氷華の魔女②
訓練場。
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巨大な魔法陣。
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クラウスの足元から広がっていく。
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風。
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魔力。
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空気が震える。
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観客席が静まり返る。
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誰もが感じていた。
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強い。
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間違いなく。
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クラウスが剣を構える。
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「ここからだ」
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初めて。
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笑った。
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セシリアも表情を変えた。
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少しだけ。
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本当に少しだけ。
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楽しそうに。
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「そう」
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次の瞬間。
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風が爆発した。
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轟ッ!!
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クラウスの姿が消える。
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速い。
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先程までとは別次元。
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観客席がどよめく。
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「見えねぇ!」
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「速すぎる!」
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アルフォンスも目を細める。
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ダリウスも驚いていた。
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先程まで本気じゃなかった。
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そういうことか。
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剣閃。
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一撃。
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二撃。
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三撃。
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暴風の連撃。
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氷壁が砕ける。
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氷盾が切り裂かれる。
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初めて。
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セシリアが後退した。
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観客席が沸く。
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「押してる!」
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「クラウス押してるぞ!」
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歓声。
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だが。
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アイリスは首を傾げた。
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「変」
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レオニスが聞く。
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「何がだ?」
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アイリスはセシリアを見る。
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後退している。
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防御している。
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押されている。
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そう見える。
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だが。
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焦りがない。
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まるで。
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相手を観察している。
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その時だった。
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クラウスが踏み込む。
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最大速度。
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最大威力。
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渾身の一撃。
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「終わりだ!!」
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剣が振り下ろされる。
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観客席総立ち。
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そして。
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セシリアが初めて手を前へ出した。
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パキッ。
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小さな音。
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それだけ。
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次の瞬間。
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訓練場全体が白く染まった。
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氷。
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氷。
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氷。
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地面。
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空気。
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魔力。
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全てが凍る。
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クラウスの剣が止まる。
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腕が止まる。
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足が止まる。
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完全凍結。
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会場が沈黙した。
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誰も理解できない。
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今。
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何が起きた。
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クラウスも固まっていた。
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動けない。
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指一本。
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動かない。
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そして。
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セシリアが歩く。
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ゆっくり。
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本当にゆっくり。
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凍ったクラウスの前へ。
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そして。
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額へ指を当てた。
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「終わり」
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パリン。
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氷が砕ける。
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クラウスが膝をついた。
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戦闘不能。
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静寂。
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数秒。
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誰も声を出せない。
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そして。
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バルトが宣言した。
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「勝者」
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「セシリア・アルバート!!」
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歓声。
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今までで最大。
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訓練場が揺れる。
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マルクが叫ぶ。
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「強ぇぇぇ!!」
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ダリウスも思わず笑う。
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「相変わらずだな」
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アルフォンスも苦笑した。
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結局。
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こうなる。
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セシリア。
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アルフォンス。
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学園の二枚看板。
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そして。
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王立中央学院席。
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アイリスが立ち上がった。
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楽しそうに。
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本当に楽しそうに。
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「いいね」
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「すごくいい」
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レオニスが呆れる。
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「戦いたそうだな」
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「うん」
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即答。
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アイリスの視線。
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その先にいるのは。
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セシリアだった。
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交流戦。
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まだ始まってもいない。
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だが。
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王立中央学院の天才は、
既に一人の相手を見つけていた。




