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33.楽できてラッキーだと考えられたら楽だったのに・・・

 ただ今、私は超高級馬車の中でドナドナ中。


 ・・・外見はそれ程では無かったが、見る人によっては誰の所有物なのかわかるらしい。見た目も持ち主同様派手でいいと思うんだけどね。


 アルフレッド様・・・いや、今日も馬車を降りて私達にレッドと名乗っていたので、レッド様と言っておこう・・・と、我侭お嬢様ことシシリア様と一緒に馬車の中。


 ・・・同乗を許されたけど、辞退したんだよ!!それなのに無理やり・・・最悪です。私は空気です・・・居ない者として扱って下さい。


 何でこんな事になったかと言うと、至極簡単な事だ。




 金髪・紫の瞳の派手な人物を見た瞬間、見なかった事にしたかった私とは正反対の反応をしたお嬢様に・・・私の頬は引きつった。


 なんてBADタイミング・・・いやGOODタイミングなのか?!

 なんでここに・・・と、思わず現実逃避をしたくなったが、この我儘お嬢様に付き合わなくて良くなったのは、ラッキーだったのか?!と、私の個人的な感情はさて置き、ガイとこのお嬢様にとっては、幸運だったに違いない。


「わたくしが、とてもとても困っている時に、颯爽と現れ、手を差し伸べて下さるなんて、やはりわたくしと殿下は赤い糸で結ばれているんですわ」


「それはそれは、少しでもお助けできたのなら良かった。私の名前はレッドと申します、お見知り置きをシシリア嬢」


 と言って、にっこりと胡散臭い満面の笑みを浮かべた。


 殿下は、お忍び行動中なのか、自分の事を『レッド』と名乗った。


「レッド様とお呼びしてもよろしいのですか!レッド様が来て下さらなかったら、わたくし・・・レッド様は命の恩人ですわ!レッド様の馬車が通りかかって下さらなかったら、この辺鄙な、所で倒れておりましたもの・・・」


 イヤイヤ、私はたち居たし、隣の町まで歩くだけじゃん!と私は、心の中で突っ込んでおく。





 さて、このお嬢様の名前はあっさりと、殿下こと・・・アルフレッド様のご登場により判明いたしました。お名前はシシリア様です。


 まぁ、私はアルフレッド様の事はもちろん知っているのだけど、この姿なので当然初対面の振りをした。・・・なんでこんな所にいるのか、聞かれたくないので当然だ。



 私たちの存在を綺麗にスルーしていたシシリア様だったが、当然殿下の付き人は身元のしれない不審者を見過ごす事はなく。身元の証明と事の次第を聞かれた。


 ・・・もちろん素直に答えたよ。予定通りにね~。


 私とギルは兄弟だと説明し、ギルドカードを見せ、ギルドで請け負った仕事で王都まで手紙を届ける予定なのだと簡潔に伝えた。


 我儘お嬢様・・・シシリア様との出会いは、幼い私の休憩をする為に川沿いを歩いていたら偶然・・・と濁しておいた。


 シシリア様は、何故こんな事になったのか、私たちにあった後の事を涙ながらにレッドに事細かに話して聞かせていた。---見ず知らずの男の背中に居てとっても心細かったとか。


 全くもって失礼な話だ!少しは感謝して欲しいものだ。


 ・・・よくもまぁ、ここまで涙ながらに語れるものだと、感心した。少なくとも私たちは出来るだけ友好的に接してきたよ!相手にその気が無かっただけでね!!


 まぁ、そんなこんなで、シシリア様がいろいろとレッドに話すので、私たちがシシリア様を助けた事は証明され、いらぬ疑いをされずにすんだ。


 従者と護衛を連れて馬車に乗っている時点で良いとこの貴族なのは、一目瞭然なので、身の安全の為なんでも疑ってかかるのは当然の事だ。


 




 ---で、なんで私が馬車に乗っているかと言うと、馬車の中には4人しか乗れないからだ。


 レッド、シシリア様、私、後は従者さんで定員オーバー。ガイは御者さんの隣に乗せてもらっています。


 私が、御者さんの隣が良かったよ。


「兄さんは、疲れているはずだから馬車に乗って欲しい」

 って、言ったのに!


「体重が軽いと揺れた時に落ちる可能性があるから中に乗せて貰え」

 と。絶対そんな事思ってないよね、自分が乗りたくなかっただけだと思う。


 私の精神的な苦痛はどうでもいいんですか!


 もちろん、ランセイを通して文句を言ってやりましたとも!


 この従者の人、お家であった事ある。お忍びお買い物をした時にも一緒だった。声でわかってしまうかも知れないから出来るだけ、会話はしなし口調をかえる方向で・・・。





 レッドとシシリア様の会話を聞き流しながら、私は馬車の外の景色を眺める。

 従者の方は、レッドとシシリア様のお世話が終わって一息つくと、私に気を使って飲み物やお菓子を勧めてくれるが、そんな気分じゃないので、オロオロとして怯えたような演技をして首を振りお断りしておいた。



 で、シシリア様なんだけど・・・やっぱりというか、予想通りというか、誘拐されていました。まぁ、涙ながらに語ってくれた内容を私が簡単に言ってしまえば---。


 お供を連れて街に買い物に出かけた際に、私とは別の3人組みの男達に無理やり馬車に乗せられて、ここまで来て、あまりにも泣き叫び暴れるので川の中州に置き去りにされたらしい。


 ・・・まぁ、あの連中と同じような内容で依頼されていたら、さらに重い罪を重ねるよりも一晩放置の方が楽だしね。でも、この国の法律で誘拐はそれなり重罪なのだ。---捕まったらどうなるのかは詳しくは知らないが、どこかの山で掘削作業となるようだ。


 私を誘拐したあの二人は、いい気分で酔っ払った後、どん底に落とされるのだ!!いい気味だ!!


 ・・・気になるのはガイだ。私が弁護する事によって罪に問われなければいいのだが・・・と言うか、あの二人以外にガイが関わって居るのを知らなければ、助けてくれた恩人という事で済ませてしまいたい。


 ---そんな事を考えてしまった。家に帰る前に考えをまとめておこうと思ったけど・・・暇で考え始めたら後ろ向きの考えしか浮かばなかった。


 今までは、帰る事を目的として色々学ぶ事があったので余計な事を考えずに居られたのだが、外の景色を眺めながら、ただ乗せられている状況はあまり良くない事ばかり考えてしまうものだ。よく分からない不安が胸の中に渦を巻く。


 外を眺めていた私の視界が---少しぼやけて来た。


 ・・・やだなぁ、何も考えないようにしていたのに、ガイの姿が見えないからなのかなぁ。


 私は、欠伸をする振りをして目を擦った。---そんな私の耳に飛び込んできた名前に思わず顔をレッド達に向けてしまった。


「このご旅行は、カインセミュー様はご一緒ではないのですね?」


 シシリア様の何気ない一言だった・・・。お兄様の事だ、あまり接する事がなかったので、これと言って思い入れはあまり無いのだが、少し知っている人の話題は心が動いた。


「---あぁ・・・珍しいか?妹君が体調を崩していると連絡が入り、急遽見舞いに戻っている」


 ---妹君とは?!私の事か??・・・病気?!・・・そういう事になっているのか?!ちょっとでも家での情報が聞けてよかったかなぁ。


 欠伸をした後、ボーっとし始めた私を気遣ったのか?従者の人が声を掛けてきた。


「---どうかなされましたか?お疲れならばお休みいただいても大丈夫ですよ?」


 と・・・。なんて出来た従者だろう。お子様だから待遇がいいのか?



 うん、少し眠いかな。寝る子は育つのだ。居た堪れないので、寝てしまおうか。


「お兄様と離れてしまい、心細いかもしれませんが、辛抱下さい」


 うん、そうかも・・・心が凪いでいる時は寝てしまうに限る。レッドとシシリア様の視線が気になるが、寝てしまおうか・・・本当に寝ちゃうかもしれない。



 お兄様・・・私の兄はカインセミューで、でも大好きな心のお兄ちゃまはギルフォードで、今の設定はガイでとても頼りになる兄なのだ。うん、みんなお兄ちゃんになっちゃえばいいのにね。


 できる事なら兄話題は振らないで欲しい。私が安心出来る寄り添う事の出来る兄は隣にいないのだから・・・。


 私は顔が見えなくなるように帽子を深く被りなおし、椅子に深く座り頭を馬車の扉に預けて、寝たふりをする事にした。こうすれば話しかけられずに済むし・・・ね。


 もっと、家の状況が分かれば寝たふりをして聞いていても良かったのだが、この旅行に出る時に家に戻る事になったので、他の情報はなかった。


 ・・・やっぱり寝ちゃおうかな。



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