58.毛玉様?
さて・・・作業が終わったんだけど---みんな微妙な顔をしています。
理由は、先程お父様からの質問に答えた内容に納得が行かないと・・・いう事だろう。
「---2・3ヵ月後、これをどうやって使うのかな?」
と、お父様の質問に答えた時から、微妙な顔をしております。
「匂いがなくなってきたら、畑の土に混ぜて使うのですよ。・・・もちろん農作物を収穫した後に土に混ぜてくださいね」
「「「------・・・。。」」
何だろうこの沈黙。
異議申し立てをしたいけど、お嬢様に言ってもいいものだろうか・・・と顔に書いてある。
それに・・・ぼそぼそと話している声は聞こえないけど、ランセイからの報告があがってきている。
『こんな糞尿の混じった物を撒いた土で、育てた野菜を食べたくない!って、言っているよ~』
だって---。はぁ~あ、メンドクサイね。
そんな顔をしていても、どーにもならないのにね。まずは、試してみるのがいいと思うよ。
「・・・このような物を使いたくないのであればどうぞ、ご自由に。---ですが、よく考えてみてください。森の木々の果実を食す事ができるのに、何故この土を使った畑の野菜を食す事が出来ないのでしょうか?」
「---なんていうのだろうね。土に混ぜた物が・・・」
と、お父様が皆を代表して答えてくださいました。
「何故、混ぜた物が駄目なのでしょうか?そもそも、森には沢山の動物達がいます。・・・動物達は決められた場所で排泄をするのでしょうか?誰かが片付けてくれているのでしょうか?---違いますよね?私は、森の木々が育つ状態と同じような土を作ろうと思っただけなのですが・・・何か違いますか?」
ギルベルトさんは、納得してくれたようですが・・・お父様は考え中。村人達は・・・未だ困惑中です。
「---森の中では、動物達が生活をして、葉が落ち、やがて、全ての物が土に返ります・・・。その土の栄養で果物が育つのです。・・・それがイヤなのであれば森の果実は食べられませんね」
この後、本当に使ってみるのか、どうなのかは、お父様に丸投げしよう!・・・ここまでやったのに使ってみないなんて、労力の無駄にならければいいけどね。
「後は・・・そうですねぇ~。同じ場所で、同じ野菜を植えないように、収穫が終わったら場所を変えて下さいね」
と、一言添えて、私は一人散歩に行く事にした。
本当に作ってみるかは、お父様が指示をだすだろう。・・・私は知りません。
テクテク・・・テクテク。
少し歩いては振り返り、遠くには行き過ぎ無いように、気をつけながら畑の中を歩きます。
どんな野菜が作られているのか、見て回るのも楽しいです。・・・見た事も無い、食卓に出ていない野菜があるかも知れません。
「・・・あれって?」
畑の端に蔦で茂った一角。そこには大小様々な大きさのカボチャ?が生っていた。
私の知っているカボチャは、濃い緑色と、オレンジ色なのだけどね。これは赤紫だ・・・紫キャベツの色だね。
何でカボチャ!だと思うのかと言うと、蔓と葉っぱと実の形が私の知っている形だったから。
きっと、丸くて緑色だったらスイカ!黄緑色だったらメロン!って、言ってたと思うよ。
それに、割れた実の中の色が綺麗なオレンジ色だ。・・・食べたら美味しいかも。
・・・カボチャの煮付け食べたいなぁ。カボチャプリン、カボチャのスープ。
カボチャを丸ごともらった時、良く作ったなぁ~。特にカボチャプリン・・・砂糖と生クリーム、卵を入れて作るので、カロリーが気になって食べたいけど、心ゆくまで食べられない、哀しい一品だ。
・・・お菓子って、使われている砂糖・バター・生クリームなどの高カロリーな材料が沢山使われていると思うと、満足するまで食べられない・・・恨めしい物なのだ。お菓子の作り方って、知らない方がいいと思うんだよね。カロリーが気になって、気持ちよく食べられないから。
そんな事を思い出しながら、割れているカボチャを手に取った。
勝手に取ったら泥棒だから、割れた実を持って行って、『これ、ほしい!』お願いした方が良いよね。
ホクホクしながら、カボチャを持って行こうとしたら、スカートが何かに引っかかった。
あれ?スカートに大きな毛玉?いつの間に?・・・良く見たら、所々オレンジで汚れている白い毛玉だ。
・・・あ~、カボチャが、割れていた原因は君ですね。よくよく見てみると、耳と尻尾がついていた。
スカートを、前足で踏みつけた子犬程の大きさの白い・・・見た目は犬?狐を足して二で割った感じの動物が顔を上げた。
深い蒼・・・まるでラピスラズリの様な神秘的な輝きをしていた。
「ガウゥ!」
わぉっ・・・毛玉が吠えた!
急に吠えられたので、びっくりしてカボチャを落としてしまった。・・・すると毛玉君、はカボチャに飛びつきムシャムシャと食べ始めた。
・・・なるほど、カボチャを割って遊んでいたのではなくて、食べていたのだね。---残念ながら、私はお菓子しか持っていないので、毛玉君がいくつか割ってしまったカボチャを集めてくる事にした。
「沢山食べて---作った人には私から謝っておくから、大丈夫だよ」
・・・割れちゃった物は仕方ないよね。食べてもらうのが一番です。
毛玉君は、一度私をジーッと観察した後、再び食事を始めた・・・。もの凄くお腹がすいていたのかな?
『---ねぇ、ランセイ、この毛玉君どんな子なのか知っている?』
『・・・人が付けた呼び名は知りません。---でも、魔力強い。幼い魔獣の子。親は・・・近くにおりません』
ランセイは、周りの気配を確認して、私の安全を確認していた。---散々、ガイに護衛なのだからしっかり状況確認するように言われていた。・・・ちゃんとお仕事していたんだね。ご褒美に美味しい物を用意しないとね。
・・・親が居ないのか・・・居たらそれで大変なんだけど。---子供が苛められていると思って、襲ってきたら怖い。ランセイが確認してくれて、ちょっとホッとした。
でも、親が近くに居ないとなると、このままにしたら死んじゃうんじゃないかな?
毛玉君・・・きっと体を洗ったら、とってもキュートな素敵な子になると思うんだよね。---それに、ご飯食べている姿もとっても可愛いし、瞳の輝きも素敵だった。
『そうなんだ・・・お家に連れて行っても大丈夫かな?』
『姫様が、魔力を含む体の一部を与えている。名前を付ける。受け入れられれば、契約出来る。互いの合意があって成立する、友好的な従属契約』
・・・良く知っているね。
『リーンに今聞いた!』
だからか・・・。
『魔力と魔道具で縛る、隷属契約。無理やり、良くない。この魔獣、姫様の魔力望んでいる』
『えっ、そんな会ったばかりなのに、運命を感じたのかしら?』
やだ!嬉しい・・・やっと私にも運命的な出会いが!!と思ったら、ランセイの突っ込み。
『違う!人から逃げてきたって、言っている。急ぐ』
『逃げてきたって・・・イヤだから逃げてきたって事だよね。それに毛玉君も望んでくれているのならいいかな?』
しかして、体の一部って・・・ファンタジーだと、血が一般的何だろうけどね。何処も怪我して無いから嫌だな。
あとは---唾液?涙?・・・髪の毛ってどうかな?いや、髪の毛は、止めよう。間違えて口の中に入った時の残念な感じは、ダメだろう。
涙もそうそう出ませんよ。・・・女優じゃないから。
残るは・・・唾液。チュウか?動物とのチュウは、未経験なのだ。---今も昔も。・・・出来れば避けたい。
そういえば、ランセイ様にお菓子を持って来ていた。その中に・・・ありました。飴ちゃん! 動物に飴あげるのは、如何なものか?と思ったけど、馬に砂糖をあげていたから大丈夫だよね。
私は、一つ口の中に入れ、『魔力、魔力・・・私の中の魔力ちゃん、口の中に集まって!』と念じてみた。・・・まあ、気持ちだけ込めてみた。
ランセイが・・・えーっ何それ?的な顔で見ているけど・・・別にいいでしょ?気持ちの問題です。
「では、どうぞ」
口から出して、唾液まみれの飴を鼻先に持っていくと、躊躇なくパクリと食べた。
---名前・・・どうしようかなぁ。
『我が名は、クオン。美味い食事を我に捧げるのであれば、主の傍らに居てもよいぞ!』
えっ、名前は私が銘々するんだよね?何で名乗っているの?しかも俺様ですか?
これは、私に従っても良いよ?側に居てもいいよ?助け合っていこうね?って、感じの友達契約の筈だったよね?・・・友達になるつもりだったのに。
私が主の契約だけど、命令しようとか、偉ぶるつもりはなかったけど・・・これは無いな。
確認したい!私が主人のポジションだよね?
私は・・・俺様な!ヒモ毛玉様と契約してしまったらしいです。
『主・・・名を教えろ!』
何で『主』だと認識しているのに、偉そうなの?!
『---キャロラインと申します。毛玉様』
・・・クオンなんて呼んであげないんだからね!
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