雷帝の証明③
蒼雷。
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天を裂く一撃。
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轟音。
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爆風。
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訓練場全体が揺れた。
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観客席の防御結界が軋む。
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「うおおおっ!?」
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一年生達が悲鳴を上げる。
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教師達が立ち上がる。
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バルトも思わず目を見開いた。
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想定以上。
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完全に。
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想定以上だった。
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蒼い雷柱が地面へ落ちる。
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直撃。
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ヴィクトルの巨大石柱が粉砕される。
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砕ける。
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消える。
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崩壊する。
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ただの破壊ではない。
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圧倒。
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誰が見ても勝敗は決していた。
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やがて。
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煙が立ち込める。
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静寂。
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誰も声を出せない。
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数秒。
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そして。
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煙が晴れる。
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中央。
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ヴィクトルは膝をついていた。
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全身傷だらけ。
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魔力も尽きている。
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それでも。
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倒れていない。
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ダリウスを見る。
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悔しそうに。
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「……化け物かよ」
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ダリウスは肩で息をしていた。
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余裕はない。
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蒼雷。
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まだ完成したばかり。
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消耗も大きい。
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だが。
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負ける気はしなかった。
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「立てるか」
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ヴィクトルが笑う。
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「無理だ」
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正直な返答だった。
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会場が笑う。
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その瞬間。
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バルトが手を上げた。
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「勝者!」
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「ダリウス・ヴァルハルト!!」
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大歓声。
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観客席が揺れる。
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マルクは飛び跳ねていた。
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「うおおおおお!!」
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「やったぁぁぁ!!」
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ダリウスは苦笑する。
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少しだけ。
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ほんの少しだけ。
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嬉しかった。
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その頃。
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王立中央学院席。
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アイリスは拍手していた。
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レオニスも頷く。
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「強いな」
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「うん」
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アイリスが笑う。
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「でもまだ若い」
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「だな」
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二人とも認めていた。
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だが。
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まだ届かない。
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それもまた事実。
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その時。
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観客席の生徒が叫ぶ。
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「次誰だ!?」
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「アルフォンスか!?」
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「エルナ先輩だろ!」
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歓声が広がる。
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だが。
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バルトは首を振った。
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「次の試合は」
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名簿を確認する。
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一瞬。
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眉が動く。
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観客席後方。
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レオンは本を開こうとしていた。
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そして。
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バルトが名前を呼ぶ。
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「レオン・クロイツ」
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会場が静まる。
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「前へ出ろ」
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沈黙。
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数秒。
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そして。
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観客席がざわつき始める。
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「は?」
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「あいつ?」
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「代表選抜?」
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マルクが吹き出した。
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「冗談だろ」
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ダリウスも眉をひそめる。
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アルフォンスだけは何も言わない。
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その中で。
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レオンは本を閉じた。
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ため息。
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小さく。
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本当に小さく。
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ため息を吐いた。
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まるで。
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面倒事が来たように。
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そして。
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ゆっくり立ち上がる。
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アイリスの瞳が細くなる。
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レオニスも見る。
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初めて。
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レオンの試合。
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そして。
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屋上。
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寝転がっていたカイルが笑った。
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「始まるか」
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リヒトが振り返る。
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「何がです?」
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カイルは答えない。
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ただ。
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少しだけ楽しそうだった。




