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37.旅は終わり・・・お家にかえるのです

「---あのっ!」


 騎士達が緊迫した雰囲気の中、私は意を決して馬車を降り、声を掛けた。


 ---ガイを取り囲み警戒を行っている騎士達の視線が私に集まった。


『---黙っていろ!って、ガイが言っているよ・・・』


 ランセイの声が頭の中に響いたけど、そんな事は言っていられないのだ。---だって、私はこれ以上黙っていられないのだ。


 ・・・ここにいる騎士達は、少しばかりかも知れないが私の心配をしてくれているのだから、姿を隠したまま心配させているなんて出来ないよ。


 あの犯人の言葉にこんなに殺気だっているのに・・・ガイが簡単に開放される訳ない。これ以上、無駄な仕事してもらうのも、要らぬ心配をしてもらうのも心苦しい。


 ---手に持った水筒の蓋を開け、私は頭の上に全部掛けた。


 ・・・染め粉が落ちたかな??


 馬車から飛び出し、予想外の行動をした子供に皆の視線は釘付けだ。


 ・・・まあ、仕方が無いよね。


「---えーっと、染めた髪の色落ちていますか?・・・皆さんが探してくださっているの私だと思うんですけど??違いますか?」


 鏡がないので、自分の髪の色が銀髪に戻っているのか、確認する方法がない。とりあえず、ランセイに聞いてみることにしよう。


『元の髪の色、分かるようになっている?』


『?うん、頭のてっぺんは銀色が見えているよ~』


 ・・・なら、大丈夫かな?後は---。


「ご心配おかけして申し訳ございませんでした。---それと、探していただいてありがとうございます。サイラスさん」


 私は、ガイの目の前に立つ護衛騎士の一人の前に進み出て、ゆっくりと頭を下げた。


「---なっ・・・」


 戸惑う声が、頭の上で聞こえたが・・・そんな事は気にしていない。こうして頭を下げるしか、彼らの気持ちに報いる方法が何も私には無い。---こんな事で許されるとは思ってはいないけど、今はこれしか出来ないから。


 頭を下げ続ける私の視線に、サイラスさんが膝をつき・・・私の手をとり、両手で包み込んだ。


「---私の名を知っていただけているなんて、思いもよりませんでした。・・・ご無事で何よりです」


「---ごっ、ごめんなさい。沢山心配かけて・・・ごめんなさい」


 今の私にはそんな優しい言葉をかけてもらえる資格なんてないのに、泣いて許しを請うなんて思っていないし、涙を見せるつもりはなかったのに・・・気づいたらポロポロと涙が溢れ出ていた。


 ・・・キチンと顔をみて、謝らなきゃ。


 わたしは、涙で顔がぐちゃぐちゃで、人に見せられない顔になっているのは分かっていたけれど・・・顔を上げ、サイラスさんの顔を真直ぐに見つめた。本当は瞳を見て謝りたかったんだけど、涙で見えなかったんだ・・・。


「---ひっく、ごめんなさい・・・」


 ボロボロと涙をあふれさす私に、そっとハンカチを差し出したのは、レッドの従者さん---そんなに見守っています的な眼差しで見つめられると恥ずかしいのでお止め下さい。


 コクコクと頷き、声にならないお礼を伝えられたら良いなぁ---と思いながらハンカチをお借りする事にしました。


 そんな生暖かい雰囲気をぶち壊すのは、もちろんA!!


「---何やっているんだよ!そのガキがどうしたっていんだ、さっさとそいつも捕まえろ!!」



 そんな言葉は、私は綺麗さっぱりスルーして、サイラスさんと従者さんに事と次第を説明する。・・・Aの声が耳障りで話の腰を折らない程度に移動してからだ。


 もちろん、ガイは私の隣にいます。だって、手を握った状態ですからね~、一緒に移動ですよ。





「ガイは、あの犯人達が何するか知らずに、たまたま馬車に乗せられたところに、私が攫われてきたんだって言っていました。---サイラスさん達は、それが嘘だとか本当だとか関係ないのかもしれませんが、私がここまで怪我がなく元気でいられたのもガイがいてくれたからなので、私はとても感謝しています。・・・だってガイが居なかったら、1日長くて2日は飲まず食わずで森の奥にある小さな家の地下に閉じ込められたままだった筈だから」


 私は、何とか笑っているように見えるといいなぁ・・・と思いながら口元を吊り上げる。


「---お嬢様は、それでよろしいのですか?」


「よろしいも何も、ガイが居なかったら・・・と思う方が私は怖いよ」


 サイラスさんは、じっくりと私とガイの様子を観察しているようで、何も言わずに話を聞いてくれていた。


「それでね・・・あの人達、私の髪を切って、洋服を売り払ってしまったから、いろいろ困っていたらガイが洋服を持ってきてくれたの。

 髪は、銀髪は移動するのに目立つからって、染め粉で染めていたの・・・兄弟に見えるように同じ色にした。

 誘拐された理由も聞いた---だから、コッソリと自分で家に帰る決心をしたんだけど、どうしても一人じゃ無理だから・・・ガイに王都まで連れて行って欲しいってお願いしたの。

 ---だから、サイラスさん達が街道を王都に向かって馬車を走らせているのに気づいても、隠れていた・・・でも、それは間違いだって気づいたから、だから・・・本当にごめんなさい」


 そこまで一気に言葉を紡ぎ、頭を一気に下げた。


 ・・・いくら謝ってもたりないよ。


「---そんなに頭を下げないで下さい。お気持ちは十分に伝わっておりますよ?」


 ニッコリと微笑みながら、従者さんは優しく接してくれます。なんて出来た従者さん。


「ところで、誘拐された理由を聞いて、コッソリと帰る・・・なんてどんな誘拐の理由を聞いたのですか?」


「---殿下の婚約者になりそうな令嬢を攫って、不名誉な噂を流す?だったかな??」


「・・・この誘拐は、王子の婚約者第一候補の誘拐を目的としているが、候補になりそうな令嬢であれば報酬がでる約束になっている。---そして、そのまま一晩経ってから開放する。つまり、誘拐されたという事実でその家に汚名を着せて、その令嬢が誘拐先で何かされたのではないか?と周囲の貴族に思わせ、噂させる事が目的なんだ---と教えてやっただろう」


 さっきみたいに丁寧な話し方はやめたのか・・・騎士さんと従者さんが顔に出さないが驚いているようですよ。


 私の適当な説明をキチンと私に話した時と同じように話してくれました。


「---誰の指示ですか?」


 第一王子の従者さんの声のトーンが落ちた。・・・あー・・・これは地雷だよね。王子の従者さんとしてはどうしても欲しい情報だし、潰しておきたい不穏な芽の一つに違いない。


「俺は、巻き込まれただけなんでな・・・依頼主の情報は持っていない。あそこに居る二人に聞いてくれ。報酬をもらっているはずだからな・・・」


 と、ガイは馬車の中に居る誘拐犯を睨みつけた。


 それから、私はガイと一緒に森を脱出してからの事を話した。


 心配かけたのは申し訳なかったけど、ガイとの旅は色々と知らない事を学んだり、いろいろ楽しかったのだと、話してしまった。・・・ほんと、ごめんなさい。


 一通り話を終えて、サイラスさんと従者さんの話し合いが行われ、私とガイはレッドの馬車で家まで送ってもらえる事になった。・・・ガイは最後まで私に付き添う事をサイラスさんに約束させられていました。


 ---そうだよ、忘れちゃいけない!!シシリア様からもご褒美もらわなと~もちろん、私からも受け取ってもらいたい。


 私は、中途半端な髪と濡れた衣服を軽く整える。髪はもう一度色が抜けた場所は染め直した。

 シシリア様にご褒美もらいに行くのに、ボロボロの格好じゃあね・・・。



 壊れた護送馬車の事は、王都の門で変わりの護送の馬車を出してもらえる様に、従者さんが取り計らってくれるって事になって、私は急ぎ家に帰る事になった---よかったよかった。


 なんて事を考えて、馬車に乗り込もうとしたのだが!!わたしは重要な事を思い出した!!



「ギル!!ギルドの依頼を達成しない!---忘れていた!!」



 お手紙配達の仕事が残っていたんだ~・・・まずは手紙をお届けしてギルドに行かなきゃだよね。


 ムム~ッと眉間に皺を寄せて、考えている。


「---まだ時間はある、二・三日中に家を出してもらえるように頼めばいいんじゃないか?・・・家を出してもらえるといいな」


 ニヤリと笑ってガイは御者台に乗り込む。


 エーッ、出してもらえるのかな?出るしかないよね・・・。



 とりあえず、シシリア様を送り届けてからお家に帰るのです!

 レッドの馬車で、行ったのでスンナリ事は進みましたよ。

 シシリア様は、レッドに助けられた!命の恩人だと---家族みんなに涙ながらに語っていた。


 従者さんがキチンと説明してくれなかったら・・・なんか、もうどーでも良いかな~・・・と思ってしまっていたよ。






 そんなこんながありましたが、無事にお家に届けてもらいました・・・裏門にですが。


「いろいろお騒がせしました」


 ---私が騒がしかったわけではないけど、一応お世話になったので、感謝はしておこう。


「なかなか楽しい旅だったぞ」


 と背中からレッドに声をかけられ馬車を降りた。


「ギルドからのお手紙配達のお仕事で、ランドルフ侯爵に御用がおありなのです」

 と従者さんが説明してくれていたので、ランドルフ侯爵家の裏門に馬車を止めても何にも聞かれませんでした。


 レッドの中で、今の私はアキラのままなのかも知れない。それは良しとしよう!


 私はガイを連れて裏門に入る。二人の門番の騎士が警備をしているので、不審者が門をくぐれば捕らえらえるのだか---スンナリと通してくれました。


 あれ?どうしてだ?首をかしげていると、

「「お帰りなさいませ」」

 と騎士の二人は静かに頭を下げていた。


 アレ?誰か連絡した?何でわかったのかな?


「テラスにて、皆様お待ちかねです」


 横を通ると頭を下げたまま、告げられた。


 テラス?待っているの?


「一緒に行ってくれる?」


 ガイの洋服の裾を掴み、ドキドキする胸の鼓動に負けない様にギュッとなる心を奮い立たせる。


「---早く行こうぜ?みんながお前を待っているらしいからな」

 ニッ、とイタズラ小僧の様に歯を見せて笑っていた。


「・・・もしかして、ガイが?」


「---あの従者だろう?」


「---そう、私・・・変じゃない?」

 髪と洋服を引っ張りながら尋ねると---


「中身がもっと変だから、問題無いんじゃないか?!」


「ひどいよ!激おこぷんぷん丸だぞ!!」

 って、握りこぶし作って両手を角の様に頭に乗せて言ったら・・・


「やっぱり、中身が変だな・・・」

 って、納得された。


 あれ、おかしいな?変なのかな?


 あれ?あれ?どこが変なのか説明を-----なんて思っていたら、テラスが見渡せる中庭に足を踏みいえられていた。 テラスには、お父様やお母様、お兄様やギル様、スミスおじいちゃんの姿があった。


 ---あっ、・・・どうしよう。どうやって行けばいいかな・・・。


 私は、多分・・・今までガイに見せた事がないくらいの情けない、泣きそうで・・・怯え・・・戸惑いの表情でガイを見上げて、手をギュッと握りしめていた。


「---・・・どうしよう・・・ガイ」






「---お嬢様!」


 えっ。・・・あの声は---。


 ぼーっと、テラスに集まって人達を確認し、意味も無くテンパってる自分を持て余し、どうあの中に入って行けば・・・なんてから何も無く怖じけずいてしまい動けずにいる、と---ドン!と後ろに倒れそうな程の衝撃を全身に受けていた。


「お嬢様!何やっているんですか!?そんなに皆んなに心配かけたいのですか!怪我は?病気は?お腹は空いていませんか?今まで何していたんですか!---僕は、もう側を離れませんからね!」


 ギュウギュウとフォードお兄ちゃまに抱き締められ、あぁ~物凄く心配かけたんだなぁと、深く反省をした。


 だから、苦しいとは言えなかった・・・。


 うんうん。と、うなずく事しか出来なかったけど、いつものお兄ちゃまの暖かさに一人安らぎを感じながら、あ~ぁやっと帰って来たんだと心から実感する。


 ・・・、あ~睡魔が---襲ってくる。


「---お嬢様?」


 お兄ちゃまの背中に回した腕が、ダラリと力を無くしてくのを感じたのか、お兄ちゃまが私の顔を覗き混んできたのだか・・・。


「---・・・おやすみなさ・・い。おに・いちゃま・・・」


 私はそのまま、身体をお兄ちゃまに預け意識を手放した。


 6歳さんには、重いかも知れないけど、ガイが隣にいるから大丈夫だよね。


 安心したら眠くなっちやったよ~。お兄ちゃまは、私の安眠剤だよ~。


 身体の力が抜けていくのに気が付いて駆け寄ってきたガイの洋服を掴んで置いた。


 勝手に帰るのは許さないんだから!


 眠りにつく前にランセイに伝えてって伝言済みですよ。



 では、ホントにおやすみなさい。

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