雷鳴の先②
訓練場。
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蒸気。
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白く染まる視界。
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誰も動かない。
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いや。
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一人だけ動いていた。
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リカルド。
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水魔法。
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視界妨害。
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索敵。
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全て計算通り。
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蒼雷を撃たせない。
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近付かせない。
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長期戦へ持ち込む。
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それが勝ち筋。
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だが。
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リカルドは気付いていた。
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違和感。
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昨日のダリウスと違う。
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焦っていない。
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むしろ。
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楽しんでいる。
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その時。
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蒸気の中から声。
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「なるほど」
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ダリウスだった。
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静かな声。
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「面白いな」
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次の瞬間。
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雷鳴。
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轟音。
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蒸気が吹き飛ぶ。
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観客席が立ち上がる。
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ダリウスがいた。
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中央。
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その周囲に。
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無数の雷球。
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十。
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二十。
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三十。
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雷の玉が浮いている。
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生徒達が息を呑む。
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「何だあれ……」
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アルフォンスの目が細くなる。
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見たことがない。
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新技。
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ダリウス自身が作った魔法。
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リカルドも表情を変えた。
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危険。
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本能が叫ぶ。
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その瞬間。
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雷球が動く。
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一斉射出。
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轟轟轟轟轟轟轟!!
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雷の雨。
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水壁が砕ける。
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防御が吹き飛ぶ。
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リカルドが回避する。
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だが。
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一本。
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二本。
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三本。
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雷球は追ってくる。
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会場騒然。
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「追尾!?」
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「嘘だろ!?」
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教師達も驚く。
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一年生が使う魔法ではない。
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リカルドは必死だった。
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水流。
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盾。
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槍。
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全てで迎撃する。
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しかし。
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防ぎ切れない。
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ダリウスが前へ出る。
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雷を纏う。
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踏み込む。
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観客席が沸く。
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今までのダリウスは違った。
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強力な魔法。
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圧倒的火力。
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そんな印象。
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だが今は違う。
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戦っている。
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考えている。
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成長している。
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アルフォンスが小さく笑う。
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「追い付いてきたな」
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本音だった。
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ずっと背中を追ってきた男。
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その差が。
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少しずつ縮まっている。
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リカルドも諦めない。
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最後の魔力。
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巨大な水龍を生み出す。
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咆哮。
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訓練場全体を揺らす。
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観客席総立ち。
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「すげぇ!!」
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「勝負だ!!」
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ダリウスは笑う。
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心から。
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楽しい。
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久しぶりだった。
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そして。
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右手を掲げる。
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蒼雷。
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昨日より安定している。
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昨日より鋭い。
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観客席が静まる。
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全員が理解した。
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決まる。
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この一撃で。
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ダリウスの視線。
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水龍。
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リカルド。
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その先。
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アルフォンス。
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届く。
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まだ。
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届かない。
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でも。
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いつか。
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必ず。
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「蒼雷」
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青白い雷光が訓練場を染めた。
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そして。
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激突。




