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30.旅は楽しいのです

 「わぁ、ランセイすごい飛んでいるよ!リーン流石だね。私も飛びたいよ!カッコイイ」


 ランセイのムササビ飛行はほぼ成功と言っても良いのではないでしょうか!


 ガイの頭の上から風を受け、一気に上昇!!そして風を左右の腕と体の傾きで行く方向を操作し、木の枝に降りたりする。そのうち慣れてきたのか、木から木に飛び移る姿はまさにムササビ!!まぁ、ここまでガイには求めないけど、チャレンジする価値はあるよね~・・・でもちょっと思ったんだけど、ゴーグルとか無いので、顔には風の抵抗を受けないようにリーンの技術が問われますね。


 棘のムチはこれからお試しをします。何故かと言うと、ムササビスーツ飛行で日が暮れてしまったのです・・・。


 王都に向かおう1日目は無事問題なく終わり、隣町到着し、宿屋を探そうとしていたのですが・・・。


「---・・・おい、隠れろ!」


 ガイが、急に私の腕を引っ張って、建物と建物の間に引き込んだ。


「!なっ、どうしたの??」


 ガイは、通りの様子を覗き込みながら、言った。


「あいつらだ・・・まだ、こんなところに居やがった---急いで食料を買い込んだら、さっさと町を出るぞ」


 ガイは、建物の置くへと向きを変え、私の手を引っ張りながら奥へと進んでいく。


 チラリと通りの様子が見えたのだが、真っ昼間からお酒を飲みすぎた酔っ払いの事だよね・・・町中にいたら避けて通りたくなる程の傍若無人ぶりだ。まだ夕方なのに、既に出来上がっている・・・しかも体が大きいし、人相が悪いのでたちの悪い・・・。人相が悪いのは関係ないね・・・そこは心の中で謝罪しよう。



 ---あれが誘拐犯たちという事は、私の洋服と髪を売ったお金で豪遊していたって事だよね!!マジ・・・むかつく!・・・ぜひ、刺のムチの餌食にしてしまいたいものですね。・・・また試してないけど、是非威力を試してみよう!!


 なんて、腹黒い事を思っていたら・・・ガイが、悪い笑顔でこちらを見ていた。


「---全く、禄でもない事でも考えているんじゃないだろうな」


 その通りでございますよ、とニッコリ微笑んであげました。





「パチッパチパチ・・・」


 と音を立てて火の粉が舞い上がる。


 本日は、キャンプとなりました。よく言えばだけどね。

 ・・・予定外なので、野宿とも言うのだけれど、私達には妖精という強い見方がいるので、野宿といっても比較的にも楽なのである。

 動物に、臭いがわからないようにするとか、気配には、敏感なので重宝するのだ。



「ねえ、もしかしてあの人達が私の髪の毛や洋服を売ったりしたら、私・・・死んじゃった事とかに・・・なってないよね?」


 ガイに言われた時は否定したけど、何だろう・・・夜になったら不安になった。

 人に言われるのと、自分で思ってしまう事では、重みが違うのかもしれないね。


 不安になって、思わず口に出してしまった。


 まあ、ちょっとした疑問ですよ?この世界だと誘拐されてこの状況の私ってかなりラッキーで珍しい状況なんだと思うんだよね。

 普通は、こんな焚き火を囲んでいる状況になる事はなく、怪我してあの小屋にいるのではないかと・・・。そうしたら、今頃お腹を空かして衰弱していると思う。


 騒いで大怪我をしていたら?鍵をかけられていたら?そんなタラレバを考え出したら止まらない---。


 そんな、くだらない私のグルグルとした思考が顔に出ていたのか、ガイはガシガシと私の頭をかき回したあと、私の瞳の奥まで覗き込むかの様に目と目を合わせる。


「---それは重要な事なのか?お前は探してもらわないと家に帰れないのか?それとも死んだと思われていたら、帰れないよ様な家なのか?」


 違う、そんな事ない。


 私は、押さえつけられている頭をブンブンと横に振る。


「お前は自分で、逃げ出し、家に帰ろうと必死になってもがく奴だと俺は思っているんだがな・・・違うのか?」


「帰るよ!絶対に帰る!私は---どんな事してでも帰るんだから!」


 そう宣言すると、ガイはニヤリと口元を上げる。

 あっ!なんか、ガイの思い通りに口走っていたらしい・・・ちょっと悔しい。


「---だから、ガイ協力してね。頼りにしています、お兄ちゃん?」







「む~・・・、おはようございます」

 もそもそと体を動かし、体に掛けていた布から這い出ると、街道沿いに鋭い目を向けているガイの姿があった。


 何かあったのかな?


 音を立てないと様に、そおっとガイの傍にうずくまる。なるべく小さい声で、ガイに声を掛ける。


「どうしたの?」

「リーンがな、あいつらが護送されるって言うんだよ。---どうやら捕まったらしいな」


 そんな事を話している間に、馬車のガタゴトと、いう音が遠くから聞こえてきた。


「護送にあたっている奴らの顔をしっかり見ておけよ?」


 ?なんで?


 ちょっと首をかしげるとガイは、ボソッと告げた。


「奴らを捕まえたのは、お前のうちの護衛騎士か、警邏隊の騎士かだろうよ。自分の家の護衛騎士だったら連れて帰ってもらえはいいだろ?」



 ガイは何を言っているんだ?いろいろ問いただしたい事はあるが、護送されている馬車がら通り過ぎるまで、木の影に身を伏せてジッと気配を消す。


 一応、ガイに言われた様に、護送にあたっている人達の、顔を一人一人ジッと確認する。


 馬車の音が遠くまで通りすぐるのを待ち、ほ~っと、息を吐く。


「私の家の護衛騎士だったら、ガイは捕まらない?一緒に家まで行けるの?それとも一緒に居るのが面倒になったの?」


 グワッと感情のままに一気にまくし立ててしまうが、まあ、言いたい事は言った方がいいよね。



「いいか、よく聞けよ。お前の家の者だったら、早く連絡がつくし、早く家に帰れるだろう。なにより家族が、安心する」


「確かにそうかもしれないけど・・・でも、ここで離れたらガイは捕まる可能性が高いよね?そんなの私が嫌なんだけど!」


 私の事を心配してくれている皆んなには、申し訳ないけど、ガイが捕まるなんて絶対嫌だ!


「でもね?あの中でもしかしたらそうかな?ってくらいの人が一人いただけなんだよね。残念だなぁ~」


 ふふ~ん、仕方ないよね・・・見覚えがあまり無いんだから。


「おい!全然残念そうに見えないんだけどな!」


「痛いよ!そんな頭ぐりぐりしないでって」


 そんな事して、誤魔化しているけど、ガイの口元が少し上がっている。

 無意識のうちに試されているのかな?とか、まだ信用してもらえてないのかな?とか、何なのか?人の気持ちなんて、考えるだけ無駄なのだが・・・。


 やっぱり、ツンとデレだな。



「そもそも、この髪型のこの色で、この格好で、出て行っても気付いてもらえない自信があります!」


 だってどこからどう見ても男の子なんだよ!!











「---キャロラインが帰ってくるまでの間、これを被り、ここに座っていてくれ」


 旦那様から僕の手に渡されたのは、お嬢様の髪から作ったウイッグだった・・・。


「これは・・・どういった事でしょうか?」


「キャロラインが必ず帰ってくると私は信じている。---だから不在を他家に悟られないようにする為に、いつもと同じように私達はすごさなければならない。・・・キャロラインも部屋にて病気静養中とする事にしたのだ」


 ---僕は・・・キャロライン様を探しに行きたい!でも・・・一人外に出て探しに行く事は出来ない、未熟な子供なのだ。そんな僕ができる事といえば限られている。


「---お任せ下さい、旦那様」


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