学園最強
翌日。
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王立中央学院の視察は続いていた。
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学園中が落ち着かない。
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当然だった。
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王国最強学園。
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しかも。
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有名人だらけ。
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訓練場。
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アルフォンスが剣を振る。
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その様子を。
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アイリスとレオニスが見ていた。
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炎。
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剣技。
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動き。
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レオニスが頷く。
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「強いな」
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アイリスも認める。
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「強い」
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「でも勝てる」
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即答だった。
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アルフォンスの眉が動く。
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挑発ではない。
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本音だ。
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だからこそ腹が立つ。
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その頃。
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ダリウスも訓練していた。
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雷撃。
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轟音。
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見学していた生徒達が歓声を上げる。
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アイリスはそれも見る。
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「こっちも強い」
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レオニスが笑う。
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「交流戦は楽しめそうだな」
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だが。
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二人とも。
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どこか余裕があった。
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王立中央学院。
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その自信。
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その時だった。
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訓練場入口。
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「いたいた」
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気の抜けた声。
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全員が振り向く。
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小柄な男。
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欠伸。
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寝癖。
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制服も少し乱れている。
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カイル・ヴァレン。
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学園生徒達の空気が変わる。
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「カイル先輩」
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「珍しい」
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「起きてる」
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リヒトが後ろから歩いてくる。
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「探しましたよ」
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「なんで?」
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「代表選抜の会議です」
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「あ」
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忘れてた。
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教師達が頭を抱える。
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アイリスはカイルを見る。
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数秒。
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レオニスも見る。
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そして。
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少しだけ表情が変わった。
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空気。
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何かがおかしい。
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カイルは何もしていない。
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ただ立っているだけ。
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それなのに。
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妙な圧迫感がある。
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アイリスが呟く。
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「へぇ」
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初めて。
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興味を持った。
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その時。
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観客席から声。
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「カイル先輩!」
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一年生だった。
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「今年は優勝してくださいよ!」
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周囲が笑う。
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すると。
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カイルは少し考える。
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そして。
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「無理じゃない?」
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全員
「は?」
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カイルは真面目な顔で言う。
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「めんどくさいし」
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訓練場爆笑。
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教師達絶望。
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リヒト頭抱える。
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アイリスは吹き出した。
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レオニスも笑う。
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だが。
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その直後。
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アイリスが何気なく聞く。
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「あなた有名よね」
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「ランキング四位」
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カイル
「そうだっけ?」
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「興味ない」
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また周囲が笑う。
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しかし。
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アイリスは笑っていなかった。
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ランキング四位。
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去年棄権。
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今年も棄権の噂。
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それなのに。
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王立中央学院では有名だった。
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理由は一つ。
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負けたことがない。
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アイリスが少しだけ目を細める。
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「今度やろうよ」
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カイル
「やだ」
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即答。
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訓練場再び爆笑。
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アイリスですら固まる。
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初めてだった。
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こんな返答。
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だが。
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カイルは本気だった。
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「眠いし」
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リヒトが謝る。
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「すみません」
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「慣れてください」
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アイリスは笑う。
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面白い。
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本当に。
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だが。
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その時。
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カイルの視線が一瞬だけ動いた。
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校舎の影。
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本を読んでいるレオン。
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数秒。
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誰にも気付かれない。
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カイルだけが小さく呟く。
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「そっちは来ないのにね」
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誰にも聞こえなかった。




