封印の悲鳴
地下広間。
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轟音。
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地面が揺れる。
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天井から砂埃が落ちる。
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封印陣。
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中央。
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巨大な亀裂。
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今まで見たどの損傷よりも大きい。
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エルナは剣を構える。
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反射だった。
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敵がいる。
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そう判断した。
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しかし。
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レオンは動かない。
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いや。
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正確には。
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動けなかった。
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封印陣を見ている。
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初めて。
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焦りを見せていた。
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「何なの」
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エルナが問う。
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返事はない。
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「答えろ」
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再び問う。
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レオンは黙っていた。
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その時。
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ゴォォォォ……
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魔力。
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地下を埋め尽くす。
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異常な量。
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エルナの顔色が変わる。
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強い。
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本能が警告していた。
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危険。
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この場にいてはいけない。
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その時だった。
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亀裂の奥。
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何かが見えた。
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目。
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巨大な目。
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人間ではない。
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生物とも思えない。
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ただ。
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見ていた。
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こちらを。
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エルナの全身に鳥肌が立つ。
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次の瞬間。
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目が消える。
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静寂。
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「今の……」
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言葉が続かない。
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レオンはまだ封印陣を見ていた。
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そして。
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小さく呟く。
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「早すぎる」
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エルナが振り向く。
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初めて聞いた。
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レオンの本音。
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だが。
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その意味を聞く前に。
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地下入口から足音。
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バルト教官だった。
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「お前ら何してる!」
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怒声。
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封印の揺れを感じ、
駆け付けたらしい。
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しかし。
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広間へ入った瞬間。
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表情が変わる。
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封印陣。
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巨大な亀裂。
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そして。
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レオンとエルナ。
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「何があった」
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誰も答えない。
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答えられない。
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老人のこと。
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目のこと。
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封印のこと。
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説明できる状況ではなかった。
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その時。
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バキッ。
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小さな音。
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全員が振り向く。
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封印陣。
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中央の一部が崩れた。
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完全に。
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空気が凍る。
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封印はまだ残っている。
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だが。
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確実に弱っている。
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バルトも理解した。
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もう時間がない。
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その頃。
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学園から離れた森。
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黒ローブの老人は立ち止まっていた。
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手には封印管理日誌。
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老人は空を見上げる。
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夜空。
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雲の隙間から月が見える。
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「間に合わなかったか……」
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静かな呟き。
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そして。
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誰もいないはずの森で、
老人はもう一人へ向かって言った。
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「計画通りですか」
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沈黙。
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返事はない。
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だが。
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老人は確信していた。
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どこかで誰かが見ている。
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昔からずっと。
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世界の裏側から。




