氷華の魔女①
「第十試合!」
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「セシリア・アルバート!」
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歓声。
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大歓声。
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ダリウス戦の熱気がまだ残っている。
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その中を。
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セシリアが歩く。
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ゆっくり。
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落ち着いた足取り。
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「セシリア先輩!」
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「頑張れー!」
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「優勝候補!」
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声援。
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セシリアは軽く手を振る。
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相変わらず余裕がある。
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その姿に。
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観客席の男子達が沸く。
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マルクが呟く。
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「人気すげぇな」
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ダリウスは興味なさそうだった。
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「実力もある」
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アルフォンスが答える。
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それが全てだった。
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そして。
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対戦相手。
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クラウス・ベルン。
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二年生。
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剣術特化。
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実力者。
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交流戦代表候補。
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観客席もざわつく。
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「クラウスか」
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「厳しい相手だぞ」
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「セシリアでも楽じゃない」
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その評価に嘘はない。
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クラウスは強い。
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純粋な剣技なら、
二年生上位。
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そして。
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試合開始。
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「始め!」
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瞬間。
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クラウスが消えた。
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速い。
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観客席がどよめく。
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剣閃。
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一直線。
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セシリアの首を狙う。
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だが。
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セシリアは動かない。
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そのまま。
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指を鳴らす。
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パキン。
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氷。
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地面から氷柱が出現する。
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クラウスが飛び退く。
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「っ!」
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速い。
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予備動作がない。
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観客席も驚く。
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セシリアは笑っていた。
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「いい動きね」
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余裕。
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完全な余裕。
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クラウスは眉をひそめる。
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気に入らない。
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試されている。
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そう感じた。
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次の瞬間。
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連撃。
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剣。
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剣。
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剣。
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暴風のような斬撃。
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観客席が息を呑む。
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しかし。
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届かない。
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氷壁。
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氷盾。
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氷の花弁。
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全てが防ぐ。
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そして。
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セシリアは一歩も動いていない。
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静寂。
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観客席が気付き始める。
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強い。
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思っていたより。
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ずっと。
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王立中央学院席。
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アイリスが目を細める。
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「へぇ」
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初めて興味を示した。
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レオニスも頷く。
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「魔力制御が綺麗だ」
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「かなり」
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アイリスが笑う。
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「好きかも」
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観客席。
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アルフォンスも見ていた。
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ダリウスも。
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二人とも知っている。
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セシリアは。
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まだ本気じゃない。
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その時。
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クラウスが後方へ飛ぶ。
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距離を取る。
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そして。
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剣を構えた。
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空気が変わる。
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観客席が静まる。
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切り札。
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来る。
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セシリアも笑みを消した。
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初めて。
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少しだけ。
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真面目な目になる。
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「ようやく?」
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クラウスの魔力が膨れ上がる。
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訓練場を風が包む。
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そして。
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巨大な魔法陣が展開された。
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観客席が総立ちになる。
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「おい……」
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「マジかよ……」
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二年生代表候補。
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その本気が。
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ついに姿を現そうとしていた。




