交差する頂③
訓練場。
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静寂。
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黄金の炎が揺れる。
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アルフォンスは目を閉じた。
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一度だけ。
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深く息を吸う。
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そして。
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ゆっくりと吐いた。
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ガイウスは笑う。
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「そうだ」
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「焦るな」
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「強い奴ほど、一度立ち止まる」
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アルフォンスは何も答えない。
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ただ。
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剣先を少し下げた。
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観客席がざわつく。
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「構えを解いた?」
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「何してる?」
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マルクだけが慌てる。
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「アルフォンス!!」
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しかし。
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ダリウスは違った。
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「違う」
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「あいつ……」
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「合わせる気だ」
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次の瞬間。
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ガイウスが踏み込む。
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速い。
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今までで最速。
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一直線。
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アルフォンスへ。
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だが。
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アルフォンスは動かない。
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あと一歩。
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あと半歩。
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その瞬間。
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キィィィン!!
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剣がぶつかる。
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観客席総立ち。
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「止めた!!」
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「見えたのか!?」
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ガイウスの目が細くなる。
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「なるほど」
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「それでいい」
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剣が弾かれる。
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アルフォンスが回転。
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その勢いのまま斬り返す。
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炎が弧を描く。
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ガイウスが受ける。
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しかし。
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一歩下がった。
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初めて。
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会場がどよめく。
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押した。
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アルフォンスが。
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ガイウスは笑う。
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「面白い」
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「やっと剣で勝負し始めた」
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再び激突。
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剣。
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剣。
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剣。
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一撃ごとに火花が散る。
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魔法は使わない。
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純粋な剣技。
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アイリスが身を乗り出す。
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「これ好き」
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レオニスも頷く。
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「魔法戦じゃない」
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「剣士同士の勝負だ」
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観客席。
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ダリウスは拳を握る。
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悔しい。
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でも。
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目が離せない。
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アルフォンスが、
また一歩強くなっていく。
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その時だった。
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ガイウスが笑みを消した。
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「最後だ」
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低い声。
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魔力が剣へ集まる。
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だが。
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炎ではない。
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雷でもない。
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風でもない。
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ただ。
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剣だけ。
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魔力で極限まで強化された一太刀。
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アルフォンスも理解する。
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来る。
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逃げれば負け。
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受けても負け。
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なら。
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前へ。
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一歩踏み込む。
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ガイウスの目が見開かれた。
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「そう来るか!」
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二人が同時に剣を振る。
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轟ッ!!!
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訓練場全体に衝撃波が走る。
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砂煙。
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誰も見えない。
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静寂。
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数秒。
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やがて。
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煙が晴れていく。
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二人は背中合わせに立っていた。
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剣を握ったまま。
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どちらも動かない。
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観客席全員が息を止める。
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勝ったのは。
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どちらだ。
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ガイウスが小さく笑った。
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「……見事だ」
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その言葉と同時に。
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ガイウスの剣が、
静かに地面へ落ちた。




