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43.最初のお客様。

「こんにちは~、レインさんいらっしゃいますか?」



 私は、警邏隊所属の騎士のレインさんを訪ねて、警邏詰所にやってきました。


 入り口には、二人在中して詰所にやってきた人の要件を聞いてくれるので、レインさんを呼んでもらう事にしました。


 今日はアキラです。もちろん一人だと外出禁止なので、お供はガイとリクルです。

 本当は、ガイだけで良いんだけど、これから配達お弁当屋さんをやるには、顔を覚えてもらわないといけないから、リクルも一緒に来ました。


 ガイは、外で待っています。今はリクルと二人です。


 配達弁当の最初の客は私、キャロラインです。

 でも、私が食べるんじゃないですよ?ジルの彼氏さんのお届け依頼をしました。お名前はレインさんです。


 最初のお客をレインさんにしたかと言うと、誘拐騒ぎの時に私の情報を我が家にもたらしてくれた、影の救世主だったからです。レインさんが気付いてくれなかったら、私が王都の外に出た事に気が付いてもらえなかったかもしれないのです。・・・なんて恐ろしい、ガクブルですよ。


 なので、御礼を兼ねて---お弁当配達です。

 もちろん、突然お弁当届けても受け取って貰えないと思うので、ジルからのお手紙付きです。なので、一応ジルからの差し入れという事にしてあります。



「---あ~俺ですが?どちら様ですか?」

 奥に居たらしく同僚に呼ばれて登場です。


 ジルさんの彼氏さんは、スッキリと爽やか、笑顔がかわいい細マッチョさん(・・・たぶんね)、金髪なんだけど茶色に近いかな。


 休憩中だったらしく、ちょっとだらしなく着崩した騎士服も素敵だ。ぽりぽりと頭の後ろを掻きながら、何だろう?とでも思っているのか、首を傾げている。


「初めまして、配達弁当屋のマヨネスのアキラと申します。本日は、ジルさんからのご依頼でレインさんに昼食をお届けに参りました」

 ゆっくりと頭を下げ、丁寧に挨拶をする。最初が、肝心です。

『様』付けで練習をしたら、「止めろ、言う方も言われる方も居心地が悪い」とガイに言われました。・・・まあ、配達の子供に言われてもね?って思ったのでやめておきました。


「マヨネス?聞いた事ないな?・・・ジルから?」

「マヨネスは、店の名前ですよ。僕はアキラと申します」

「ぼっ、ぼくは、リクルです!」


 ふむ、王都の店の名前覚えているのか。流石、警邏隊所属の騎士様だ。


「当店は、食事処はやっておらず配達弁当を生業としておりますので、ご存知ないかと。---ジル様からご依頼を受けまして、こちらをお持ちしました」


 お弁当の袋を持つリクルを一歩前に出すが、受け取ろうかどうか、迷っているようだ。


 まあ、そうだろう。子供からとは言え、見ず知らずの者から食べ物を受け取って何かあったら大変だ。


「こちらは、ジルさんからのお手紙です。・・・それから『マヨネス』は商売を始めたばかりでして、騎士の皆様にも御試食して頂こうと思いまして、多めにお持ちしております。宜しければ、此方もお受け取り下さい」


 と、私は、レインさんのお弁当の他に、2個余分にお弁当を渡す。


「それから、お手数だと思いますが、お弁当箱は窓口の側に置いて下さい。後ほどリクルが回収しに参りますので、よろしくお願いします」


 と、レインさんにお願いすると、受付窓口の騎士さん二人が顔を上げて、私達に向かって声を上げた。


「おい!マヨネス明日も持ってこいよ?!」

「ご注文いただければ、お持ちしますよ?」

「じゃあ、俺たちの分、二つな!」


 と受付から顔を出し大声を出すので、リクルにあらかじめ渡しておいた紙に名前を書いてもらうのと、料金の説明をしてくるように向かってもう。


 受付窓口の騎士さんは・・・既にお弁当で買収済みです。お気に召したようで何よりです。これからもご贔屓に。


「では、此方をお受け取り下さい」


 ジルさんの筆跡を、確認したようで戸惑いが感じられたが、受け取ってもらえました。


 身体を使うお仕事なので、足りるといいなぁとながらも、警邏隊詰所を後にした。






「ふう~。緊張したね」

 隣を歩くリクルに声を掛けた。

「---すごい!アキラすごいよ!!」

 ・・・リクルは大興奮でした。


 この2週間、配達お弁当屋さんをオープンする為に、お弁当箱と保温ポット(・・・鍋は団体用にしました)を出来るだけ数多く準備しました。試作品は、ガイ(こっそりランセイ)に作成してもらい、とりあえず50個ずつ、ちゃんとした工場に作成依頼をしました。

 ---私の予定では、一日50個売れればいいんじゃない?!と思っていたのですが、マヨネーズの虜となってしまったマヨラー達が、『100個は販売できますね・・・』と口々に言いまして・・・気づいたらお父様が勝手に100個作成依頼をしていました。


 ・・・いやいや、そんなに売れたら人手が足らなくて困りますよ。そもそも、ガイのお家の人達が生活できればいいんだよ。大もうけは狙ってないんだから。


 企画とコネは私担当で、実際に料理を作るのは、ガイのお母さんと年長者さん達のお仕事で、10歳以下の子供達は、配達をする事になっています。---とは言っても、軌道に乗るまで暇なのだろうから、初めての客先には年長者の子供達が保護者代わりとして付き添っていってもらおうと思う。顔を覚えてもらったら尽きそいはいらないだろうし。


 ・・・そうそう、忘れてはいけないのが我が家の料理長---マヨネーズの作成を担当しております。



「・・・そういえば『マヨネス』ってどんな意味なんですか?」


「---聞くの?それ聞いちゃうの?!・・・絶対に言わないから!!」


 マヨネス・・・マヨネーズ好きな連中が、「『マヨネーズ』にしましょうよ!!」と、とち狂った店の名前をつけようとしたのをなんとか宥めた結果だ。


 ・・・もうお分かりだろう、マヨネーズすき・・・まよねーズすキ・・なのだ。


 ほんと・・・人に話したくない黒歴史だ。・・・この店の名前が出る度に、このモヤッとした気持ちが心の中を蝕むのだろう---。断固として拒絶したかったのに!!

 それなのに、見方であろうはずのガイが

「それでもいいんじゃねぇ~?マヨネーズ信者これから増えるだろうし、わかりやすい方親しみ易くて・・・」

 と言ってしまったのだ!!


 ・・・マジ!ありえない---とガックシ力が抜けました。気づいたら、お弁当箱と保温ポットに『マヨネス』の刻印が!!






 さてさて、本日わたくしもう一つ、お弁当作成の予定がございまして・・・個人的なものですよ?・・・なので、ここでリクルとはお別れしました。


「ちゃんと、お弁当箱回収に行って来てね~!!」


 私はウキウキと足取りも軽くお家に急いだ。


主人公の年齢を上げて・・・みたいなぁ・・・と考えてる、思いつき更新です。


お読みいただいてありがとうございます。

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