64話:回想Ⅲ
【回想Ⅲ】
私は【PP】と言う戦略武装組織に捕らえられます。どうやら、他のメンバーも謳くん以外は、ここにいるようです。逃げ切ったのでしょうか。
閉じ込められてから三日。私は、釈放されます。
「なぜ、急に」
「それは、私が説明しましょう」
私の問いに答えたのは、【PP】の人間ではなく、高齢のスーツの老人でした。
「はじめまして。私、不知火家に仕えております、黒羅万次郎と申します」
「は、はじめまして。……不知火家に、仕えて?」
私は、思わず疑問を口にしてしまった。
「ええ、そうです。朱野宮家と共に、築いてきた不知火家に代々伝えるのが黒羅家の役目でして。こうして、不知火家、次期当主であらせられる、不知火爛様、貴方を迎えに上がりました」
何が起きているのだろう、それがそのときの感想。
「貴方のご両親であらせられる、不知火煉侍様と果宮鈴様のお二方は、互いに、事前に決められていた許婚との婚約を取り消して、結ばれたのです。当然当主であらせられる旦那様は、激怒。果宮家の方も同様に、お二方を勘当することとなりました」
両親の名前も事情もまったく知りませんでした。
「お二方は、お金も、人脈も捨て、二人で暮らしますが、そこで一人の女児を身籠ります。しかし、今のお二方では、育てることも出来ず、途方にくれていると、偶然にも、知り合いが経営している孤児院を見つけます。そこに女児を預けられました。それが、貴方です。不知火爛様。今や、この話を私に託したお二方も身罷り、もう、ご高齢の旦那様のみとなりました。旦那様は、不知火の血を絶やすわけにはいかないと結論付けられ、爛様を家に迎えられることに決めたのです。次期当主として」
次期当主。何度目かのこの言葉に、私は、拒絶反応を起こしています。
「なぜ、私が当主に」
「先ほども言ったように、もう、不知火の血を引く人間は、貴方を除いてこの世にいないのです。ですから、唯一の血縁であらせられる貴方が、次期当主、と言うことです」
血縁。それだけの理由で、私は、そんな重大な役職に決められたのです。
「……分かりました。家に行きます」
「ご了承ありがとうございます。それでは、行きましょう、爛様」
万次郎さん(本人は呼び捨てて構わないとおっしゃっていたが、流石に年上を相手にそんなことはできないのでこの呼び方に)と、車に乗り、屋敷を目指します。
屋敷には、車で一時間ほどかかりましたが、大きなリムジンには、冷蔵庫が積んであり、キンキンに冷えたジュースやお酒などがあったので、喉は渇きませんでしたし、テレビが積んであり、好きに見ることもできました。なので、退屈もしていません。
そして、屋敷。そこは、大きな建物でした。秘密基地のビルのような大きいとは、また、違う大きいです。大きな建物は、西洋建築で、お城、とまでいかないものの、豪華な建物と言っていいものです。ただし、都心から大分はなれ、隣(上)の県に入ってしまっているのですが。
「この不知火家は、古よりこの地で発展を遂げた一族。とても偉大な家なのですよ」
万次郎さんの説明を受けながら、屋敷に踏み入れます。




