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68.その日お屋敷は・・・。

あけましておめでとうございます・・・って、もう2月節分です。

忙しくてUPする日がなくて。更新します!する気はあります!気づいたらブックマークも増えてて嬉しいです。有難うございます。

更新は遅くなりますが、します!

今年も宜しくお願いします。

「ガイにぃ---エリーさんが、まだ帰ってきてないんだ」


 陽も傾き、辺りがゆっくりと薄暗くなり始めた。もうすぐ辺りは真っ暗になる。

 俺が家に入ると待ち構えていたリクルにそう告げられた。


 エリーが、仕事で遅くなるのがわかっている日は、俺が仕事終わりに迎えに行く事になっているし、急な仕事の時はメイド仲間か使いの者がやってくる。


「伝え忘れたか?・・・俺が忘れたかのか?」


 ガシガシと頭を掻き、「・・・出て来る」と一言告げ、再び外にでる。妙な胸騒ぎを覚え---急ぎ侯爵家へと足を運んだ。





 侯爵家に着く頃には、闇に包まれ道を照らすのは個々の屋敷から漏れる明かりだけだ。

 この時間だ・・・当然、侯爵家の表門は固く閉じられているのはわかっていたが、顔馴染みとなっている侯爵家の騎士が数人、腰に差した剣の柄に片手を置き、厳しい顔つきで門の前で立っていた。


「---・・・何かあったの、か・・・?」


 俺は裏門へと急ぎ向かった。



「マヨネスのガイだ。妻を迎えに来た、エリーを呼んでくれないか?」


「・・・申し訳ございませんが、本日エリーさんはお帰りになる事はできません。お引き取り下さい」


 取り次ぎをしている小間使いの子供は暗い表情のまま、頭を下げる。

 何度ども足を運んだ場所だ、裏方の者達とは付き合いが長く、信頼もされている筈だが、顔見知りの子供さえ堅く口を閉ざす。


 ひたすら頭を下げる子供は、それ以上は、話す事が出来ないとばかりに強張った表情だ。


「はあ?泊まりならそれでいいが、一度顔を出す事くらいできるだろ!呼んできてくれ」


 苛立ちを隠せず思わず声を荒げてしまった。


 ・・・何があった。


『リーン、ランセイと連絡付けてくれ』


「申し訳ございませんが、外部との接触はしない様にと旦那からのお言い付けでございます」


 と、再び子供は丁寧に頭を下げた。


『・・・ランセイの気配はあるのだけど、返事がないわ』


 じーっと、視線をあいつの部屋に向けていたリーンが、待ちきれないとばかりに『---見に行ってくる』と言い残し、屋敷の中に入って行った。


 エリーと話をさせろ!と、取り継ぎを頼んでいると大音量の、リーンの声が響いた。


『!!---大変、ランセイが倒れている!ガイ急いで』


「おい、急用だ!中に入れろ!」

 前な立つ子供を押しのけ、裏門を潜り抜けるが此処にも護衛の騎士サイラスが剣を無め抜き、前に立ち塞がった。


「・・・悪いが、力づくでも通してもらう」


 相手にとって不足はねぇな・・・一度ゆっくりと手合わせ願いたかったのだが---そんな時間はない。


「一度中に入ったら許可なく帰る事は出来ない・・・が、それでもいいか?」


 ガッと、剣を交え、剣を引き寄せ顔を寄せ合いジリジリと睨みむ・・・そんな事で、引く気はない!


「はっ、馬鹿馬鹿しい!」


 バッと、互いに体を離す。


 チッ・・・とサイラスは舌打ちをして俺に背を向けた。


「こんな事をしている場合ではないな」

「・・・同感だ」


 スッ---、と互いに剣を鞘に収め、足早に館の中へと向かった。





 幾度となく訪れた場所だ。俺は迷わずキャロラインの部屋へと足を向かった。


 目的の扉の前には、二人の護衛騎士が睨みを利かせ立っていた。


「---おい待て、今この部屋には入れない。一先ず旦那様の元に・・・」


 サイラスが呼び止めるが、そんな暇はない。


「そこを退け!」


 扉を塞ぐ二人を押しのけようと手をかけると同時に頭の中で声が響いた。


『避けて、ガイ』


 リーンの声に反応して、扉の前から身を逸らすと---ガッと音と共に部屋の中から扉が開いた。


「!うわっ」

「ガシャ」


 部屋の中で起った突風とその勢いで開いた扉の反動で護衛騎士は、壁に叩きつけられていた。


「・・・悪いな、急用だ」


 部屋に踏み入ると---いつも通りの部屋のはずなのだが・・・床に倒れたランセイに声をかける続けるリーンの姿が---何かあったのだと物語っていた。


「・・・どういう事だ」


「おい、部屋から出るんだ!」


 サイラスに肩を掴まれ、部屋から出る様に言われるがそんな事に構っていられない。


『・・・ガイ、ランセイの回復を待つしか---』


 俺はそっとランセイを手に乗せると、普段寝床にしているのであろう籠に寝かせた。


「---おい、何をしている」


 リーンとランセイが見えないサイラスには、俺が奇妙な行動をしていると思っているだろうが、そんな事知った事ではない。


 サイラスは深くため息をついたが・・・---今は時間が惜しい。


「---じゃあ、侯爵様の所に連れて行け」


 俺は籠を抱え、早足で屋敷の中を歩くサイラスを追いかける。


 ランセイに寄り添うリーンの様子は、明るいものではない。


『・・・どうなんだ』

『---このままだと・・・消えちゃうよぉ。ランセイがぁあ』


「---ちっ、どうすりゃいい!」


 苛立ちをそのまま口にすると、足を止め、扉に手を開けたまま訝しげに此方をみるサイラスと目があった。


 ・・・ちっ、全部あの馬鹿の所為だ!


 俺は覚悟を決め、侯爵が居る扉に足を踏み入れた。





 部屋の中には、苛立ちを隠す事もせず、入室する者を全て射殺そうとする程殺気を帯びた侯爵と、静かに佇みドス黒い男・・・侍従がいた。


「・・・何の用だ?誰がお前を呼んだ?」

 低く唸る様な声で侯爵が問いかけてきた。


 ・・・こりゃぁ、どん詰まり---って、とこか。


『あれ!机の上の石!』


 先ずは、こっちをなんとかしないとな・・・。


「---まあ、苛立ちはごもっともなのですが、それ!机の上の石、貸して頂けます?---こっちも急ぎなんでね!」


 後方からリーンが突風を起こし、その隙に俺は侯爵の前にある石を手に入れ、籠の中へと置く。


「おい、なんの真似だ・・・」


 カチッ、と短剣が俺の喉元に突きつけられて、下から侍従の黒い目が覗き込んでいた。


 ・・・こいつ、何者なんだよ。


「---待て待て待て、説明する」


 思わず手を挙げ、敵意がない事を示す。ちらり、侯爵を見ると身動きせずに此方を見据えていた。


「話してみろ」


「おいおい、剣はこのままかよ・・・」


「サッサとしろ」


 侍従は、ドス黒い感情を漂わせながらも、無表情で短剣を動かし威嚇する。


 ・・・こいつはやばい奴だ。


『ガイ!』

『大丈夫だ---ランセイの様子はどうだ』


 俺は、顔を動かす事もできず、視線を下げる。


 ・・・こっちの事情も少しは察して欲しいのだがね。


『持ちこたえたけど、・・・しっかりとした繋がりが欲しい。一番繋がりの深い人---侯爵様から名前を呼んでもらえれば、何とかなるかも』


「---・・・悪いのだが、この籠を侯爵様に渡してもらえないだろうか?」


 チラリと視線を籠に動かすと、サイラスが中を確認し侯爵の前に差し出した。


「キャロライン様の部屋に在った物なので害はないですよ」


 と、無害を主張してみるが・・・それも侍従の勘に触ったらしい・・・さらにヒヤリとする---喉元にある刃物をどうにかして欲しい。


 俺以外の目に映るのは、侯爵の石とランセイ用の寝床の綿だけなのだ、疑う余地もないのだが・・・。


「その石に触れて、『ランセイ』と言ってもらえますかね?簡単な事です・・・そうすればお探しのお嬢様に何があったのか少しはわかると思いますよ」


 ---唯一の目撃者だ、サッサと起きてもらわなければ。


「何の情報も得られてないのでしょう?」


 ニヤリと、口角を吊り上げると、ビリリッとした殺気が部屋に満ちた。


 ・・・当たりだな。


「---こんな事で手掛かりが掴めるのなら、乗ってやろう。『ランセイ』・・・これでいいか?」


 公爵様は、俺から視線を一切外す事なく低く一言『名』を呼んだ。


 一欠片の陰りも、動きも見逃すつもりはないようだ。---まあ、こちらとしても疚しい事はない!受けて立つだけだ。



『---・・・やった、間に合った!ガイ良かったよぉ』


 思わず・・・ほぉっと息を吐き出していた。


 ---いや、まだこれからだ。皮喉元に突きつけられている短剣が皮膚に触れヒヤリとする。


 ちっ、この借りはデカイからな!・・・精々恩に着てもらわないと割が合わん。


「扉を閉めてくれ。---リーン姿を見せてやれ」


 俺はサイラスが扉を閉めた事を確認し、リーンに声をかける。


 俺と侯爵様の間・・・部屋の中央が揺らいだ。


 フワリと空気が動き、クルリとゆっくりとスカートの裾を揺らしながらリーンが姿を現し、貴族の令嬢の様にフワリと軽やかに一礼をする。


 ---まあ、俺には見えていたのだが・・・大層な登場で。


『演出は必要だって、キャロラインが言っていたわ!練習して甲斐があったわ』


 ・・・あぁ、そんな前に言っていたか?!神秘的な存在なのだから、みんなが『素敵』って思う登場しなさい!とか。



 誰にも明かすつもりもない存在なのだ---使う時は無いと思ったが・・・まあ、良い演出にはなった様だ。


 部屋に居る三人の目は、掌に乗るほどの小さなリーンに釘付けだ。リーンはふわりと一切音も立てずに、ランセイの傍へと降り立った。



「妖精使い・・・か」


「---部屋の中で風が吹いた時点で見当は付いていたのだろう、侍従殿?・・・秘密を明かしたのだ、そろそろコイツを退かしてくれ」


 俺は突きつけられた短剣を掴み、静かに下に退かすと、侍従は一歩後ろに下がった。


「・・・知っている事を全て話せ」


 侯爵は、深く息を吐きだした。

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