封印の教師
訓練場。
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ざわめき。
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生徒たちは落ち着かなかった。
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先ほどの魔力の震え。
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誰も説明できない。
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「今の何だったんだ?」
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「結界か?」
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「気味悪いな……」
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教師たちも困惑している。
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その中で。
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レオンだけは立ち上がっていた。
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向かう先は一つ。
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旧校舎。
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しかし。
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「待ちなさい」
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後ろから声。
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エルナだった。
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レオンは振り返らない。
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「地下へ行くんでしょ」
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沈黙。
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「止めない」
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エルナが続ける。
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「でも行く」
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レオンは初めて振り返った。
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冷たい視線。
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「来るな」
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即答。
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だが。
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エルナも退かない。
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「嫌」
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短い返答。
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数秒。
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そして。
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レオンは諦めたように歩き出した。
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エルナも続く。
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地下。
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封印区画。
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二人が到着した時。
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既に異変は始まっていた。
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黒い靄。
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以前とは比較にならない。
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広間全体を覆っている。
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そして。
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封印陣中央。
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そこに立つ男。
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長い黒髪。
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痩せた体。
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古い教師のローブ。
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人間の姿。
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だが。
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人間ではない。
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その瞳だけが異様だった。
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深い闇。
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男が振り返る。
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「ほう」
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初めてレオンを見る。
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「今代の番人か」
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エルナの表情が変わる。
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番人。
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何の話だ。
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だが。
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レオンは否定しない。
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アーヴェルが笑う。
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「懐かしいな」
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「何百年経っても変わらん」
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エルナの背筋が凍る。
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何百年。
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やはり。
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こいつは。
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アーヴェル・グランツ。
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封印された教師。
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その時。
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ゴォォォッ!!
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魔力爆発。
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広間が揺れる。
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エルナが剣を抜く。
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影魔法展開。
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だが。
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アーヴェルは見もしない。
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次の瞬間。
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影が消えた。
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「なっ……!?」
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エルナの顔から血の気が引く。
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解除された。
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魔法を。
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何の動作もなく。
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アーヴェルはため息を吐く。
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「未熟」
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それだけ。
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圧倒的。
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今まで戦った誰とも違う。
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絶望的な差。
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その時。
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レオンが前へ出る。
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初めて。
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アーヴェルの視線が動く。
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「お前か」
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そして。
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少しだけ笑った。
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「なるほど」
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「そういうことか」
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意味不明な言葉。
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だが。
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レオンは表情を変えない。
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「戻れ」
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静かな声。
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アーヴェルは笑う。
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「断る」
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その瞬間。
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広間の空気が変わった。
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エルナは気付く。
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今から始まる。
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本当の戦いが。
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そして初めて。
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レオンが右手を前へ出した。
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地下広間に、
見たこともない魔法陣が浮かび上がる。




