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アルカナモラトリアム  作者: kiki
第1章 歪んだ世界
8/14

1-7 黒白分明



正直立っているのもやっとの状態だ。魔力だってあまり残っていないだろうし、依然としてピンチに変わりはなかった。




「威勢がいいのは結構だけど、フラフラじゃないか。こっちだって加減が難しいんだ。本当に死ぬよ?君」




「何回も言わせなんなよ。加減したことを後悔させてやるって言ってんだろうが。撃ち抜いてやるよ」




「はぁ……もう十分後悔してるよ……君みたいな意気のいい雑魚と関わってしまった少し前の自分にね」





“四ノ太刀 氷襲”




グラスの奥にいたはずのヤツは、瞬時に俺の前へと移動してきた。刀を抜こうとしているのが見える。




「……はっ!いい加減それは何度も見せてもらった!ぶっっっ飛べ!」




横薙ぎの一閃をギリギリの高さのジャンプで躱す。そのままヤツの顔面めがけて両足を揃えて蹴りを繰り出した。



ドギャッ!




確実に当たった感触が両足に伝わる。俺は何とか空中で身体を捻り、四つん這い状態で着地する。



ーーーくそっ!いてーな!




身体が悲鳴を上げているようだ。痛みが全身に伝わる。痛みに耐えながら、後方へ飛んで行くヤツを見ると、倒れるわけでもなく普通に立っていた。蹴りは顔面に直撃することはなく、寸前のところで片腕で防がれていたらしい。





「その気に食わねー顔面血塗れにしてやろうとおもったのによ」





「少し……甘く見過ぎたかな。省みるよ。いい加減面倒だし、もう一度眠ってもらう」






刀を静かに鞘に納めると膨大な魔力を込め始めた。白い光が刀へと集約して行く。ヤツの周りには凍てつく冷気が立ち込め始めた。橋の一部が少しずつ凍っていく。今まで見てきた攻撃で間違いなく最大出力のものを繰り出そうとしているのが伝わってくる。







「アルメラ‼︎ 早く逃げて!僕のことは大丈夫だから!」






「マジかよ……スゲェな!」




「アルメラ!!!」




グラスが何か喋ってるが何も届かなかった。ただ目の前のとてつもない魔力を放つこの男に、不覚にも興奮を覚えてしまったのだ。状況とは裏腹に自然と笑みが溢れる。




「やっと本気出したかよ!面白くなってきた!」






魔銃(アナストラクト)にありったけの魔力を込める。赤黒い魔力が瞬く間に集約された。自分でもよくわからないが、気分がいい。尽きかけてた筈の魔力が湧き上がってくる。




「ーーーなんだ、君のその魔力は⁉︎」




「ハハハハハ‼︎‼︎ 防げるもんなら防いでみろよ!!!!」






真紅放射(クリムゾンバースト)





両銃に込められた魔力が、禍々しい真紅の輝きとなって放出される。一直線に男へと向かっていく。






“一ノ太刀 飛燕 ・鳳凰”






刀に溜めた魔力を一気に斬撃に乗せて放った一撃は、氷の巨大な鳥を型取り真紅の塊とぶつかる。凄まじい魔力のぶつかり合いにより、周囲に強風が巻き起こる。


グラスは吹き飛ばされまいと、橋の一部にしがみつく。



「ぅ……ぐぅ。アル……メラ!」






「ぶっ放せーーーーーーーー!!!!」



俺は叫び声と共に、魔力の出力を上げる。ヤツの斬撃を押し切り真紅の弾幕がヤツを捉えた。





「ーーーーーくっ!!」






魔力の放出が終わると、目の前の直線上に煙が立ち込める。



ーーーー今度こそ完全に捉えた!



ヤツの姿を確認するまで前方から目を離さない。段々と煙が晴れていく。うっすらと影が浮かび上がってきた。よく見ると、片膝をつくヤツの姿が視認できた。




「ハハッ!さすがに効いたろ!」






命中させた喜びとは裏腹に、油断をしないよう気を張り続けた。銃をしっかりと構え、ヤツを狙う。煙が完全に晴れ、姿を見せる。





「…………これほどの魔力量……やはり君達二人ともただの子供じゃないみたいだね」




ヤツの身に付けていたローブは損傷していたものの、ヤツ自身には目立った外傷は見当たらない。あれだけの魔力の塊をその身に受けたのに……ありえないだろ。





「なん……だと?直撃しただろ!!どうしてーー」





「別にそんなに驚くことじゃあないよ。俺の斬撃がかき消された段階で氷の壁を何重にも張って直撃を避けただけさ。それでも威力を殺しきれなかったし、ダメージもちゃんと残ってる。大したものだ。雑魚……と言ったのは早計だったようだ。評価を改めよう」







「クッソ!!!だったらもう一発………っ!」




再度魔力を込めようとするも、全く練ることができない。銃弾を数発放つも、意思に反するように魔力が霧散してしまう。




「ようやく枯渇したようだね。それも当たり前か……。さてどうする?身体は疲弊し、魔力も尽きた。お友達と二人合わせてここで朽ち果てるのかい?」





「……………まだだ。まだ身体は動くしお前のムカつく声もちゃんと聞こえる。勝手に終わらせてんじゃねーよ」





「ダメだ、アルメラ!出血だって激しい!もう動いたら……君はもう限界だ!!!」





「君のお友達は賢いみたいだね。君の評価を改めるとは言ったが、それでも俺より格下だ。これ以上は無駄なんだよ。自分が一番よくわかってるだろ?」







「御託並べてんじゃねー。そういうお前だって魔力は限界だろーが。強がってんじゃねーよ」




打開策を必死に考える。どうにかしてこの状況を切り抜ける方法を。思考を止めるな。ヤツの言う通りもう限界だ。だが、諦めたって状況は好転したりは絶対にしない。考えろ!考えるんだ!


なんとか会話を引き延ばして時間を稼ごうとしていると、ヤツは刀を振るってきた。斬撃が飛んでくる。俺は咄嗟に魔銃(アナストラクト)を身体の正面で交差させる。




「がっっ!はぁっ!」



衝撃を受け止めきれずに後方のグラスの横まで転がってしまった。橋に叩きつけられた衝撃で意識が飛びそうになる。





「魔力が?限界?……ふふ。面白いこと言うなぁ。俺は君達みたいに無駄だらけじゃない。死にかけの二人を相手にするくらいわけないよ」





ヤツは鼻で笑いながら軽々と斬撃を飛ばしてきた。防げる程度の威力だったのは勿論わざとだろう。それだけでもまだヤツに余裕があるということを示すには十分だった。






「さぁ、色々聞きたいことがある。全て話してもらうよ」





ヤツが俺達に歩み寄ろうとしている。諦めたわけじゃない。ただ、身体が全く言うことを聞かない。ヤツの方を見据えることすら限界だった。







ーーーーーーヒュッ! ドゴォォォン!!!






突如何かが俺達とヤツの間に飛び込んできた。ヤツは後方まで飛び退き辺りを警戒している。何が起きたのかはよくわからないが、聞いたことのない声が響いた。






「オイオイオイオイ!勘弁しろよったく……あまりにも帰りがおせーから様子見に来てみりゃ、何やってんだクソガキ!お前のせいでこっちはいい迷惑だ」





クソガキ?俺のことか?いや、恐らく……知り合いなのか?どこから何をしたんだ?謎の多い男はどこからともなく俺達の近くに現れた。



ーーーーダメだーー意識が……




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





何故俺がこんなかったるいことに駆り出されなきゃならねえんだ。他にも暇なやついくらでもいるだろうが。黒白の橋の上空から橋を見下ろす。苛立ちを抑えられないまま元凶となったグラスのクソガキを睨みつけ怒鳴った。





「お前何こんなところで遊んでんだ!ふざけてんのか?あ?」





「ロ………ゼさん!どうして……?」





「お前の帰りが遅いからだって言ってんだろ。クソガキの迎えを頼まれたんだ。俺様の仕事を増やすんじゃねえよ」






「すいません……色々ありまして。少し遅くなっちゃいました」






「言い訳してんじゃねえぞオイ!お前の仕事は遅れずに戻ってくることじゃねえのか?馬鹿でも出来る簡単なコトだろ」





「……はい。その通りです。すいません」





悔しそうにグラスのガキがボロボロの姿で謝ってきた。色々……ね。どうやらそれは本当らしいな。橋の上には後二人の人間がいた。





「なんだもう一人のそのガキは?気失ってるじゃねえか」




真っ赤に血で染まった服を着て寝ているガキが気になってしまう。





「アルメラです。アシュグレイから一緒にここまで来ました」





「ほう。んで、アイツにボコボコにされたわけか?」






離れたところにいるもう一人のいけ好かない目つきをした男を、顎で示してグラスに問う。




「そう……ですね。僕もまとめてやられちゃいました。凄く強いです。圧倒されました……」






「ほう……お前がそんなに言うほどか….…少しだけ興味あるな。何で揉めてる?お前……が喧嘩売るわけねえしな。このガキがふっかけたのか?」





俺は足で血塗れのガキを軽く突く。






「何してるんですか⁉︎やめてください!彼は別に……アイツからです仕掛けてきたのは。アルメラはそれに対抗しようとして……僕も……」





俯きながら話を続けるグラスの頬を手の甲ではたき飛ばす。吹っ飛んでいくクソガキの姿を見て無性に腹が立った。




「ぐっ!な、何するんですか……いきなり」





「お前の腑抜け具合にムカついただけだ。情けねえ。やっぱこんなヘタレのクソガキ迎えにくるんじゃなかったぜ」






「すいませんでした……。僕に力が無いから………」






「力が無いから?無いからなんなんだよ?」






「え……?だから………アルメラも傷ついて、仕事も果たせなかった……」






今度は顔面に向けて蹴りを放つ。グラスはこれを両手で防ぐが衝撃でまた飛んでいく。






「くそ!だからなにを……」






「ダメだなお前は。あそこで転がってるガキのがよっぽど見込みがあるぜ」






グラスに苛立っていると背後から魔力の気配を感じた俺は、片手でそれを弾く。






「なんだ、やたら待っててくれると思ったら……ブレイクタイムはもう終わりか?」






「君達が取り込み中だったから少し空気を読んであげただけだよ。けどこっちも時間が勿体無いんでね」






「そいつはどうも。ただ喧嘩売る相手は選んだ方がいいぜ?まぁ、お前がクソガキ虐めたせいで俺に迷惑かかってるみたいだし……どのみち責任は取らせるつもりだったがな」






「そう……なら危険は排除しないとね」




“一ノ太刀 飛燕・群青”





男は飛ぶ斬撃をいくつも放ってきた。まるで鳥の集団が襲ってくるようだ。





「いい攻撃だ。お前も悪くないな」





俺は片手で全ての斬撃を受け止めて握り潰す。そのまま拳を強く握り、男に向けて正拳突きを放った。





「⁉︎ーーーぐっ!何をした?」





男は正拳突きによって放った衝撃波を避けることが出来ずに、刀でなんとか受け止める。どうやら自分の身体が思い通りに動かないことに気づいたらしい。






「さあな。んなことより、いいのか?そんな危ないところに立ってて」




俺が片手を開いて前に向けると、男の周囲を囲うように空中に円錐状の棘が無数に出現する。拳を閉じると一斉に男目掛けて棘が降り注いだ。





「ーーーー‼︎‼︎なるほど……」




“三ノ太刀 垂氷・氷牢”





男が刀を振り回し、切っ先を自らの足元に突き刺す。すると、周囲から男を囲うように氷のドームが出来上がり、無数の棘から身を守る。






「悪くねーな。これはどうだ?」





片手を上に振りかざすと小さい棘が集約していき、巨大な五本の円錐状の棘となる。手を振り下ろすと五本の棘が氷のドームを貫く。




“四ノ太刀 氷襲”




一瞬で俺の目の前に男が現れる。



ーーーーなるほど、最初の氷の膜を張った段階でコイツ自身は後方に下がって膜の外に逃げてたわけか。






刀が俺の喉元目掛けて振るわれる。




ガキンッ




金属の衝突音が橋に響く。俺は一歩も動かずヤツの刀を首で受け止めた。





「惜しいな。良い太刀筋だった。じゃあ宣言通り、責任取ってもらうぞ。痛みでな!」





右の拳を男の顔面に向けて放つが、ギリギリのところで躱される。しかし、そのまま右手で男の肩を掴み、左脚で腹部に蹴りをお見舞いした。





「がぁっーーー!っやはり……」





男は吐血しながら吹き飛ばされるも、片膝をつきながら着地した。




ーーーーーーーっち、当たる寸前に氷で威力を殺しやがったか。



「まぁ、今回はそれで勘弁しといてやるよ。クソガキ共に多少は削られてたみたいだしな。機会があれば万全の状態でまた相手してやるよ。見逃してやるからとっとと消えろカキ氷野郎」






「……確かに現状で君相手に善戦することは難しいみたいだね。だけど、そこの二人にはまだ用があるんだ。退いてくれないかな?」






「オイオイ勘弁してくれよ。立場分かってんのかお前?俺様の気が変わらなねーうちに消えろ」







男に向けて殺気を放つ。相手をしてやってもいいが、こっちにも用事があるからな……クソガキ連れて帰らなきゃいけねえ。長引くのは面倒だ。しかし、気になることがあるな……コイツの格好……どこかで……







「お前結局何者だ?何のためにコイツら襲った?答えろ」





「……………………」






「だんまりか。どうやらまだ立場を理解出来てないらしいな。質問してんじゃねえんだよ。答えろって命令してんだ」





「名前はわからないですけど、HACって組織の人間だって確か……言ってました」






俺がキレるのを察知したのか、後ろからグラスが情報を伝えてきた。……ん?HACって言ったのか⁉︎あの白い装束……どうりで見たことがあるわけだ。






「そうか、お前あの勘違い集団の人間かよ。だったら前言撤回だ。ウチの人間に手を出したんだ。わかっててやってんのか?





「ウチの……人間?……君達は……」








「あ?何言ってんだお前……」






俺が問い詰めていると上空から炎の塊が何発も降ってきた。片手から鎖を伸ばして、アルメラとかいうガキを引き寄せ担ぎ、炎を回避する。しかし、カキ氷野郎との距離が開いてしまう。




上を見上げると、白い装束を見に纏った魔女のような格好をした女が箒に乗ってこちらに何か言っている。





「卑怯なヤツら!三人がかりで一人を襲うなんて恥ずかしくないの?どんな卑劣な手段を使ったのか知らないけど、よくもツララをこんなに傷付けたわね!」





「あん?最初に襲いかかってきたのはコイツらしいぞ。現状を把握できてねえくせに偉そうにモノ言ってんじゃねえよ勘違い女」





「んな⁉︎勘違い……燃えろ!!!」




女は片手をこちらに向けると再度炎の塊をいくつか飛ばしてきた。





「どこ狙ってんだよ。当てる気あんのか?」





バク宙をして連続して降り注ぐ炎を軽く躱す。しかし、炎が橋に着弾すると凄まじい火柱を上げて俺達とカキ氷野郎を完全に分断した。





「逃すかよ!!」





鎖を伸ばして火柱の向こう側にいるカキ氷野郎を捕らえようとするが、予め魔力を溜めていたのか、足元に氷の柱を展開して上空へと飛び、箒へと着地した。






「アンタなんか最初から興味ないの!一生そこで吠えてなさい!」




連中はアシュグレイ王国の方向へ飛んで逃げようとしているようだ。





「俺様を舐めてんのか?お前らをこのまま黙って逃がすわけねえだろうが!」





俺は担いでいたアルメラとかいうガキを橋に横たわらせると、両手を上空にいるヤツらの方向へ勢いよく突き出し何本もの鎖を放つ。




「な⁉︎どんだけ伸びるのあの鎖!」




「大丈夫。このまま進んで。あれは俺が捌く」





“三ノ太刀 垂氷・氷壁”





空中に膜のような氷の壁が形成され、鎖が弾かれてしまう。俺は魔力を足元に集中させ、高く飛ぶと今度は右腕に魔力を集める。




「大丈夫なわけねえだろうが!砕け散れ!」




拳で氷の壁を粉砕する。すかさず左手から数本鎖を伸ばして連中の箒を縛りつけた。




「なんなのアイツ!このままじゃ……」





「お望み通り叩き落としてやるよ!」






「………仕方ない。本当はこういうやり方は好きじゃないんだけど」





カキ氷野郎が膨大な魔力を集中させる。




「諦めろ。お前如きの魔力量じゃ俺は止められねえよ」




「そうだね。だから直接君を止めようとは思ってないよ」





「ーーー!クソ野郎が」





氷柱落とし 堕(つららおとし こぼつ)





俺の遥か後方の空中に巨大な氷柱が形成され、カキ氷野郎が手を下に振り下ろすと、橋にいる瀕死状態のグラス達目掛けて急降下していく。




俺はヤツらを絡め捕った鎖を手放して空中を蹴り、一直線に橋へと向かう。




「クソ!……アルメラ……せめて君だけでも!」





グラスが慌てて気絶しているガキを抱えて逃がそうとしているが間に合いそうもない。





俺は物凄い速度で橋に着地すると、片手で肩を押さえてもう片方の手を橋に向ける。




吊上鎖縛(ハングドチェイン)






掌から出た無数の鎖が地面に出現した魔法陣を通り、空中に浮かぶ魔法陣から上空の巨大な氷柱を縛り上げる。ガキどもに直撃するギリギリのところで落下を止めることができた。







連中の方を見るが、もう既に遥か遠くまで逃げてしまっていた。





ーーーチッ、逃したか




拳を強く握り締める。連動するように鎖が氷柱を縛り付け、粉々に砕いた。橋に砕けた氷が舞い落ちる。







「ありがとうございます」




グラスが暗い表情で頭を下げて礼を言ってきた。俺はヤツの胸ぐらを掴み上げる。





「俺が何でお前を蹴り飛ばしたかわかるか?あ?お前が弱いからじゃねえぞ。お前のツレがあんだけ血塗れになるまでやられてるのに、お前は見切りをつけたように諦めて、逃げることしか考えてない負け犬野郎だからだ」





「………そんな……つもりは」





「あるだろうが!格上相手だろうが果敢に立ち向かったんだろ!あのガキは!なのにお前はある程度相手の力量がわかると、勝つ事を諦めて投げ出した。これ以上情け無いことがあるのかよ!」





「………すいません」






唇から血を流して謝るグラスを、俺は地面に投げ飛ばし、血塗れのガキを肩に抱えた。




「お前は……こんなになるまで戦った自分のツレの意思を無駄にしたんだ。もっと自覚して悔やめ」





「………はい」




「とりあえずこのガキも連れてくぞ。このまま放って置いたら最悪死ぬ。だいぶ時間過ぎちまったが、早く戻るぞ」








度重なる魔法攻撃により損傷した黒白の橋は、世界の加護により瞬く間に修復されていく。






二人の足音と修復音だけが虚しく響き渡る。








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