崩壊の始まり
地下封印区画。
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銀光。
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黒炎。
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二つの力がぶつかる。
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轟音。
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広間全体が揺れた。
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エルナは目を開けていられない。
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風圧。
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魔力。
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圧力。
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どれも異常だった。
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「これは……」
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理解できない。
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今まで見てきた魔法とは違う。
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別物。
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アーヴェルが笑う。
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「未熟だな」
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黒い魔力が広がる。
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床が溶ける。
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壁が崩れる。
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ただ存在するだけで周囲を侵食していた。
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「これが今の世界か」
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「弱くなったものだ」
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その瞬間。
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レオンが消えた。
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速い。
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エルナの目でも追えない。
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次の瞬間。
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アーヴェルの背後。
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銀色の魔法陣。
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【断絶】
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轟音。
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アーヴェルが吹き飛ぶ。
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地下壁へ激突。
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巨大な亀裂。
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しかし。
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笑っていた。
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「いい」
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「実にいい」
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血を流しながら笑う。
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人間ではない。
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その時。
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バキッ。
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嫌な音。
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全員が振り向く。
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封印陣。
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中央。
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完全に崩れた。
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沈黙。
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レオンの表情が変わる。
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アーヴェルも笑顔を消した。
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「まずいな」
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初めてだった。
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アーヴェルが焦った。
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その直後。
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ゴォォォォォォォ!!
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地下全体が震える。
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今までとは違う。
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封印の崩壊ではない。
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もっと深い場所。
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もっと下。
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そこから何かが目覚めている。
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アーヴェルが下を見る。
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そして。
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小さく呟く。
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「そういうことか」
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「私は鍵だったか」
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レオンが目を細める。
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意味が分からない。
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だが。
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アーヴェルは理解したらしい。
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数百年封印された教師。
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その男ですら予想していなかった何か。
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その時。
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地面が崩れる。
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エルナの足元。
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「っ!」
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床が抜ける。
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落下。
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咄嗟に影魔法を展開。
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しかし間に合わない。
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その瞬間。
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腕。
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レオンだった。
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エルナを掴む。
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数秒。
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二人の視線が交わる。
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エルナは固まった。
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なぜ助ける。
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その疑問より先に。
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レオンが言う。
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「上へ行け」
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強い声。
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初めて聞いた。
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命令だった。
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「でも!」
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「行け」
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有無を言わせない。
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エルナは言葉を失う。
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その時。
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地下のさらに奥。
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闇の底。
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誰も到達したことのない場所で、
何かがゆっくりと目を開いた。
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アーヴェルが笑う。
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レオンはそれを見上げる。
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そして。
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初めて緊張した表情を見せた。




