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トレイン&スポーツラブ~山口で出会った二人のラブストーリー  作者: リンダ
ドタバタラブコメディー開幕

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78/86

届く方へ― Forever Loveと笑いのロングトーン ―

吹奏楽コンクール・山口県大会 in 岩国

― Forever Love:最初の一秒=挨拶、最後の一秒=握手 ―

第一章 くじ引きと「一曲入魂」


岩国市文化ホールのロビー。

番号くじを引いた石井が、札をめくる。

「……12番」


ざわつきが静かに収束する。

郷子(Tb)「真ん中、ええ位置や」

温也(Tb/)「ここで“ど真ん中の一曲”かましたる」


今日のプログラムは一曲勝負。

タイトルは黒板に太い字で書かれていた。


Forever Love(X JAPAN)— 吹奏楽バラード・シンフォニック版

編成:Fl/Picc, Ob(なし), Cl群, Sax群, Hr, Tp, Tb×3, Euph, Tuba, Perc(Dr, Timp, Cym, Glock, Vib, Wind Chime)


泉「郷子さん、最初の一音、挨拶で飛ばすんやで」

ひろ「最後の一音は握手で残す」

藍さん&トシ君は親指を立て、無言の“届くほうへ”。


佐々木先生が短く頷く。

「いいか。歌うな。語れ。ピアニッシモこそ横隔膜で支えろ」


第二章 準備:ロック・バラードを“語る”配置


リハ室。テンポ指定は♩=約56。

チューニングのB♭が重なり、空気の密度が上がっていく。


前段:Cl&Saxで“弦のパッド”を作る。


中段:Hr&Euphが中域を抱き、Tpは“光の粒”で上物を点描。


後段:Tb3本(郷子・温也・石井)が“人の声域”を担う。


低域:Tubaが床を温める。


Perc:ティンパニは大振り禁止。Vib/Glockは“星の光”で。


佐々木「郷子・温也、導入の“語り”頼む。息の合図は半拍前」

郷子「最初の一秒、私が吸う。——温也、あんたが置く」

温也「任せぇ。届くほうへ置く」


日向子(Picc)「高域は“泣き”より“祈り”でいきます」

久保田 朱里(Dr)「スネアはブラシ、心拍BPMで」

谷口 萌(Vib)「アタック角度10°。溶かすイメージで」

仁科 海晴(Tuba)「床、温度上げとく」


準備は、静かに熱い。


第三章 本番:岩国に灯るロングトーン


暗転。アナウンス。

「12番、山口第一中学校 吹奏楽部。演奏曲、Forever Love」


袖でWind Chimeが微かに揺れる。

タクトが上がり、**無音の“吸気”**が一斉に揃った。


――一音目。

Tb(郷子)の“語り”が、客席の胸にそっと置かれる。

温也が半拍遅れて同じ母音を重ね、二人の声が“ひとつの心音”になる。

Cl/Saxが薄くパッドを広げ、Hrが温度を上げる。

Tpは息だけを通し、音にならない光を客席に散らす。

Vibが“星の粉”を数粒。グロッケンが夜空を点にする。


(最初の一秒=おはよう)


旋律が上がる節目、郷子→温也→石井へとフレーズが受け渡される。

三本のトロンボーンが“同じ言葉を違う声色”で語り、

中域のEuphが**「だいじょうぶ」**と和らげる。

Tubaの床鳴りが、ひとつの家のように全員を支えた。


中盤、動的クレッシェンド。

佐々木の左手が**“まだ我慢”を示す。

全員、歯を食いしばって二拍我慢**。

支え切った先の一拍返しで、音が客席の奥へ届く。

郷子が目を閉じ、温也がフォールを呑み込んでただ伸ばす。

鳴らさない勇気が、音を大きくする。


頂点直前。

ティンパニが無音の構えだけを見せ、Cymはエッジを置く。

Tp陣が“点”で灯り、Saxが“風”で繋ぐ。

指揮がゆっくりと弧を描く。

来る。


——頂点。

全員の肺が、同じ方向へと開いた。

吠えない。叫ばない。ただ、抱きしめる。

その和音は、岩国の天井を超えて、見えない空へ置かれた。


減衰。

音が“記憶”へ変わる。

郷子がpppの出口を指先でつまみ、温也が息の余白で受け止める。

最後の一音は、舞台と客席の握手になった。


沈黙。

一秒、二秒、三秒。

拍手が、泣きながら笑うみたいに広がった。


(最後の一秒=ありがとう)


退場足音BPM=80。

演奏は、まだ続いている。


第四章 ロビー、結果、そして呼吸


発表。

「金賞——山口第一中学校」


歓声が爆ぜる前に、郷子が胸を押さえた。

(届いた)

温也は短く拳を握り、誰にも聞こえない声で言う。

「——Forever」


泉が駆け寄る(大阪弁)。

「郷子さん、温也! やったやん! 最初の一音、背中ぞわってした!」

ひろ「最後の減衰、握手やった。音、残った」

藍さん「拍手、遅れてきたよね。あれ、“本気で届いた”合図」

トシ君「……(うなずいて親指)」


佐々木先生はただ一言。

「歌わなかった。語った。——お前らの勝ちだ」


第五章 表彰式:タイトルの余韻


トロフィーを受け取る列。

ライトが金色を跳ね返す。

写真のために並ぶ瞬間、郷子が温也の肘をこつん。


郷子「なぁ、温也」

温也「ん」

郷子「今日の“最初の一秒”、一生忘れんと思う」

温也「ほな、最後の一秒も、一緒に持って帰ろか」

二人は笑って、スライドをそっと合わせた。小さな“音の握手”。


外に出る。

岩国の夏風が、さっきより少しやさしい。

遠くでWind Chimeが揺れて、

今日のタイトルが静かに胸に灯る。


——Forever Love。

最初の一秒=挨拶。

最後の一秒=握手。

そして、届くほうへ。


演出・アレンジ覚え書き(次回のための譜面裏メモ)


入口:Tbソロ→デュオ→三重唱で“人の声域”を語る(ヴィブラートは控えめ/息の流れ優先)。


Cl/Saxは弦パッド役。重ねは薄く、倍音で厚く。


Tpは点光。ノン・レガートで“粒”を置く。


Hr&Euphは体温係。中域の長音で曲の温度を保つ。


Perc:Vib/Glock=星、Timp=心拍、Cym=呼吸。鳴らさない勇気を。


二拍我慢→一拍返しの山、全員で吸う。


退場足音=BPM80。演奏の一部。




中国大会・練習記

― “語る”を磨く二週間 ―

第一章 キックオフ ― 地図の端まで届かせる


放課後、楽器庫の奥。

黒板に先生が大きく書く。


『中国大会:ホール=広島J文化センター/残り:14日』


佐々木先生「県大会は“歌わず、語った”で金。ここからは語彙を増やす。

三つ、狙いを言う。

① ppの長距離走(減衰の“出口”を伸ばす)

② 二拍我慢→一拍返しの“肺リンク”を全員で

③ ダブルTbの**呼応(コール&レス)**を“人の会話”まで落とす」


郷子「会話やったら得意や」

温也(大阪弁)「うちのTb、しゃべらせたら朝まで帰らんで」

部屋中、くすっと笑いが広がる。


先生「笑ってもええ。けど音は泣かせるな、抱きしめろ」


第二章 配置と空間 ― “ホール前提”の隊形


譜面台が動き、イスが数センチずつズレる。

石井(Tb先輩)が白テープを床に貼った。

「ここがTb三重唱の結界。郷子→温也→石井で“声色”をずらす」


前段:Cl/Sax=弦パッド(ppの毛布)。


中段:Hr/Euph=体温。


後段:Tb×3=語り部。


低域:Tuba=床暖。


Perc:Dr=心拍、Vib/Glock=星、Timp=“来るぞ”の無音。


日向子(Picc)「高域は“泣き”じゃなく“祈り”で」

朱里(Dr)「心拍、今日はBPM=56固定」

萌(Vib)「マレット角度10°。氷みたいに溶かす」


先生「郷子、入口の“おはよう”——半拍早めに息見せて合図」

郷子「はい」

温也「ほなワイがうん、聞こえたで返す」


第三章 節度ある熱狂 ― リード合奏①


——吸う。

郷子の一音目が、壁を撫でる。

半拍後、温也が同じ母音で重ねる。

三本のTbが“会話”を始めると、Clの布団が膨らみ、Hrが温度を上げる。


先生「二拍我慢」

全員の肺が止まり、目だけが合う。

「——いま、一拍返し」

和音がすっと前に歩く。大げさじゃない。けれど遠くへ行く。


減衰の出口。

郷子がpppを指先でつまみ、温也が息の余白で受け取る。

スネアのブラシが**“だいじょうぶ”**と囁いた。


止め。

先生「吠えず、届いた。この方向や」


第四章 分奏デイ ― “語彙”を増やす

金管分奏(語り部ワーク)


石井「母音“う・あ・お”で無声レガート。舌使わず息で言葉作れ」

郷子「『う…』で置いて『あ』で開く——『お』で抱きしめ」

温也「ええやん。ほなワイ、**『せやな』**の顔で受ける」


全員笑い。けど音は真剣。

“語り”の音が、一段深くなる。


木管分奏(織物ワーク)


Cl/Saxは編み目の粗さを揃える練習。

強くしない。薄くもしない。

織物の張力だけで、金管を前へ押す。


打楽器分奏(見えない波)


朱里「スネア=息の代役。叩かない“時間”を叩く」

萌「Vibは点じゃなく霞。マレット置いたら、すぐ離す」

Timp「“来るぞ”の顔だけ見せる。音は出さん」


第五章 模擬審査 ― 紙の講評じゃなく“会話”


土曜。OGの先輩二人が来校、模擬講評。

先輩A「導入のTb、人の声になってる。母音の統一が美しい」

先輩B「ppの出口、あと2小節持てる。『迷い』が出た瞬間に空気が崩れる」

先生「ほら来た。迷ったら吸え。音は止めるな、息で持つ」


温也ぼそ「迷った瞬間の顔、バレとるねんな」

郷子「顔に出るタイプや」

温也「せやろなぁ(にや)」


第六章 クロスする風景 ― 体育館の羽音


同時刻、体育館。

いず(泉/大阪弁)&ひろは、市→県→中国へ向けて練習強化。

姉・津留美(柳井商工)と本山先輩が帰省コーチ。


津留美「“二拍我慢”は合奏と同じ。返す一拍で相手の時間を奪う」

本山「見せびらかすな。要所で一発。あとは拾い勝ち」

泉「了解! “最初の一本=挨拶、最後の一本=握手”!」

ひろ「届くほうへ、置く」


体育館の壁越しに、音楽室からロングトーンが聴こえる気がする。

同じ学校の空気が、同じ方向へ流れていた。


第七章 夜練 ― “遠くの誰か”へ


ホール想定の残響シミュレーターをON。

音が2秒、客席に残る設定。


先生「残る音に責任を持て。言いっぱなし禁止」

郷子「返事まで吹く、ってことやね」

温也「『またな』まで言う、や」


通しの最後。

退場足音=BPM=80。

演奏は、まだ続いている。


第八章 小さな事件、そして笑い


夜。練習後。

音楽室のホワイトボードに小さく書き足されていた。


(最初の一秒=挨拶)

(最後の一秒=握手)

(届くほうへ)


そこへ、湯田家の小町(猫)の写真がグループに投下。

「ニャ(注意)」スタンプで**“pp出口注意”**の合図。

部内が一気に和む。


温也「猫にまで監督されとるがな」

郷子「効くんよ、これが一番」


第九章 総仕上げ ― 14/14


最終リハ。

タクトが上がる。

——吸う。

導入、語りはもう“言葉”だった。

中盤の山、二拍我慢は全員の肺で“共同作業”。

頂点、吠えず、抱きしめる。

減衰の出口、迷いゼロ。

最後の一秒、握手。

静寂がホールを満たし、誰かの肩がそっと下りる気配。


先生、腕を下ろす。

「——準備、できた。あとは遥かの客席に置いてこい」


温也(小声)「行こか、郷子」

郷子「うん。“またな”って言いに行こ」


付録:本番直前メモ(楽屋の柱に貼ったやつ)


入口:Tb三重唱=母音“う→あ→お”。半拍早く“息見せ”。


二拍我慢→一拍返し:左手を見る。歯を食いしばらない。


pp出口:迷ったら吸う。息で持つ。


Tpは点光/Cl-Saxは布/Hr-Euphは体温/Tubaは床暖。


Perc:叩かない“時間”を叩く。Vibは霞、Timpは影。


退場:BPM=80。演奏はここまで。


合言葉:最初の一秒=挨拶/最後の一秒=握手/届くほうへ






放課後の体育館 ― “笑って強くなる一年目”


シャトルが天井で白く跳ね、木床に軽い音を散らす。

山口第一中バドミントン部の放課後、空気は汗と笑いでいつもの熱量。


「はい、いったん給水〜。“口のストレッチ”も可!」

村田コーチの一声で、部員が水筒を手に集まる。


泉(中1)、にやっと笑ってラケットをマイクみたいに構えた。

「はいどーも〜、一年生コンビ“いずひろ”でぇす!」

ひろ(中1)「もうコンビ名そのまんまやめい。新人漫才ちゃうで」

泉「ええやん、“最初の一本=挨拶”、まずは笑いで口ならしや」

ひろ「それは音楽部のやつ!」


今日おるメンバー


仁保 泉(中1・女子/前衛)…大阪弁のボケと“要所で一発”が売り。


仁保 宇宙(ひろ)(中1・男子/後衛)…拾いの鬼。ツッコミ制御塔。


杉本 葵(中3・女子主将)…冷静沈着、でも笑いの沸点は低い。


中谷 未央(中2・女子)…笑い声の音圧が体育館級。


浜崎 拓斗(中3・男子)…スマッシュ大砲。笑うと精度が2割落ちる。


藤井 莉音(中1・女子)…見た目かわいい毒舌枠。


榎田 航平(中2・男子)…球拾いの神。笑い出すと止まらない。


村田 孝信(顧問)…関西ノリで指導。笑いに弱く脱線しがち。


見学席には、高校に上がった二人の先輩。

矢場 藍(山口西高校・1年)と、太田 歳也(私立・高田高校・1年)。

「おーい、後輩ーズ。手首ゆるめて、笑いは締めて!」

「どんなウォームアップやそれ!」と一同ツッコミ。


1)ウォームアップ兼“口のストレッチ”


泉「本日の目標、“届くほうへ”&“二拍我慢→一拍返し”で笑いも球もコントロール!」

ひろ「笑いをコントロールするな。ラリーや」

葵「でも、笑いで肩の力は抜けるよな」

未央「抜けすぎて、さっきサーブ3球連続ロングになりました〜」

一同「正直〜!」


藍、ニヤリと拍手。

「一年やのにテンポええやん。**“間”**の作り方、もう習得しとる」

歳也「うむ、将来は“お笑いラケット部”やな」

ひろ「やめろ、競技名変わる」


2)基礎打ち → 蚊、参戦。


ノックが進む。

ひろ「前、任せた!」

泉「後ろ、預かった!」

3往復して、ネット前で“置く”形――の予定が。


泉「イタッ!!」

ひろ「どした!?」

泉「蚊やっ! 試合で刺すより刺されてるっちゅうねん!」

体育館:ドッ


村田「“見せびらかさん一発”どころか、“見せびらかさん一刺し”やな!」

葵「それは全国禁止技やで!」

藍「スコア:蚊1—0泉」

泉「いらんスコア増やすなや!」


藤井(中1)が前に出る。

「泉先輩、そこ掻くより先に、“二拍我慢”です」

泉「かゆみで二拍我慢はハードル高っ!」

ひろ「でも我慢のあと“一拍返し”でヘアピン置けるやろ?」

泉「――置く!」(すっ…)

ネット前に無音ドロップ。相手、届かず。

ベンチ「おおぉ!」

藍「今のは要所で一発や。完璧!」


3)一年生まつり(交替ラリー)


村田「次、交替で一年生入れ! “笑い過ぎ注意”の貼り紙の近く集合!」

榎田「そんな貼り紙あるかい!」

未央「仮設や仮設!」


いずひろ vs 藤井&榎田

 → 初手、泉が“最初の一本=挨拶”を忘れて、

  二人同時に「ごめん!」でさらに遅れる“新人あるある”。

 ひろ「同時に譲るな!」

 藤井「かわいいから許す」

 泉「やさしさに甘えます(即土下座)」

 葵「土下座早い!」


いずひろ vs 浜崎&未央

 → 浜崎の大砲スマッシュが火を噴くが、

  ひろの拾いが壁。

 泉「拾うでぇ!」

 ひろ「拾って拾って、さらに拾う!」

 未央「笑いすぎて肩外れる〜!」

 村田「外すな! その前にBPM80で整列や!」


4)給水=“夫婦漫才(仮)”タイム


泉、水筒を掲げてグビグビ。

「ぷはーっ。蚊にビタミンB群、半分持ってかれた気ぃする」

ひろ「気ぃのせいや。……たぶん」

泉「今度は蚊取り線香×ミントのダブルで対抗や」

藍「部室が夏祭りの匂いになるぞ」

歳也「顧問にバレたら“燃やすな”って一喝」

村田「聞こえとるわ!」


泉、きりっと客席(=部員)へ。

「それでは実演。“退場の足音=BPM80”の代わりに、

“入場の足音=BPM80”で再開しまーす」

トン、トン、トン――と、いずひろが同じ歩幅でコートへ。

葵「歩きが合うの、地味に格上ポイント」

藤井「尊い……(カメラ連写)」

ひろ「撮るな、集中切れる」


5)仕上げ:ゲーム形式(藍&歳也が実況)


藍「さ、ここからは**“届くほうへ”の徹底」

歳也「実況わしがやる。“一年生・いずひろ、見事に口は回るが足も回る**!”」

村田「誰がMC頼んだ」


サーブ、レシーブ、吊る、落とす、刺す――

“緩→急→緩”に対し“急→止→急”で返し、

一年生らしからぬテンポの奪い合い。

ひろ「逆斜め、空ける!」

泉「前、任せた!」

無音のピース・ドロップがネットを撫で、相手の足が止まる。


葵「……ほんま、一年の伸びやない」

藍「“合図”が半拍早い。合図=武器になっとる」

歳也「おもろいのに、ちゃんと強い。これ最強やん」


――決まった瞬間、泉がぺこり。

「ただいまの“握手”、無音でお届けしましたぁ〜」

ひろ「毎度のアフターサービスいらん!」


体育館、拍手と笑い。


6)クールダウン ― “練習より笑って疲れた日”


「はい終了〜! 本日のメニュー、おしまい。

……で、どうや、練習より笑う方で疲れたやろ?」

村田がニヤリ。

部員一同「疲れたぁぁ!」

未央「腹筋が筋肉痛!」

榎田「頬っぺたも痛い!」

葵「でも、肩の力ぜんぶ抜けた。いい時間」


泉、ラケットを肩に担いで、汗をタオルで拭いながら。

「なぁ、うちら一年でも――“届くほうへ”いけるで」

ひろ「いける。笑いも球も、先に合図。それで勝てる」

藍「その調子で、次の“市の大会→県→中国”抜けてこい」

歳也「高校でも待っとる。……あ、漫才枠やなくて競技枠でな」

泉「どっちもいったるわ!」


夕陽が窓の格子で金色の線を落とす。

笑い声が薄く反響し、シャトルが転がる音が最後のBPMを刻んだ。


(最初の一本=挨拶)

(最後の一本=握手)

(――そして、届くほうへ)


一年目の夏は、汗と笑いの熱でまっすぐにのびていく。


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