雷鳴の先③
蒼雷。
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水龍。
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激突。
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轟音。
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訓練場全体が揺れた。
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青白い雷光。
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巨大な水流。
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互いが互いを喰らい合う。
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観客席。
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誰も声を出せない。
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圧倒されていた。
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一年生同士の戦いではない。
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教師達ですら目を細める。
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「凄いな……」
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誰かが呟く。
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その言葉に反論する者はいない。
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そして。
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均衡は長く続かなかった。
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蒼雷が押す。
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少しずつ。
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確実に。
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水龍が削られる。
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リカルドが歯を食いしばる。
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魔力を注ぎ込む。
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だが。
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足りない。
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押し返せない。
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「くっ……!」
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その時。
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ダリウスが前へ出た。
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蒼雷を維持したまま。
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一歩。
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また一歩。
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観客席がどよめく。
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普通はあり得ない。
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大魔法の制御中だ。
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動けるはずがない。
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しかし。
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ダリウスは止まらない。
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そして。
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右拳へ雷を纏う。
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アルフォンスが立ち上がった。
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「まさか!」
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セシリアも気付く。
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蒼雷だけじゃない。
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近接戦まで繋げる気だ。
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次の瞬間。
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ダリウスが走った。
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雷速。
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リカルドの視界から消える。
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「っ!?」
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気付いた時には遅い。
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目の前。
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ダリウス。
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拳。
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雷。
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轟ッ!!
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直撃。
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衝撃波。
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リカルドが吹き飛ぶ。
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同時に。
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水龍が崩壊した。
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静寂。
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数秒。
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誰も動かない。
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そして。
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リカルドが仰向けに倒れた。
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動かない。
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戦闘不能。
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バルトが前へ出る。
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数秒確認。
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そして。
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右手を上げた。
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「勝者」
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「ダリウス・ヴァルハルト!!」
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大歓声。
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訓練場が揺れる。
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マルクが飛び跳ねる。
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「うおおおおお!!」
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「やったぁぁぁ!!」
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ダリウスは肩で息をしていた。
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疲労。
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消耗。
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大きい。
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だが。
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笑っていた。
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楽しかった。
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本当に。
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リカルドも起き上がる。
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悔しそうに。
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しかし。
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笑っていた。
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「負けた」
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潔い一言。
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ダリウスが手を差し出す。
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リカルドが握る。
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歓声がさらに大きくなる。
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観客席。
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アイリスが楽しそうに笑う。
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「いいね」
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レオニスも頷く。
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「かなり強い」
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「交流戦が面白くなりそう」
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一方。
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アルフォンス。
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静かだった。
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視線はダリウス。
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確実に成長している。
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前より近い。
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だが。
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まだ負ける気はしない。
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だからこそ。
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少しだけ嬉しかった。
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追ってくる奴がいる。
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それは幸せなことだ。
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そして。
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ダリウスが観客席へ戻る。
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マルクが抱きつこうとして吹き飛ばされる。
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「離れろ!」
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「いてぇ!」
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周囲が笑う。
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その時。
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バルトが次の対戦表を見る。
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少しだけ眉が動く。
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そして。
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次の試合を告げた。
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「第十試合」
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「セシリア・アルバート」
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歓声。
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続いて。
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対戦相手の名が呼ばれる。
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「クラウス・ベルン」
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会場がざわつく。
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二年生代表候補。
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剣術特化。
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優勝候補の一人。
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セシリアが静かに立ち上がった。
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その表情には、
一切の緊張がなかった。




