雷帝の証明②
青白い閃光。
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訓練場を駆け抜ける。
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轟音。
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遅れて衝撃が襲う。
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観客席の生徒達が思わず目を覆った。
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「なっ……!?」
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誰も見えなかった。
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何が起きたのか。
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煙。
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砂埃。
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そして。
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土巨人。
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崩壊。
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巨大な身体が音を立てて崩れ落ちる。
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観客席が静まり返った。
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ヴィクトルも固まる。
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自分の切り札。
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最大魔法。
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それが一撃。
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たった一撃で消えた。
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その先。
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ダリウスが立っている。
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肩で息をしていた。
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だが。
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目は死んでいない。
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むしろ燃えていた。
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「来い」
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短い言葉。
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挑発ではない。
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本気。
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ヴィクトルは歯を食いしばる。
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悔しい。
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だが。
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諦められない。
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代表選抜。
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ここで負ければ終わる。
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「うおおおおお!!」
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突撃。
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土魔法。
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地面が裂ける。
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巨大な岩槍。
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さらに。
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石壁。
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連続攻撃。
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今までの全力。
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観客席が沸く。
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「すげぇ!」
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「まだやれるのか!」
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教師達も頷く。
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実力は本物。
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だが。
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相手が悪い。
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ダリウスは前へ出た。
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避けない。
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砕く。
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雷撃。
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岩槍が砕ける。
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さらに前へ。
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壁を突破。
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観客席が立ち上がる。
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「押してる!」
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「ダリウスが押してる!」
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マルクは大興奮だった。
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「やれぇぇぇ!!」
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その時。
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王立中央学院席。
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アイリスが腕を組む。
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「強いね」
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レオニスも認める。
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「去年より明らかに強い」
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アイリスが笑う。
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「交流戦楽しみになった」
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だが。
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次の言葉は小さい。
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「まだ届かないけど」
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レオニスも否定しなかった。
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その頃。
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観客席後方。
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レオンは本を閉じていた。
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珍しく。
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試合を見ている。
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視線はダリウス。
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数秒。
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そして。
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ほんの僅かに頷いた。
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その瞬間。
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ヴィクトルが最後の賭けに出る。
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全魔力解放。
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巨大魔法陣。
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地面全体が揺れる。
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「終わりだ!!」
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訓練場中央。
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巨大な石柱が出現する。
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まるで塔。
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圧倒的質量。
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一年生達が息を呑む。
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だが。
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ダリウスは笑った。
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「悪くない」
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初めて。
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試合中に笑った。
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そして。
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右腕を掲げる。
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蒼雷。
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先程より濃い。
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先程より速い。
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先程より危険。
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アルフォンスが立ち上がる。
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「おい……」
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嫌な予感。
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バルトも目を細める。
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「やりすぎるなよ」
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しかし。
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ダリウスには聞こえていない。
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蒼い雷が天へ昇る。
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空。
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雲。
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その全てが蒼く染まる。
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そして。
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ダリウスが叫んだ。
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「落ちろォォォ!!」
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天雷。
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蒼い雷柱が空から降り注いだ。
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訓練場全体を飲み込むほどの一撃。
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アイリスの笑みが深くなる。
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レオニスも目を細める。
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そして。
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最上段の屋上。
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寝ていたカイルが、
珍しく目を開いた。
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「ん?」
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蒼い雷を見る。
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数秒。
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そして。
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「おー」
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少しだけ感心した。
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それは。
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ダリウスにとって、
最高の評価だったかもしれない。




