雷鳴の先①
「次!」
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「ダリウス・ヴァルハルト!」
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歓声。
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大歓声。
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昨日の蒼雷。
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あの一撃は学園中の話題だった。
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「雷帝候補!」
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「見せろー!」
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「蒼雷だ!」
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ダリウスは眉をひそめる。
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少しだけ。
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気に入らない。
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蒼雷。
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確かに強い。
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だが。
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まだ完成していない。
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昨日は勝った。
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しかし。
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アルフォンスには届いていない。
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自分でも分かっている。
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だから。
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満足できない。
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対戦相手が現れる。
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二年生。
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リカルド・フェイン。
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水魔法使い。
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代表候補。
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実力者。
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観客席。
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セシリアが小さく呟く。
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「嫌な相手ね」
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アルフォンスも頷く。
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水。
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雷。
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相性だけ見れば有利。
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しかし。
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実際は違う。
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水魔法使いは防御が硬い。
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長期戦になる。
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試合開始。
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瞬間。
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水流。
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巨大な水の壁が現れる。
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さらに。
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槍。
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剣。
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無数の水刃。
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観客席がどよめく。
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リカルドは慎重だった。
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昨日の試合を見ている。
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蒼雷を警戒している。
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だから近付かない。
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距離を取る。
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削る。
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完全な対策。
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ダリウスが舌打ちする。
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面白くない。
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真正面から来い。
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そんな顔。
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だが。
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リカルドは乗らない。
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水刃。
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水槍。
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連続攻撃。
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ダリウスは雷撃で迎撃する。
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爆発。
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蒸気。
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視界が白く染まる。
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そして。
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その瞬間だった。
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水中から槍が飛び出す。
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「なっ!?」
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ダリウスが跳ぶ。
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回避。
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しかし。
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頬が切れる。
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血。
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観客席が静まる。
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初めてだった。
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ダリウスが傷を負う。
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マルクが立ち上がる。
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「ダリウス!!」
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リカルドは笑わない。
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冷静。
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徹底的に。
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蒼雷を撃たせない。
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そのためだけの戦術。
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アルフォンスの表情が変わる。
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上手い。
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かなり。
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もし自分でも苦戦する。
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そのレベル。
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観客席。
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アイリスも目を細める。
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「いいね」
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レオニスが頷く。
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「勝つための戦い方だ」
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華はない。
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だが強い。
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その頃。
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ダリウスは笑っていた。
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傷を拭う。
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そして。
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少しだけ。
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本当に少しだけ。
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楽しそうだった。
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「いい」
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雷が走る。
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「そういうの」
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バチバチと音を立てる。
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昨日とは違う。
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蒼雷ではない。
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もっと純粋な雷。
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もっと荒々しい雷。
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観客席がざわつく。
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アルフォンスも気付く。
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「おい」
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セシリアも目を見開く。
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昨日とは違う。
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ダリウスが。
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本気で楽しみ始めていた。
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そして。
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訓練場中央。
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雷鳴が響く。
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試合は、
ここからが本番だった。




