54.お兄ちゃまを見守ります
53話のキャロラインサイドの話です。。。
さて、シシリア様から逃れる為に、私に婚約者になれ!とか無茶を言っていたが、レッドに年貢の納め時がきたようです。
正式に婚約発表の夜会が開かれる事になりました。・・・私が出席する予定はないので、報告を待つのみです!!
まぁ、納まるところに納まったというところでしょうか・・・。
アルフレッド殿下が、正式にご婚約をするにあたり公爵家を訪問した時、以前とは違う落ち着いた様子のシシリア様に好感を抱いたようで、まぁ良かったです。・・・と、お兄様から聞きました。
例の出会いから、1年程は数回会っていたようなのですが、ここ数年は皇太子殿下が会うのを避けていたようで・・・久しぶりの再会が良かったみたいです。
ほんと、人騒がせな!まさか・・・あの引き締まったボディに目が眩んだわけではないだろうな!
そのうち、ランディから情報収集しようかな。
まぁ、私には関係の無い事なので・・・どーでもいい火の粉は振り払われた事ですし、読書をするのです。
今日は天気もいいですし、窓際に座って、ぽかぽかと日向ぼっこをしながら読書でもしましょう。
夜、手元だけを明るく照らして読む読書も格別なのだけれど、太陽の光の下でする読書も格別なのだよ。ふふふふふっ・・・今日はどんなイケメンが登場するのかなぁ。
この世界の本には、ビジネスマン的な登場人物がいない---スーツの似合う男=ビジネスマンな構図にはならない。なので、騎士とか貴族が多いんだよね~。・・・たまに、魔法使いね。
私が主人公に求める結構ハードルは高いと思う・・・引き締まった体・切れ長の瞳・ツンデレ・仕事の出来る男。---なのに目の前に居るんだよね。理想が・・・でも、既婚者だし。年齢的にも問題あり。
年齢的にも釣り合う、そっくりなお兄ちゃまがいるけど・・・どうだろうか。
容姿が同じだからといって、性格も仕事への取り組み方も雰囲気も、全部同じになる訳でもないし。
---そっくり同じでも性格が良ければって、・・・元々性格は良し、見た目だけはタイプなんだけど、ちょっと物足りない。まだお子様だからか?
逆光源氏計画をして、長い目で成長を見守る・・・めんどくさいし、つまらないので却下。
・・・今の所は、無理。お兄ちゃま枠なのです。
それにしても---ほんと、素敵です!心の恋人はこの人しかいないよね。ギルベルトさ~ん!
ほおっ・・・と思わず、溜息をついてしまうと、クルリと振り返り、ニッコリと笑顔をくれます!この部屋で、この爽やか笑顔をもらえるのは私だけの特権!得役ですよ。
「お疲れですか?お嬢さま。---少しお休み下さい。お茶をご用意いたします」
そう言って、部屋を退出するのですが、その前にお父様には鋭い視線で静かに釘を刺していくのです。
「この書類を終わらせていただきませんと、お嬢様とご一緒に休憩する事はできません、よ・・・」
・・・このギャップがたまらないのです!!はうっ!!
---私のこの気持ちは隠さないといけません。・・・私も、あの視線を受けてみたい!なんて、口に出しては言えません。
言っておきますが!私はSではないのですよ!断じて違います!間違わないで下さい。キャップ萌えですよ!ギャップ萌え!
もう、この空間が好きです。皆になんと言われようとも、この執務室と書庫・・・私の癒しの空間です。
もちろん・・・ギルベルトさんもセットですよ!
私は心の中でニンマリとしながら、読書を堪能しています。って、振りするのだ。
言っておくけど、ちゃんと読書もしているよ!
そんな、幸せ一杯な時間を過ごし・・・そろそろ、日が傾いてきた頃、急な来客があった---警邏隊所属の騎士レインさんで、ジルの旦那様だ。
バタバタと屋敷の中が急に慌しくなり、フォードお兄ちゃまが怪我をして帰ってきたのだと、私は知った。
息を切らし、お兄ちゃまの部屋に行った。
一体全体どうして、フォードお兄ちゃまは何をして怪我をしてきたの!!
「どうして怪我をしたのですか?」
怪我の治療を終えたフォードお兄ちゃまを長椅子に座らせて、眼前にはギルベルトさんが座った。
左腕には添木をし、頑丈に巻かれた包帯、右足の太腿にも包帯が巻かれ、所々に擦り傷ができていた。
アンリが用意したお茶が暖かな湯気を立ち昇らせていたが、気付くと誰も手にしないまま、誰も口を開くこともなく、手を付けず冷めた状態になっていた。
沈黙を破ったのは、ギルベルトさんの吐いた息。・・・ビクリとフォードお兄ちゃまが身を縮めた。
「・・・今日は、休みなさい。明日話を聞こう」
「---・・・はい」
重苦しい雰囲気の中、私は唯見守るしかなかった。
「事情は大体わかったけど、無茶しすぎだよね。無謀とも言うけど」
私は、フォードお兄ちゃまの話を大人たちと一緒に聞くことは出来なかった・・・わかっていたけどね
同じお子様としては仕方がないよね。しかも、私の方が年下だし、余計な話は聞かせたくなかったのだろうけど---メイド3人の手にかかれば情報収集なんて簡単だ。
ランセイにお願いすれば、どんなスパイ大作戦も思いのままだ・・・と思うよ、試したこと事が無いから、想像なんだけどね。
「それなのに、・・・あんな感じなんだ?!」
ふぅん・・・。
部屋の窓から見える庭の片隅で、剣を振るうフォードお兄ちゃまの姿が見える。
怪我したばかりで無理するなんてなに考えているんだろうね・・・。
お兄ちゃまは、冒険者ギルドに登録をしたいと、以前からギルベルトさんに話をしていたそうなのだが、許可が下りずにいた。
・・・でも冒険者ギルドは10歳になると大人が一緒じゃなくても登録ができるのだ。
ギルドカードは身分証明書の代わりになり、門の出入りが楽になる優れ物。
誰でも登録ができるのだが、10歳未満の子供の場合、指導・責任を負う人が必要になるのだが、その必要がなくなり、前々から、登録を希望していたフォードお兄ちゃまは、10歳の誕生日を迎えた後行動にうつしたのだ。
前々からギルベルトさんから、許可おりなかったから行動を起こしたというところだろう。
・・・4年前、私のギルドカードを見た時から、作って欲しいと頼んではいたのだが、ギルベルトさんにも、誰にも相談せずに登録して怪我をしてくるなんて・・・。
何度か、薬草採取や小型の小さな魔物とは戦い思いの外楽に倒せた事で気を抜いてしまったのか、昨日は少し奥まで入って行ったらしい。
---そして、予想もしなかった中級レベルの魔物に出くわしてしまった・・・と。
「昨日の今日で、訓練はしなくてもいいよね?!」
私は、お兄ちゃまをお茶に誘い、しっかりと怪我を治してもらおうと庭に出て行ったのだ。
---・・・それなのに。
『お嬢様に気にしてもらえるような価値のない必要のない存在ですから---・・・僕にはお傍に居るだけの資格がございません』
って、どういう事なの!!---私は、そんな事一度も思った事無い!
どこの偉い我侭お嬢様なの?!私は・・・・フォードお兄ちゃまには、そう思われていたって事だよね。
ちょっと、ガッカリしたし、ムカッとした。
---まぁ、でも私の精神は一応大人なので、大人の対応をすればいいのだろう。・・・って、大人の対応って何?!見守ればいいのか?
幸いな事に、ちょっと無茶な事をしようとして、王都の外に出たとしても、高性能な隠密が傍にいるのだ。どーにかなる。
---それよりも、問題なのは、どうしてフォードお兄ちゃまがそんな事を思ったのかなのだが・・・皆目検討も付かない。
4年前のあの日から・・・特に突出した事はしていない。毎日一緒に勉強して、他愛もない話をして---。何もしていないのが現状なのだ。
・・・こうして、体を休めるようにお茶に招待するのも、あの日からしていないのだ。
この件は、様子見だな。そんな風に思われていたとは、もしかしたらメイドさん達もそんな風に思っていたりする?!
・・・お父様が条件を決めていたりしているって事?!---聞いた事ないんだけどなぁ。
ここは一つ、メイド3人に聞いてみよう!!
「---ねぇ、私の近くに居る人って・・・何か突出した特技必要なの?」
「・・・聞いた事ありませんね」
「特には、私人より自慢できる仕事ありません」
「笑わせる事が必要です」
エリー・・・それは、違う。赤ちゃん時に採用されている筈だから、『笑わせる事』じゃなっくて『笑顔で接する』とか『赤ちゃんを笑顔に出来る』とかだと思うよ・・・。
「---私付きのメイドに採用条件ってあるの?」
「お嬢様付きのメイドは、私達の誰かが辞めないと採用はありませんから、基準はわかりません」
「一般的な内容では?特技ありませんし」
「お嬢様に好かれる事ではありませんか?」
---・・・やっぱり無いみたいなんだけど、今度お父様に確認した方がいいかもしれないね。
まぁ、私に好かれる事は第一条件だろうけど---フォードお兄ちゃまはクリアしているよね、何があった?!
よくわからないな・・・暫くは、そっとしておこう。
私は、ランセイに屋敷の外に出たフォードお兄ちゃまを見守ってもらう事にした。
基本私はお家大好きなので、敷地内から出ないのでランセイの出番は殆どない。
少しは活躍してもらわないとね。
危険があったら、風を起こしたり、こっそりと不自然じゃないように、手助けしてくれるように指示をだす。
・・・例の、エリーがつまずいて、ガイに受け止めてもらったように・・・こっそりだ。
分からないように見守る!これ大切!男の子だからね、プライドを傷つけてはいけないよ!
お兄ちゃまは、予定のない日はギルドに出掛けていく。ギルベルトさんは良い顔をしないながらも、黙って出掛けられるよりは・・・と黙認している状態だ。
そしてお父様は、・・・手の空いている護衛がいたら気付かれないように護衛をする様、通達をした。
『冒険者になりたい!』と剣を携え屋敷を飛び出す私が、お父様の脳裏に浮かんだそうだ。・・・近い未来に向けての訓練なんだって---全くそんな気はないし、そんな事態にならない様に私は願うけどね。
・・・私に話してら時点で、こっそりじゃあ無くなると思うよ、お父様。
『---報告します!』
・・・ランセイの報告スタイルも、なんとか変更したい!!
フォードお兄ちゃまが出かける度に、これは・・・ガックリと脱力する。何か他に無かったか?
私のツボをついた強烈な報告イメージ出てこい!!




