55.あれ・・・遊び相手がいなくなった
ギルフォードお兄ちゃまが冒険者ギルドに出入りして、ランセイにスパイ大作戦の指示をしたり、エリーがガイといい感じでお付き合いを始めたり、読書したり・・・そんな毎日を過ごしていたら---。
「---俺、春から王立学園に入学するんだ。だから、暫く会えないから」
って、ランディから言われました。
・・・なんだか、私の反応を窺う様な思わせ振りな目配せしているけど、そんな甘酸っぱい反応はできないよ?
---お母様達が、何かを期待している雰囲気出しているからって、ランディもそれに乗っかって話題作りの為に演技しなくて良いのに~・・・と思いながら。
手紙書くね、とか、書いてね、とか、寂しいな、なんて言うと、周りが変な方向に持って行きそうで怖いから言わないよ。
友達だから・・・暇なら手紙くらいくれても良いよ。来たら書くよ。
・・・って、こっそり思った、言葉にはしないけど、・・・察してね。
最近の母様主催のお茶会では、シシリア様の話題でもちきりで、目新しい話題も無い・・・特に興味も無いお茶会で---ポツリと言ったらその一言が、大きな話題になりそうで怖い!
お茶会の話題って、噂で広がるのが早いだろうし、嘘でも本当でも、恋愛話は盛り上がって尾ひれがついて、大変な事になりそう。
うん、気をつけよう!
---ランディは、王立学園に行くからお茶会のお友達として暫くの間参加出来ないって事ですよね?
「楽しい事があったら、次にお茶会に来たら教えてね?」
って、にっこり言ってみた。
・・・うん、まあ、話し相手が居ないとお茶会に参加するのがメンドクサイんだけど~居ないと困るな・・・と思いましたよ。
そんなお茶会も終わり、暫く経った頃、ふと気がついた。
あれ・・・そういえば・・・。フォードお兄ちゃまはどこへ??最近見かけないのですが?!
ランセイからの報告も近頃ないし・・・近くに居るはずだよね?冒険者ギルドにも行ってないって事だよね。
「最近、フォードお兄ちゃま見かけないね?お庭にも出てきてないみたい、どうしたのかな?」
今日も、窓から姿が見えないし。
「お嬢様はご存知無かったのですか?10歳の誕生日を迎えられたので、王立学園に入学されましたよ?」
「ランディ様と同じ騎士科に」
「---ご学友ですね」
---聞いてないよ。しかも同じ騎士科・・・って。
王立学園?騎士科って何?って、首かしげたら、メイドさん達が変わる代わる教えてくれました。
入学試験に受かれば、誰でも入れる学校で、学校使用する物、食事全て無理で、寮もある至れり尽くせりの学校で。
一般教養科、騎士科、芸術学科とかあるらしいけど、一般教養にほとんどの学生が通っているんだって。
貴族以外も、試験に受かれば入学できるから、学園の学生に身分の上下はないんだって。
学園の生徒の半数以上は寮に入って生活をするんだって。・・・寮生活をしない人って言うと、そりゃもちろん王族とか、学園に通う事の出来る貴族だ。
自宅から通う学生は、馬車を毎日使用したりするので、護衛を容易できる爵位が必要になるので、お金がかかるというわけだ。
騎士科の生徒は、集団生活になれ、団体行動が伴うので、全員寮に入らなければいけないんだって。お兄ちゃまも、当然寮生活。
騎士科は、他の科よりも3年長くて入学が定められていて、10歳になった翌年から入学が可能なんだって。他の学科は、13歳になった翌年から入学可能。---貴族の子供達は、騎士科なら10歳、他の学科は13歳になった翌年から入学するから、大体同じ年齢で・・・稀に、年上がいるようです。
・・・何故って3年早いのかって?
一朝一夕では強靭な体としなやかな肉体を作る事はできない!!という事らしい。
---筋肉馬鹿?・・・脳筋になるのか?と思ってしまったのだが、貴族の子息が入学してくる3年後、自分が懇意にしている子息の護衛に付きながら一般教養や上級礼儀作法を共に学び、授業を受けながら護衛の実践という内容になるらしいのだ。
まあ、それなりに良く考えられているのか?と思ったりしないでもない。
・・・能力が高ければ飛び級制度もあるらしく、3年のところ、2年、1年とカリキュラムをすっ飛ばす事もできるらしい。
---フォードお兄ちゃまは、来年入学することがお兄様の護衛をする為に入ったのかな?
1年で3年分のカリキュラムを終えるって、出来るのかな?・・・毎日自己鍛錬していたから、あるかも。
それで寮生活では、既に部屋と家具が容易されているし、食事も付いている。
・・・無料と言っても、貴族は貴族でいろいろお金がかかるらしいが、それは見栄!見栄の張り合いでお金が必要らしい。
全寮制の部屋と言っても、貴族の地位によって入りたい部屋が違うし、家具が高価になるから、学園に寄付をする必要がある。・・・寄付と言う名の部屋の賃貸料のような気もするけどね。
まあ、部屋の広さと、家具、食事内容が寄付する事によって代わると言う事だな。
---狭い部屋で、ひっそりと片隅で本読むのもいいかも。
そんな学生生活を思い浮かべ、ハッと我に返った・・・学校の説明は分かったよ!!大事な事はそれじゃない!
わたし、一言も、何にも聞いてない!!・・・そりゃ、なんか気まずい雰囲気だったと思うよ。でも普通に接していたし、今まで通り、一緒に勉強したり、街に出るときはお供してもらったり、大人の対応としてお兄ちゃまの気持ちを尊重していたと思うのだが!!
・・・学園に入学したとか全く聞いてないし!一言あってもいいんじゃない!?
---と、ちょっとションボリとしてしまったのは、秘密だ。
---そんなに嫌われていたのかな。・・・ふん、寂しくないやい。もう『お兄ちゃま』なんて呼んであげない。
ちょっと、捻くれモードになった私の決意は固い!『ギルフォードさん』でいいよね。・・・『フォードさん』がでもいいのかな?
うん、『フォード』と呼ぼう・・・ふ~んだ、もう知らないんだからね。
・・・ランディも学園に入学したって事で、私一人取り残されている?
お兄様は、王城で王子と一緒に勉強でしていて、たま~に帰ってくるだけだし。・・・オマケが一緒でなかなか話す機会がない。
そんなお兄様も1年後、アルフレッド王子と一緒に入学が決まっている。二人は仲良しセットなんですね。
う~ん、そう思うと私一人暇です。
お父様は、新しい本を買ってきて書庫の本を増やしてくれてはいますが・・・ちょっと読みつくしてしまった気がします。
---いくら本が好きでも、好みがあるので、内容を選んでしまうのは仕方が無いです。書庫の本で、私の好きな本は読んでしまったので・・・興味が薄れてきました。
そして、フォードお兄ちゃま改め、フォードとランディという、遊び相手が学園に行ってしまい、会う機会がめっきり減った・・・という事で、ちょっと寂しくなり、私も何かをしなければ!!という衝動にかられました。
そうだ!何かしよう!!・・・何かって?何でしょう。
公園?ピクニック?遠乗り?お買い物?食べ歩き?・・・どれもピンとこない。はてさて困った。
---そうだ!冒険者ギルドに行ってお仕事しよう!そしてスキルアップ!・・・ふふふっ見ていろ、フォードがあげたギルドランクの上を行くのだ!!
「---お父様、冒険者ギルドに行って人生勉強してきます。お仕事をするのです!」
と、思い立ったが吉日とばかりに、書斎で宣言をしたら書斎にプチ監禁されました。
!!・・・何故ですか!?
お父様とギルベルトさんの目の付く場所に座らされ、山のように本を積み上げられました。
---今は、読書よりも活動したいのですけどね!
不平不満を表すために、私はプイッと窓辺のソファーに座り、そこに置かれた鉢植えをいじくる事にした。
・・・うん、ちゃんと手入れが行き届いているね。さすがギルベルトさん。
そこに置かれた鉢植えは5つ・・・綺麗に花を咲かせているのもあれば、みずみずしい緑の葉をつけているものもある。部屋の片隅に一つだけ---葉が下に向いている鉢植えがあった。
「ギルベルトさん・・・この鉢植えどうするのですか?」
「この鉢植えは、明日にでも庭師に預けるのですよ。このお屋敷の鉢植えは、庭師が世話をし、部屋に彩りを与える花として相応しい鉢を置くのです。---お嬢様のお心や旦那様のお心を和やかにできるように、色鮮やかな鉢と交換するのです」
「・・・そうなんですか?」
・・・交換するって、この花はどうなるんだろう。捨てちゃうのかな・・・それはちょっと、いやだな。
他の花と同じように、水も足りているみたいだし、窓辺に置かれていたはずだから日光も足りているよね・・・。植物を育てるのに必要なのは、適度な水と日光と土。・・・土はあるんだけど、ちょっと薄茶色だね。栄養が足りない??
「---この鉢、私に下さい」
「この鉢でよろしいのですか?---わたくしがキャロライン様にお似合いの素敵な花をお贈りいたしますよ?」
・・・はぅ。是非!贈って欲しい!!
思わず顔を赤くし固まった私を、ギルベルトさんの後ろから、面白くなさそうな顔をしたお父様が見ていた。
---いかん、そうじゃない。・・・意中の男性に花を贈られるなんて、この上なく嬉しい。
だけど!可愛い女の子扱いされて喜んではイカンのだ!・・・そんな花一つで落とせる軽い女じゃあ、ギルベルトさんに相応しくない!
意を決して、お断りしなければ---。
「---ありがとうございます。お気持ちだけ頂いておきます。・・・それで、こちらの鉢は頂いてもよろしくて?」
「かまいませんが・・・何をなさるのですか?」
OKもらったけど、質問されたよ・・・。
「土を入れ替えようと思いまして---」
「土を、でございますか?・・・庭の土をいれるのでしたら、わたくしが庭師に依頼しておきましょう」
ニッコリと・・・ニッコリと・・・笑みを深めながら、---なんだろう、これ。
「---いえ、庭の土をそのままいれるつもりはないので・・・」
「どちらの土をお使いですか?手伝いを手配いたします」
更に、にこっ・・・て、何だが事情徴収されているような感じが・・・。
「---手伝いは必要ないですよ?・・・ちょっと池の中の土を掬うだけですから」
首を傾げ、ニコッて微笑み返しをしてみた。
「それでしたら、是非お手伝いいたしましょう!」
更に笑みを深め、恭しく頭をさげ、素敵な令嬢にする様に腰を下げ、私の手を取った。
---あれ?張り切られた?!どうして? ?しかもギルベルトさん自ら参加表明?!
なんで、こうなったの?
---結果。
翌日、私はギルベルトさんの監視の元、庭師に指示を出し、池の底の土をとってもらった。
自分一人で出来るのに---作業を眺めながらギルベルトさんとお話です。
「なぜお嬢様は、池の中の土を、使おうと思われたのですか?」
「他の土と違いが有るのですか?」
「その様な事をどこで学ばれたのですか?」
と、怒涛の質問ラッシュでした。
ええっと、これって、一般常識だよね?私の知識を試しているの?・・・馬鹿じゃないか確かめられているの?
誰か正解教えて下さい!
・・・結局、勢いに押されてポロポロいろいろ話しちゃったけど、知っていて普通だよね。
話がさくさく進みそうで進まず・・・、寄り道中です・・・。
ブックマークが・・・ちょっとづつ増えてて嬉しいです。ありがとうございます。




