交差する頂②
訓練場。
⸻
アルフォンスの剣。
⸻
黄金の炎。
⸻
静かに燃えている。
⸻
⸻
「焔牙……」
⸻
ガイウスが小さく笑う。
⸻
⸻
「面白い」
⸻
⸻
剣を構え直す。
⸻
⸻
「一年でそこまで辿り着くとはな」
⸻
⸻
アルフォンスは何も答えない。
⸻
⸻
視線は剣。
⸻
⸻
相手の肩。
⸻
⸻
足。
⸻
⸻
呼吸。
⸻
⸻
全てを見ていた。
⸻
⸻
「来い」
⸻
⸻
その一言で十分だった。
⸻
⸻
ガイウスが踏み込む。
⸻
⸻
爆発。
⸻
⸻
地面が砕ける。
⸻
⸻
次の瞬間。
⸻
二人の剣がぶつかった。
⸻
⸻
ギィィィン!!
⸻
⸻
衝撃波。
⸻
⸻
観客席まで風が届く。
⸻
⸻
「すげぇ!」
⸻
⸻
「また始まった!」
⸻
⸻
マルクが興奮して立ち上がる。
⸻
⸻
ダリウスは腕を組んだまま見つめる。
⸻
⸻
速い。
⸻
⸻
だが。
⸻
ガイウスがわずかに上。
⸻
⸻
経験。
⸻
⸻
その差だった。
⸻
⸻
アルフォンスの炎が剣を包む。
⸻
⸻
一閃。
⸻
⸻
横薙ぎ。
⸻
⸻
ガイウスは紙一重でかわす。
⸻
⸻
「いい剣だ」
⸻
⸻
「だが素直すぎる」
⸻
⸻
反撃。
⸻
⸻
鋭い突き。
⸻
⸻
アルフォンスは身体を捻る。
⸻
⸻
避けきれない。
⸻
⸻
制服が裂ける。
⸻
⸻
肩に浅い傷。
⸻
⸻
観客席がざわつく。
⸻
⸻
アルフォンスが傷を負った。
⸻
⸻
珍しい。
⸻
⸻
セシリアが小さく息を吐く。
⸻
⸻
「やっぱり強いわね」
⸻
⸻
エルナも黙って試合を見ていた。
⸻
⸻
一切表情は変わらない。
⸻
⸻
その頃。
⸻
王立中央学院席。
⸻
⸻
アイリスは頬杖をついていた。
⸻
⸻
「いい試合」
⸻
⸻
「昨日までで一番好き」
⸻
⸻
レオニスも否定しない。
⸻
⸻
「派手さだけじゃない」
⸻
⸻
「技術が高い」
⸻
⸻
訓練場。
⸻
⸻
ガイウスが笑う。
⸻
⸻
「炎に頼りすぎるな」
⸻
⸻
「お前の武器はそこじゃない」
⸻
⸻
アルフォンスの眉が動く。
⸻
⸻
その言葉。
⸻
⸻
どこか。
⸻
⸻
教師のようだった。
⸻
⸻
ガイウスは剣を構えたまま続ける。
⸻
⸻
「首席なら分かるはずだ」
⸻
⸻
「魔法は剣を強くするためのものじゃない」
⸻
⸻
「剣が魔法を強くするんだ」
⸻
⸻
一瞬。
⸻
⸻
アルフォンスの動きが止まる。
⸻
⸻
その隙。
⸻
⸻
ガイウスが踏み込む。
⸻
⸻
速い。
⸻
⸻
一歩。
⸻
⸻
二歩。
⸻
⸻
三歩。
⸻
⸻
懐へ。
⸻
⸻
「しまっ……!」
⸻
⸻
アルフォンスが剣を引く。
⸻
⸻
間に合わない。
⸻
⸻
ガイウスの柄が、
アルフォンスの胸を捉えた。
⸻
⸻
ドンッ!!
⸻
⸻
衝撃。
⸻
⸻
アルフォンスが数メートル吹き飛ぶ。
⸻
⸻
観客席がどよめく。
⸻
⸻
「押された!」
⸻
⸻
「アルフォンス!」
⸻
⸻
土煙。
⸻
⸻
静寂。
⸻
⸻
やがて。
⸻
煙の中から、
アルフォンスが立ち上がる。
⸻
⸻
制服は土で汚れ、
肩からは血が流れていた。
⸻
⸻
それでも。
⸻
剣は握ったまま。
⸻
⸻
ガイウスが笑う。
⸻
⸻
「その目だ」
⸻
⸻
「ようやく本気になったか」
⸻
⸻
アルフォンスは何も言わない。
⸻
⸻
静かに剣を構える。
⸻
⸻
黄金の炎が、
先ほどよりもさらに大きく燃え上がる。
⸻
⸻
訓練場の空気が変わった。
⸻
⸻
ダリウスが小さく笑う。
⸻
⸻
「やっとだな」
⸻
⸻
誰もが感じていた。
⸻
⸻
ここからが、
本当の勝負だと。




