最下層
地下封印区画。
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崩壊。
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轟音。
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天井が砕ける。
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壁が割れる。
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数百年間保たれていた封印施設が限界を迎えていた。
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レオンはエルナの腕を掴んだまま、
上層通路へ放り投げる。
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「レオン!」
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エルナが叫ぶ。
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だが。
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レオンは振り返らない。
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視線は下。
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崩れた封印陣の奥。
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暗闇。
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何も見えない。
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しかし。
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そこに何かいる。
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確実に。
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アーヴェルも黙っていた。
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初めて。
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この男が笑っていない。
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「なるほどな」
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低い声。
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「私ではなかった」
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レオンは答えない。
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アーヴェルは続ける。
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「だから第七封印だったのか」
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「だから私だったのか」
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意味不明な言葉。
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しかし。
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レオンには意味が分かるらしい。
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表情が険しくなる。
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その時。
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闇の底。
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ドクン。
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心臓の鼓動のような音。
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地下全体が震える。
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ドクン。
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また鳴る。
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そして。
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闇の中に光が灯った。
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目。
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一つではない。
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二つ。
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四つ。
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八つ。
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無数。
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エルナの血の気が引く。
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本能が叫んでいる。
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逃げろ。
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今すぐ。
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アーヴェルが息を吐く。
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「世界は終わらんか」
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笑う。
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どこか安心したように。
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「まだ早かったらしい」
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その瞬間。
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闇が動く。
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巨大な腕。
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いや。
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腕ですらない。
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形が定まらない。
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見た瞬間に認識が揺らぐ。
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存在そのものが異常。
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レオンの周囲に銀色の魔法陣が展開される。
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今までで最大。
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何重にも。
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何十層にも。
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エルナは言葉を失う。
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こんな魔法。
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見たことがない。
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学園の教師でも。
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カイルでも。
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リヒトでも。
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絶対に使えない。
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レオンが静かに呟く。
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「まだ出るな」
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その瞬間。
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銀色の鎖が闇へ突き刺さる。
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轟音。
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地下が吹き飛ぶ。
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アーヴェルが目を見開く。
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「馬鹿な……」
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初めて驚愕した。
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そして。
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闇の奥から声が聞こえた。
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男でもない。
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女でもない。
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人間の声ではない。
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『……継承者』
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レオンの瞳が細くなる。
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『まだ……いたのか』
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エルナは理解できない。
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継承者?
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誰の。
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何の。
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次の瞬間。
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レオンの魔法陣が爆発的に輝いた。
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「黙れ」
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初めて。
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怒りを含んだ声。
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地下世界を銀光が飲み込む。
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そして。
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エルナの視界は真っ白になった。




