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21.僕のお嬢様。

本日2話投稿しました。ギルフォードおにいちゃま視点です。

 僕のお仕えする事になったお嬢様---キャロライン様は、少し変わっている。


 読書が好きで、なんでも知りたがる、こっそりお付のメイドさん達と変な事をしてたりと普通のお嬢様とはちょっと違う・・・と思う。


 ---普通のお嬢様は、メイドさんの彼氏の話とか、お菓子一緒に食べて欲しいなんていわないと思うんだ。

 ・・・僕もお菓子を進められて少し困っている。嬉しいのだけど、使用人と一緒に食べるって良くないと思うのだ。でもキャロライン様は気にしてない。


「一人で食べるよりも、みんなで美味しいね!って食べた方がとっても美味しいんだよ!」

 って言うから・・・強く断れないのだ。


 最初に、父にお嬢様と一緒に勉強するように言われた時は、---なんで?!と思った。・・・だって僕は6歳で本が読めるのだ。少し数字も分かる。それが、4歳になる前の子と一緒に勉強なんて出来ないって思っていた。


 ---でも、キャロライン様は違っていた。既に僕と同じくらい字が多い本を読んでいたし、計算問題だって僕より出来る。

 ・・・だって、隣で見ているだけなのに「・・・?これもう一回考えてみて?」って指をさして教えてくれる。

 古語だって、僕と一緒に始めたはずなのに・・・僕より先に読めるようになったのだ。---こんなに早く覚えるなんて、凄い!と思った。


 午前中はキャロライン様との勉強時間で、午後僕は剣の練習なので別行動でも良いのだけど、体力づくりと言って近くにいるので、午後も一緒に過ごしている。


 初めて顔を合わせたとき「ギルおにいちゃま?!」と僕の事を呼んでくれた時は、とっても嬉しくて、恥ずかしかった。・・・僕には兄が居るから「兄様」と呼ぶことがあっても、僕がそう呼ばれることはないからだ。顔だけでなく、全身が真っ赤になった気がした。・・・僕は思わず俯いていた。


「フォードおにいちゃま」と呼び名を変えたいって言われたけど「ギルおにいちゃま」でも何でも良かったのだ。・・・でも僕の事を少し考えてくれたのだ・・・と思ったら嬉しかった。


 ズーッと、この時間が続くと思っていたのだ。






 キャロライン様は---僕の仕えるお嬢様なのだと・・・突きつけられる日がすぐに来たのだ。


 きっかけは、奥様の企画したお茶会・・・お嬢様にお友達を作ろう!という計画だった。・・・そもそも、僕はキャロライン様のお友達にはなれない・・・のだから、これからお茶会に出席する事が多くなるキャロライン様には、お友達は必要だ。


 僕は、キャロライン様のお付の者としてお茶会に参加した。

 キャロライン様は、意識しての行動なのだろう、上手に同じくらいの年頃の子供達をまとめ上げられた。


 それなのに、僕は---キャロライン様をお守りする事ができなかった。


 たまたま家にお戻りになられていたキャロライン様のお兄様・・・カインセミュー様がアルフレッド殿下をお連れになっていた。

 僕に質問しただけだったのだが、僕が答えられずに居ると、アルフレッド様に睨まれてしまい・・・その様な目を向けられた事の無いキャロライン様が泣いてしまわれた。


 ---僕はあの視線に怖気づいたのだ。そんな僕に救いの手を差し伸べたのは、カインセミュー様だった。身分の違いで怖気づいた僕は・・・キャロライン様と一緒には居られないのだと、自覚した。


 最初から、分かっていた事なのだ。・・・ただの勉強相手に過ぎないのだと。


 ---でも、この短い期間でキャロライン様はとても大切な人となっていたのだと・・・この時、既に感じていた・・・こんなにもモヤモヤとした感情が胸を重くしていた。





 そんな感情を胸の奥に隠した翌日、キャロライン様が事故にあった。・・・と言っても、馬車が倒れかけたが、街灯と外壁に支えられ、傷一つ追っていない。ショックで気を失ってしまったと急いでお屋敷に戻ったのだが、目を覚まさないなんて・・・。


 僕は旦那様にお願いして、お部屋に入れてもらった。


 キャロライン様は、枕をギュッと抱きしめ、顔を押し当て堅く瞳を閉ざしていた。・・・時折涙が頬を伝い流れ落ちていた。


 ---なんでそんな涙を流すのだろう、毎日一緒にいたのに・・・いつも笑顔だったのに、何がそんなに悲しかったのか。



 本来であれば、寝ている女性の部屋に入るなど許されないのだろうが・・・僕は子供で、大人びた行動をするがキャロライン様は小さな子供なのだ。

 仕事があり、傍に居る事が出来ない旦那様は書斎に戻る。


「目を覚ましたら直ぐに呼びに来なさい・・・」と僕に役目を申し付けてくれた。



 次の日も・・・、朝目を覚まさず、医者を呼ぶけど原因不明・・・---様子を見るしかない、幼児だからこのままだと体力の心配が・・・と。

 僕はただ、キャロライン様の手をギュッと握り締め、声を掛ける事しか出来なかった。


 そして、3日目になり・・・僕は、どうしたらいいのか、分からずに名前を呼び続けていた。


 ・・・神に皆の祈りが届いたのか、キャロライン様は目を覚ました。


 何でこんなに寝ていたのだろうね?と不思議そうな顔をしていたが、目覚めてくれて本当に良かった---と僕は神に感謝した。






 キャロライン様は、休養するようにと旦那様に言われ、大人しく部屋で過ごす事になった。・・・今まであれ程一緒にいたのに、・・・あんなに僕の傍に居たのに、・・・いつも僕を探しに来てくれたのに、全く姿を見ない日々が続いた。最初の数日は・・・体調が良くないのだと思っていた。


 いつの間にか僕は庭を歩く時、キャロライン様の部屋の窓を見上げるようになっていた。・・・外の明かりで読書をするのが好きなキャロライン様は、窓辺に座っている事が多い。


 今までならば・・・、ひまわりの花が開いたように、パァッと明るい笑顔を僕に向けてくれた。

 でも・・・今は、僕に気が付いたからだろうか、視線が合わないように顔を出さないような高さに窓辺に座っている。

 廊下で後ろ姿を見つけても、パタパタパタ・・・と忙しそうに小走りに去ってしまう。



 ・・・メイドさん達と一緒にお部屋でお菓子を食べて過ごしていると聞いた僕は、ご機嫌伺いに行ったのだ。そしたら---メイドさん達にあんな事をしているなんて・・・思わず部屋を飛び出してしまった。


 僕に会いに来てくれないのは寂しいのだけれど、元気そうで良かった。



 その日、僕はそう思った筈なのに---・・・。






 キャロライン様が、久しぶりにお庭に出たと聞いて、僕は様子を見に行ったのだ・・・。庭園の一角で隠れ居ているキャロライン様ともう一人。


 そこは---僕の場所なのに・・・と思ってしまった。


 涙を流すキャロライン様の隣に座る、僕と同じ位の男の子。泣いているキャロライン様の手を引き歩き出した。


 本当は、傍に行って涙を拭いてあげたかった。・・・でも、今僕はそこには行く事は出来ないのだ。このお茶会に招待されている貴族の子供で・・・僕は使用人だったから。


 二人の会話に割り込む事は出来ない---。


 黒い霧が胸の中に広がったような気がした・・・僕は拳を握り閉め、ただ二人を黙って見ているしか方法が無かった。


 -----なのに・・・キャロライン様が僕に気づき、男の子の手を振り払った。後ろから声を掛けられても振り返らずに、真っ直ぐに僕の胸に飛び込んできた。



 なんだか・・・とっても泣きたくなる程うれしくて、涙がこぼれそうだった。


 僕の胸に顔を押し当て、ぐずぐずと鼻をすすり、涙を止めようとしているキャロライン様の頭にそっと触れる。・・・僕の心の中に広がっていた黒い霧も・・・キャロライン様に会えなくて、なんだか息が詰まったよう様に感じていたものがなくなっていた。すべてがこの瞬間に溶けてなくなったようだった。


 僕にしがみ付く腕の力が少しずつ弱まっていき・・・小さなあくびが聞こえ、小さな小さな声が聞こえた・・・。


「---フォードおにいちゃま・・・だぃ・き」




 ---つっ・・・。なんで---僕はなんで気づかなかったのだろう。




 今の僕は、全身真っ赤に染まっていると思う。体中の血液が沸騰しているような感覚の襲われた。

 胸の鼓動がいつもよりも早く動いているのが分かった。


 キャロライン様を支えていない反対の手で、僕は自分の口を塞いだ。僕もこの気持ちを伝えられたら---でも、それはきっと・・・キャロライン様との別れの時になるのだろう。




 ---あぁ・・・僕も胸に込み上げたこの気持ちを・・・・告げてしまいたい。




 この腕の温もりがいつまでも続く様に僕は・・・何をすればよいのだろうか。






 僕は、何回かお嬢様の部屋を訪ねたけど、お会いする事が出来ない日々が続いていた。


 ---なんだろう・・・もどかしいこの僕の感情は。


 お嬢様の姿を見る事は出来ても・・・声を掛ける機会がない。

 ・・・本当にあの書庫での日々は夢のような一時だったのかと・・・もうその時は戻らないのかもしれないと、僕は思い始めていた。




 それから、暫くして僕が執務室に居る時にお嬢様がやってきた。



 ---父上の手に、あの小さな可愛らしい手を乗せ、真っ赤な顔をして部屋に入ってきたのだ。


 僕は、ようやくお嬢様の姿を見られた事にホッとした。---のだけれど、僕の姿を見るなり前から抱き付いてきた。


 ちょっと、これは嬉しいかも・・・と頬を緩めそうになったのだが、必死に僕にしがみ付き顔を隠すお嬢様。




 ・・・父上、いったい何をしたのですか!?


ギルフォード視点をどうしようか・・・と迷いながら投稿しました。・・・6歳児ですからねぇ~。

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