52.・・・丁重に断固としてお断りします
「で?お子様キャロラインには、誰か想いを寄せる人はいるのか?」
「・・・いませんよ」
---だから、お子様に恋愛を聞くなよ!!本が恋人だって言っているでしょ?!
まぁ、そもそも一度結婚した記憶のある私としては、恋人に求めるハードルがあがっているのは確かだ!
・・・でも今も昔の変わらずに言える事は一つ!『私の心の恋人は、本の中のイケメン』だという事だ!!
---仕事が出来て、ワイルドで、ツンデレで、スマートな素敵な大人の男はなかなかいない!地位や名誉だけを持っていても駄目なんだよ。・・・人を惹きつける魅力!こんなに素敵なイケメンは本の中でしかお目にかかれないんだから!
現に周りを見渡してみてもそんな男の人はなかなかいないのは分かっているさ!---でも、私の好みに誰も文句を言う権利はないのだ!
唯一該当しそうなのは、ガイだったんだけどね、年齢も離れているし対象外なんだよね。---ポジション的にはお兄ちゃん。・・・まぁ、兄弟ごっこがいけなかったのか?!
あれ?---・・・兄ポジション多くないか?!・・・まぁ、いいか。年の近い男の人は『兄』扱いをしておけば、とっても便利なのだ。いろんな意味で。
ほんと、女の子から『お兄ちゃん』呼ばわりされると、ちょっと年上の男の子は扱い易いよね。大抵のお願いは聞いてくれる気がする。・・・1対1のお願いは大抵は叶う。実兄よりも成功率は高い。
『お兄ちゃん』が友達と遊んでいる時以外に、お願いするのが効果的。
2・3歳くらいの女の子の時から『お兄ちゃん』と呼び続けると効果的面・・・この魔力に未来永劫とらわれる可能性が大きい。・・・特に一人っ子とか、末っ子は、かかりやすい魔法なのだ。
---お兄ちゃん!と呼ばれる度に、優しい笑顔で迎えられるものだ。
・・・しまった!レッドも『お兄ちゃん』枠に突っ込んでおけばよかった。全然タイプじゃなくても、無理やりにでも、適当に『兄』設定にしてしまえば良かった。
まぁ、同世代で好みの相手が居ないというのは確実だ!
レッドは、フォードお兄ちゃまをどかして目の前に席にかってに座った。
久しぶりに姿を見せたと思ったら、何なのさ!
キッ!と視線を向けるけど、レッドはお構いなしだ!・・・しかも巨大な爆弾を投下したのだ!
「なら、俺の婚約者になれ!」
「---え~イヤですよ、丁重にお断りさせていただきます。なんでレッドと婚約しなきゃならないの?」
・・・絶対無理!---レッドは、この国の第一王子アルフレッド様でも、私の前ではレッドで、素性の知れないお兄様のお友達なのだから、ここでははっきりと断ってもいいだろう!!駄目だと言っても断るのだ!!そもそも、この4年間素性がばれないように行動するのは大変だったと思うよ。・・・と言うか、私が素性を知る機会をことごとく回避したんだけどね。
お母様がご招待いただいた王妃様主催のお茶会も、参加できるよ~と誘われても断り、高位の貴族の夜会は欠席している。・・・断じてメンドクサイからではないですよ。
プンとそっぽを向いて、拒否の姿勢を示してみる。---空気は読まないからね!
お兄様の顔なんて見ないぞ!!
もうレッドなんて対象外だよ!・・・大人になってから出直しで来い!
希望を言うならば10年間、私の前に姿を現さないで、成長した出来る大人の男になってサプライズ的に登場してくれないと、絶対無理だな。
「そうか---では、皇太子の婚約者ならばどうだ?」
・・・何それ、権力ありならOKすると思っているのだろうか?絶対空気は読まないからね。
「---申し訳ございませんが、お断りさせていただきます。そもそも皇太子殿下とはお会いした事がございませんし、このような子供が面識のない方と婚約は考えられるわけがございません。お似合いのご令嬢の方々がいらっしゃるのに・・・わたくしなんて恐れ多いですわ」
馬鹿レッドの肩書きに『皇太子』が付いてもいやだ!・・・対象外で、全く考えてない。断固拒否しますよ!
全くなんなの!!折角のフォードお兄ちゃまと話をしようと思っていたのに、なんで邪魔をしたのだ!!
「キャロラインは、皇太子妃とか、王子様の婚約者とかには興味がないのかい?!」
ムムッとして、断固拒否の姿勢を見せた私に、お兄様が確認するかのように聞いてきた。
「興味はありません、全く!!---結婚は好きな方としたいので、お相手の肩書きによって私は出来る限りの努力をしてお助けしたいと思っております。・・・ですから皇太子妃になりたいとは思いません」
遠まわしよりも、ちゃんと断っておかないとね。
困った顔をしたお兄様と、驚愕の顔をしたメイドさん、・・・ニヤリと楽しそうなレッド、そんなのはどーでもいい!!
身の置き所なさげに、困り顔で俯くフォードお兄ちゃま。・・・折角話をしようと思ったのに、どうしてくれるのか!!
「好いた相手が、皇太子だった場合は努力するんだな」
「そうですね、全力でお助けしたいと考えておりますが---お会いした事もございませんので、好きになりようがなりませんね」
ニッコリと微笑んで言ってやった。レッドが対象外なんだから、皇太子っていう肩書きがついても好きにならないんだよ!!・・・いい加減気づいて欲しい。
「---では、好きになってもいいぞ。許す」
「皇太子殿下とはお会いした事がないので、無理ですね。それに、レッドの許可をもらっても困ります」
ニッコリ・・・の笑顔がそろそろ引き攣るよ。・・・レッドが皇太子殿下だって事は知っているけど、お互いにそれを気づいていない、知らない振りをするのが大人のマナーなんだよ!
---レッドも、気づかれていない振りをしているんだから、お互い様だ!!・・・そろそろ引け、去れ、帰れ!
そんな静かな攻防が続いたが・・・そろそろ、終わりにしたい。
・・・全く、引き下がる気がないらしい。もう、言ってやる!!声を大にして!---婚約者候補に挙がっている令嬢の名前を!
噂は広がっているんだよ!確実に!!・・・私を使って遠回りに回避しようなんて、甘い!自力でなんとかしろ!
「確か・・・皇太子殿下には、運命のお相手がいらっしゃると聞いた事がございます。ロックラルド公爵家シシリア様と素敵な出会いがあったとか。わたくしが立候補するなんて恐れ多いですわ」
邪魔した代償は、高いのだ!
「運命的な出会いは、二人だけの秘密だそうなのです。運命を感じる出会い!あこがれますわね!---人の恋路を邪魔したくございませんし、応援しております」
さっさと、婚約でも何でもしてください。・・・別に私以外なら誰でもいいから勝手にやってくださいね。
空気を読まず、レッドの希望をバッサリと切り捨てた発言で、踏んだりけったりのお茶会はお開きとなった。
ふん!お父様は私が嫌な婚約はしないって約束しているから確認しに来たんだろうけど、残念でした!
我が家のお茶会でお友達になった---ロックラルド公爵家のランディはシシリア様の弟だ。
彼曰く、お姉様のシシリア様は、アルフレッド様を4年程前に運命的な出会いをしてからお慕いしており、学園に行く日を楽しみにしておられるそうだ。
・・・出会い知っているよ。凄い勢いだった。秘密だけどね。
学園に行く日も、もう間近に迫っており、その前に皇太子の婚約者を決めてしまいたいと王室は思っているらしいのだが---有力候補者シシリア様がなんとなく苦手らしいのだ・・・誰か!?とは言わなくても分かると思うが・・・。
一方のシシリア様は、勉強も礼儀作法も猛勉強中で、皇太子に相応しい令嬢になるのだと!いろいろ頑張っている。
私もキャロラインとして、何回かお茶会でお会いした事があるのだが・・・以前であった時よりも落着きが出てきたように感じた。会うたびに・・・これぞ令嬢?!と思うような素敵な方になっていると思う。
・・・ただ、アルフレッド様の事を語る時は、ちょっと感情的になっちゃうみたいなんだけどね。愛があふれているって凄いよね。
---レッドは、あの憧れと恋心を前面に押し出したうっとりとした眼差しを向けられるのが、苦手なのだろうけど・・・そんな問題のある令嬢ではない・・・はずだ、たぶん・・・。身分的にも問題ない。
・・・時間の問題なんだけどね、最後の悪あがきか?!
---私のOKが出れば、覆されたかもしれないけど、お父様は私の望まない婚約はしないよ?と言っていたので、婚約はない。・・・余程の事がないかぎりは。
私が男だったら、ボンキュッボンのピチピチの素敵な女の子が婚約者なんて羨ましいけどね。
---気の強そうな艶やかな赤い髪と星の瞬くような輝きを秘めた濃い紺色の瞳・・・---ぴったりと体を寄せ、潤んだ瞳で見上げて欲しいと妄想するのではないだろうか。
男の人なら・・・確実に。やば、オヤジ目線になっちゃったよ。
シシリア様はナイスバディの素敵な令嬢だから、変態には気をつけないといけないって事だよ?!
そんな笑顔の攻防に飽きてきた頃---私の後ろで中国の竜、レッドの後ろで虎が互いに睨み合っている映像を私の頭の中に流れてきた。
ランセイ・・・マジ、何やっているの。---シシリア様の上目遣いの映像は流さないでね!!




