表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狂った世界で  作者: 桃姫
蒼空編
42/82

42話:出会わなくてもいい出会い

 俺と透と透の姉、弓月は、地図のマークのところにたどり着いた。

「それで、ここは、誰の家だよ」

 一軒家だった。他人の家が完全に建っている。それも、昔からある感じだし、地図の間違いか?

「兄さんは、きっと、この家の中に侵入しているわね」

「兄ちゃんならやりかねん」

 弓づ……透夜。お前ってやつは。

「とりあえずピンポン押しましょ」

 弓月がそう言った。

 そして、ドアが開く。

「あ~、誰ですか?」

 出てきたのは、茶色っぽい髪を乱雑に切った、ボサボサの髪と細めの眼を持つ爽やかそうな好青年だった。

「あれ、紅くん?」

「あ?勇音に三日月先輩?それと女の子?そして、……誰?つーか何ですか?」

 どうやら、透の姉と弓月は面識があるらしい。

「響。貴方の家?ここ」

「え、いや、俺は居候で、別のやつがここの家主ですよ。お~い、刃奈、客だ。とっとと出ろ。俺は、今から雨月と買出しだ」

 ん?雨月?

「え、姫ちゃんとデート?」

「そんなんじゃないですよ。三日月先輩もからかわないでください」

 今、コイツから、異常な気配が、

(くれない)(ひびき)。【魔眼殺し】の紅響か?」

「……お前は……」

「勘違いすんな、敵じゃねぇよ。お前は黒羽の同僚だしな。ああ、黒羽とは、同学年で同じ生徒会に入ってる」

 俺の言葉に半信半疑ながら、

「七夜の知り合いか。なら、心配はないか」

 俺と紅のやり取りに、三人は、

「えっ、紅くんもなんか特殊なの?」

「響、貴方もそう言った類なのね」

「いや、よく分からないし……」

 と三者三様だった。

「あ~もう、どうでもいいけど、勇音も三日月先輩も誰かに喋らないでくださいよ」

 と、そのとき、俺たちの後から足音がした。どこか既視感のある足音。

「ちょと、響くん、遅いんだけど」

 透通るような声。俺は、振り向いた。そして、戦慄する。なんだろうか、どこか見た感じの風貌。似た雰囲気。そして、何より、狂った「眼」。そう、彼女は、俺と同じ……

「お前、」

「君、」

『誰なんだ(なの)』

 俺と彼女の重なった声。それに寒気を覚える。

「私は、雨月姫夜。貴方は?」

「俺は、雨月謳だ」

 そして、同時に溜息をつく。

「これは、会わなかった、と言うことにしたほうがいいみたい」

「同感だな」

 俺たち二人の感想は、これだった。

「響くん、買い物、行きましょ」

「えっ。ああ」

 紅とあいつはその場を去った。あ~あ、嫌なもん見ちまった。

「なんだったの?」

「蒸し返すな。思い出したくないんだから」

 そして、再び、家の玄関が開く。

「誰っすか~。私、自宅警備のほうが忙しいんですが?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ