラブル遭遇率、既に上昇を始めています」
ベアトリス「釣り……? 魔法で一気に獲ればよろしいのかしら?」
もっふる「ピィー?」
亮「よし、説明しよう! 釣りとは――」
あんな「パパ、歩きながら説明して、また道間違えないでよ!」
亮「そんなわけ……あるかもしれないな!」
みゆ「自覚がある分、救えません」
「東にお米があるらしい」という、あまりにも頼りない情報。
そしてパパが拾った「重りの石」。
一行は白い霧が待ち受ける未知の領域へと足を踏み出した。
ただ――
新しい出会いと、パパの規格外な「勘違い」が巻き起こす大騒動の気配だけは、 確かに風に混ざっていた。
こうして――
お米と魚という、日本人の魂(?)を求めるパパの暴走により、旅の舞台は未知なる聖域へと移る。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が、
水平線の向こうで待ち受けるのは、 美味しい食卓か、 それとも新たな大騒動か
幻想的な霧の結界を「ノーガード戦法」で突破!?
たどり着いた先は、数十年間誰も足を踏み入れなかった伝説の聖域!
神秘の守り手・バルト老人を前に、緊張感ゼロで「釣りしていい?」と食い気味に誘うパパの鋼のメンタルが炸裂!
「邪心」がないから通れた……って、パパの頭の中はお米と遊びのことだけなの!?
次回、第92話 え、パパが勇者!? 霧を抜けたら伝説の聖域!? 挨拶もそこそこに釣り糸を垂らすパパのせいで静寂が台無しー!?
鏡のような湖面の底で、パパの無自覚な魔力に「巨大な主」が目を覚ます……!?




