消された戦い
轟音。
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学園警報。
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赤い光が校舎を照らしていた。
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地下崩落。
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原因不明。
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教師たちが走る。
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生徒たちは避難。
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学園中が混乱していた。
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地下通路。
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バルトが先頭を走る。
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「急げ!」
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後ろには教師たち。
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崩壊した封印区画へ向かう。
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その頃。
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地下最深部。
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レオンは一人だった。
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アーヴェルはいない。
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既に逃走した。
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だが。
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レオンの視線は別の場所に向いていた。
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闇。
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封印の奥。
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先ほど現れた存在。
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完全には戻っていない。
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しかし。
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確実に近付いている。
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レオンは静かに息を吐く。
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右腕。
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血が流れていた。
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先ほどの戦い。
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アーヴェルとの戦闘で受けた傷。
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深い。
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だが。
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それ以上に。
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古代魔法の消耗が大きい。
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「……まだか」
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小さな呟き。
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その時。
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地下通路から足音。
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バルトたちが来る。
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レオンは目を閉じた。
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そして。
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銀色の魔法陣。
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一瞬だけ輝く。
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崩壊した広間。
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床。
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壁。
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天井。
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全てが書き換わる。
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戦闘の痕跡。
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魔法の痕跡。
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存在の痕跡。
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消える。
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数秒後。
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バルトたちが到着した。
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「これは……」
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誰も言葉を失う。
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広間は半壊。
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だが。
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そこにいるのは。
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エルナ。
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そして。
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レオン。
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それだけだった。
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アーヴェルはいない。
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古代魔法の痕跡もない。
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何もない。
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バルトが叫ぶ。
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「何があった!」
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エルナは言葉に詰まる。
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見た。
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確かに見た。
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だが。
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説明できない。
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説明したところで、
誰も信じない。
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レオンは無言。
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そして。
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「崩れた」
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それだけ言う。
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エルナが睨む。
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嘘。
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だが。
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証明できない。
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その頃。
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訓練場。
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避難していた生徒たち。
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アルフォンス。
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ダリウス。
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セシリア。
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全員が地下を見ていた。
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「何が起きてる」
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誰も答えられない。
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その時。
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最上段。
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カイルが立ち上がる。
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珍しく。
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笑っていない。
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「先輩」
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リヒトが振り返る。
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「どうしました」
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カイルは地下の方向を見る。
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数秒。
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そして。
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「今」
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「何かいたよね」
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リヒトの表情が変わる。
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「何か?」
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カイルは少し考える。
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そして。
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首を傾げる。
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「分かんない」
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「でも」
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空を見上げる。
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「嫌な感じがする」
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その言葉に、
リヒトも地下を見る。
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学園最強の直感。
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それは今まで外れたことがなかった。
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その夜。
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生徒たちが眠る頃。
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学園から遠く離れた山中。
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アーヴェル・グランツは歩いていた。
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傷だらけ。
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右腕は動かない。
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胸には深い傷。
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誰が見ても瀕死。
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アーヴェルは笑う。
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「なるほど」
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「まだ世界は終わらんか」
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そして。
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遠くの学園を見る。
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「あの継承者がいる限りはな」
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そのまま闇へ消えていった。
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誰も知らない。
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学園最悪の脅威は生きている。
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そして。
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レオンだけが知っていた。
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アーヴェルが、
次に現れる時こそ本番だということを。




