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46.春の暖かな日に・・・

本日2回目の投稿です。45話から読んでください。


45話のレインさんの続き?!と言うかその後?なのですが、ジル視点です。

 私は今日、警邏隊所属の騎士のレインさんと結婚式を挙げる。


 暖かい木漏れ日が差し込む広い公園の隣にある教会---。


 この教会は、私の勤めているランドルフ侯爵家と公園を挟んだ場所にある。


 一般市民が結婚式を挙げるには格式高いすぎる教会で、先ず式の依頼をしようなんて考えられない場所なのだ。


 そんな一般市民丸出しの私がこの教会で式を挙げられるのは、ひとえに勤め先であるランドルフ侯爵家の口添えがあってこそだ。


 ---確かにこの教会で式を挙げるのは、王都に住む女の子達の夢ではある。だからと言って、その夢が叶うなんて誰も思っていないのが現実だ。


 そんな私が、今日この場所で、厳かな式を挙げられるのは、結婚の報告をした際に発した、私のお使えする主、お嬢様の一言からだった。





「私も結婚式出るから?・・・ダメなんて言わないよね?」



 もちろん、私達のような平民の結婚式にお嬢様を出席させられるわけがございません。丁重にお断りして、いろいろ説明させて頂きました。


 お嬢様が出席される程、キチンとした式ではなく本当に身内だけの細やかな式が一般であり、その予定でいるという事。

 お嬢様をお招きする様な場所でない事。

 キチンとしたおもてなしが出来ない事。

 一番の問題は、お嬢様の身を守れるような人員も、警備も配置出来ない事。

 お嬢様が良くても私達が気にします!という事をハッキリと申し上げました。


 今迄お使えして、ハッキリと理由を説明してお叱りを受ける事がないと言う、信頼関係があってこそできる事なのだけど。


 それなのに---。


「な〜んだ。そんな事?!

 じゃあ、近くでやろうよ?

 公園の先にある教会!あそこで式を挙げるのが夢だったって、前に言っていたよね?!

 私に任せて、お父様にお願いしてみる!そこでコッソリ身内だけの式をしようよ!

 屋敷のメイドさん仲間でしよ?

 警邏隊のお仲間騎士さん達でしょ?・・・でも街の治安もあるから、招待したい人とか隊長と相談しないとだね。料理は、今話題のマヨネスにお願いすればみんな喜んでくれるし、楽だよね!大丈夫心配しないで私も結婚式に出してもおかしくない料理が出ないようにちゃん確認するから。

 あと、必要な物を---そうだ一番大事な事忘れていた結婚式に着るドレス!一緒に準備してもいい?私から結婚のプレゼントにさせて?レインさんは騎士服の正装を用意すればいいよね。いろんな式にも使えるしそれでいいよねー」


「あっ、あのお嬢様---」


 と、一旦私の話を聞いてもらおうと声をお掛けしたのですが。


「私に任せて!早速お父様に相談して来るから!」


 と言って外に、部屋を出て行ってしまいました。


「お待ちください!!お嬢様---」


「もう、行ってしまいましたよ?!」


 と、エリーに言われました。わかっていますよ!今目の前にいたお嬢様がでていかれて、いなくなっているのですから!


 慌ててアンリがお嬢様の後を追いかけて行きました。


「・・・諦めて下さい。お嬢様は、ジルさんの結婚のご報告を楽しみにしておられたのですから。きっと素敵な式になります」


 エリーはにっこりと微笑んでくれましたが、


「---それに遅かれ早かれ、アンリさんもそうなりますから」


 と、言ってはいけない心の奥で思った事を暴露しました。


 お嬢様に聞かれなくて良かったです・・・ですか、思いつくのは時間の問題です。




 お嬢様は、『マヨネス』という配達お弁当屋さんの初回の配達を終えた、ここ一ヶ月---午前中は書庫で勉強をして、午後は読書。


 ・・・この初回配達の、お嬢様のちょっとした遊び心がきっかけで、私とレインさんの結婚が決まったようなものなので、感謝しておりますよ。


 時折訪れる、マヨネスのガイさんとの面会の予定が入るくらいでしょうか。


 ですが、奥様にお茶会に出席を求められても、断れる会は出席なさらず、書庫の窓辺のソファーに座り読書をなさっています。


 時折、窓の外に視線を何かに向けているのですが、私が控えている場所からは、外は見えないのです。


 そんな日々が続き、お茶会に出席される年長の子供たちからこう呼ばれるようになりました『窓辺のお嬢様人形』と噂になりました。

 それを聞いた大人達の間で『深窓のお嬢様』といつしか呼ばれる様になったのです。


 メイドの間ではご主人様の執務室奥にある書庫で本を読まれているので『深層のお嬢様』の方がしっくりくるのでは?と親しみを込めて言われていますが、それは秘密です。




 そんな日々平穏な、特に之といった出来事も無く、何も行動を起こしていなかったお嬢様が大はしゃぎで部屋を飛び出したのだ。


 とても大事になります!断言出来ます!


 私も慌てて追いかけたのですが、にっこりと深い笑みを浮かべたご主人様に迎えられたのでした。


「私も協力させてもらうよ」


 と---。


 心優しいご主人様とお嬢様に涙が出そうでした。

 ・・・ギルベルト様、何故お止めして下さらなかったのですか!?


 私は、にべもなくゆっくりと、頭を下げて感謝の意を表すしかありませんでした。



 ガックリと肩を落とした私とは反対に、

「---少しつまらなそうにされていたので、楽しみが出来たようで安心致しました」

 と、張り切るお嬢様をほほえましそうにアンリは言っておりました。






 慌ただしい日々を過ごす事、およそ半年。

 お嬢様が、一緒に考えてくださいました恐ろしく値の張るであろう純白のドレスを着て私は、レインさんの妻になるのだ。




 思い起こせば、このドレスもいろいろ大変だったのだ。色や形まで、お嬢様が妥協を許さないのだ。




 私としては、お嬢様が仕立ててくださる侯爵家御用達の仕立屋なので、どんなドレスであろうとも一生切る事日のない素敵なものばかりなので、全く問題でさないのだが、お嬢様はそうではないのだ。


「似合うのは当たり前!一生に一度だよ?拘らなきゃ!拘ろうよ!ジル可愛いんだから、レインさんが見惚れるくらいのドレス作ろうよ!いやもう一度惚れさせたいね!」


「---・・・」


 もう何も申し上げられませんでした。こうなったら、お嬢様をお止めする事は出来ません。こうなったら、諦めるしかありません---・・ですが、このままでは私一人に集中されてしまいます。申し訳ないと思うのですが、ここは一緒に巻き添えに・・・イエ、不公平のない様にした方がいいと思うのです。


「---ですが、お嬢様。私ばかりがお嬢様からやご主人様から結婚の贈り物を頂くわけには・・・」


 と、申し上げました。


「えっ---・・・あっそう、そうだよね?忘れていたよ、アンリにも何かしないとだよね。アンリ結婚申し込まれたんだよね?その後、どうしたの?!」


 と、アンリに詰め寄っておりました・・・心の中で、コッソリと謝罪申し上げます。




「ねぇ、結婚式のドレスの色は決まりがあるの?」


 お嬢様は、普段ご自身がお召しになるドレスには全く興味をもたれないのに、何故か結婚式のドレスにこだわりがとてもあるようで、特に色にこだわりを持っておりました。


「---決まりはありませんね。一般市民は持っている洋服で一番いい洋服や、余所行きでも着られる服を仕立て結婚式で着るのですから。結婚式用に洋服を仕立てられるのは、貴族や商家になりますね」


 私は、一般的な庶民の話をお答えさせていただきました。


「私は---仕立てる予定ではおりますが、淡い色のドレスを仕立てようかと考えておりましたが、お嬢様は何色が良いとお考えですか?」

 と、アンリはお嬢様にお尋ねになりました。


「---聞いてくれるの?!私のお勧めは白!!純白だよ!!白色の印象ってどんなのある?私は『純潔』『無垢』『純真』そんな感じかな?それに---・・・」


 お嬢様はニヤリといつもよりも変な笑いを浮かべ、言葉をつづりました。


「・・・白のウエディングドレスは『他の男を知らない乙女です』って分かり易いよね」


「「「!?----」」」


 わたくし達3人は何もご意見する事が出来ませんでした。


 ---どこからそう言った事を思いつくのでしょうか?第一、色で受ける印象など、そんなに深く考えたことはございません。


 赤や青、緑など強烈な色ならば、気が強そうだなぁ・・・とか、凍えそうだよ・・とか、物静かなとか、大雑把なイメージで、あとは、お召しになる方のイメージも合わさったものになると考えていましたが、白色だけの印象はあまりありませんでした。


 確かに、『純潔』『無垢』『純真』は分かりました・・・ですが、幼いお嬢様がどうしてその様な言葉の発想になるのは、理解不能です。


 ・・・そんな知識の本が、あの書庫に隠されていたのでしょうか?・・・次に書庫に行く時は、すべての本を隅から隅まで確認する事を心に誓いました。もちろん私達3人がです!




 そんな日々が続き、お料理もすべてお嬢様にお任せする事になりました。


 ・・・当然、レインさんも私達の家族に至っては、すべてお嬢様にお任せするしかございません。お嬢様のイメージする結婚式を行うにあたって消費される金額を考えたら、恐ろしくて意見する事などできないのです。

「---・・・お嬢様、ありがたいのですが、私どもは平民ですのであまり豪華でないようにお願いします」

 とは、一言お願いしたのですが・・・どうなったのでしょうか。恐ろしくて、聞く事は出来ませんでした。


 最後の砦は、ガイさんです!!こちらは常識人であると思うので、一人の時を見計らい、声を掛けさせていただきました。

「---私は平民です。華美にならないようにご協力下さい!」

 と---。





 そんな、楽しいながらもハラハラドキドキ、時にはパニックな日常を、今日、この日まで過ごしてまいりました。


 小さい頃、あこがれていたこの教会で、私は結婚します。


 お嬢様がお決めになったドレスは、上からお尻の下まで体のラインに沿った作りで、足元はフワリ広がり、幾重にも布を重ねた贅沢な仕上がりになっています。足を長く細く見せる素敵な作りです。見えるところの生地はそれなりに高めの布を使用しておりますが、見えにくい場所は少し値段を下げたものにしてくださっております。


 ・・・私に気を使ってそうしてくださいました。


 仕立屋に、切れ端の布を貰い受けられるように、話をしてくださった事も、驚きました。

 ---お嬢様のような方は、端切れをもらうなど考える必要はないのですから。


 端切れで、このドレスの胸元にある花飾りや、髪飾りをアンリさんとエリーさんとで作って下さったのです。


 このような心の篭ったドレスを着て、結婚できるなど私は幸せ者です。


 ジンワリと心が温かくなり、涙がでそうになりました・・・ですが、式はまだこれからなのです。


 この扉を開けると、今日から私の旦那様---レインさんが待っているのです。


 ・・・お嬢様が結婚式当日まで互いの衣装は秘密なんだから!!と言われ、レインさんの正装を見ておりません。それもとても楽しみです。


 静かに扉の前に立ち、深呼吸を一つ。

 ・・・私は傍に付き添ってくれるメイド仲間の一人に、扉を開けてもらえるように、顔をあせて頷くと---ゆっくりと扉が開き、天井からこぼれる色とりどりの光が私を包み込みました。


「---・・・。」


 声も無く立ち尽くしていると、扉の中から、私を見つめる一つの視線に気が付きました。

 白と青のサーコートを纏ったレインさんが待っていました。


 私は、フラフラと引き寄せられるように、光の中に立ち私に向かい左手を差し伸べ、待っているレインさんの下にあるいて行きました。


 差し伸べられた手にゆっくりと手を重ね、私は階段を1つ、2つと登り、レインさんの隣に並ぶ。


「---きれいだ。・・・なんて言ったら良いのか、今度は一目ぼれしたみたいだ---」

 と右手を口元に当て、とても恥ずかしげに頬を染めそう伝えてくれました。


 その言葉はとても、嬉しくて、私も恥ずかしながら、遠くからレインさんから瞳を離すことが出来なかった、心の内を伝えたくなりました。


「---とても素敵で、わたしも同じ気持ちなのです」

 と---。


「---ゴホン、そろそろ宜しいですかな?」

 と目を細め、微笑んだ神父様の一言から、結婚の儀式が執り行われました。


 こうして私達は、光が降り注ぐ中この日、夫婦となったのです。










「---これをお嬢様からお預かりしていました」


 無事に式を終え、初めて私は新居に二人っきりの時間を過ごします。


 どうして良いのか分からず、とりあえずお茶といれようとした際に、忘れないようにと茶道具と共に置いておいた一通の手紙を思い出し、レインさん・・・いえ旦那様にお渡ししました。


 えっ! と驚いた顔をされましたが、そんなたいした事は書かれていないと思い、お茶を入れる事にしました。


「---ごふっ!!」


「どうされました?」

 旦那様が、急に変に息を詰まらせ、堰をしたように感じられました。


「---いや・・・ごめん、なんでもないから。お茶いれてくれる?」


 と、涙目になりながらも、そう私にお願いされたので・・・お茶をいれにその場を離れる事にしました。


 手紙に何が書かれていたのかは、教えてはくれませんでしたが、「たいした事は書かれて無かったよ?」と言っていたので、その時は気にしないでいようと思います。






 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 ねぇ、白ってどんな色にも染まり易いよね?

 結婚式のドレスで白を着るって・・・・

「結婚したら、あなたの色に染めて」って意味になるんじゃない?!

 どう?!染めてみたいでしょ?!


 ・・・ジルにこの手紙を見せるかは、自己判断で宜しくね。

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 結婚してから約一ヵ月後、この手紙を見せられた時は、体中が真っ赤になりました。


 ----お嬢様は、どこからこのような知識を得てくるのですか!!


ジワジワ、ちょっとずつ、ブックマークが増えて、嬉しいので、調子に乗って、周りのキャラを巻き込んでの話を書いてみました。


ブックマークありがとうございます。感謝です。

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