疑念
翌日。
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学園は平静だった。
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少なくとも表面上は。
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授業。
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談笑。
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訓練。
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全ていつも通り。
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しかし。
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エルナだけは違った。
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昨夜の光景。
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地下。
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巨大な目。
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レオンの言葉。
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【早すぎる】
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頭から離れない。
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昼休み。
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エルナは一人で中庭にいた。
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考える。
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なぜ。
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レオンは地下にいた。
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なぜ。
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封印の異変を知っていた。
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なぜ。
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あんな顔をした。
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分からない。
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だが。
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一つだけ確信がある。
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レオンは何かを知っている。
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その頃。
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一年教室。
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アルフォンスが席に座っていた。
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実技試験の結果表。
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掲示された順位。
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首席。
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アルフォンス。
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二位。
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ダリウス。
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順当だった。
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しかし。
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アルフォンスの視線は別の場所にある。
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レオン・クロイツ
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順位は低い。
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それなのに。
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妙に気になる。
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「なぁ」
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ダリウスが話しかける。
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「どう思う」
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「何がだ」
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「レオン」
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沈黙。
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アルフォンスが目を細める。
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ダリウスは腕を組む。
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「気に入らない」
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「だが」
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少しだけ考える。
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「昨日の試合」
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「偶然じゃない気もする」
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アルフォンスも否定しなかった。
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初めてだった。
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二人が同じ疑問を持った。
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その頃。
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生徒会室。
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セシリアは資料を整理していた。
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封印。
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地下。
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黒ローブ。
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情報が増える。
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だが。
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真実には近付かない。
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その時。
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コンコン。
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扉が開く。
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エルナだった。
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珍しい。
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エルナが自分から来ることは少ない。
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「話がある」
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短い言葉。
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セシリアは頷く。
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そして。
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エルナは静かに言った。
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「レオンを調べたい」
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空気が止まる。
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セシリアの目が見開かれる。
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「どういう意味?」
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エルナは少しだけ迷う。
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だが。
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隠さなかった。
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「地下にいた」
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セシリアの表情が変わる。
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「……何?」
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「昨夜」
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「レオンは地下にいた」
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沈黙。
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地下。
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封印区画。
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本来なら誰も知らない場所。
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なのに。
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レオンがいた。
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セシリアの鼓動が速くなる。
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点が繋がり始めていた。
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その頃。
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校舎裏。
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レオンは一人で座っていた。
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木陰。
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静かな場所。
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誰も来ない。
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そう思っていた。
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「見つけた」
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声。
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レオンが顔を上げる。
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そこにいたのは。
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エルナ・ノクス。
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黒い瞳。
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逃がさない。
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そんな目だった。
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レオンは何も言わない。
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エルナもすぐには話さない。
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数秒。
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風だけが吹く。
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そして。
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エルナが口を開いた。
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「あなたは何を知っているの?」
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初めて。
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レオンへ向けられた、
真っ直ぐな問いだった。




