雷鳴の実力者
実技試験三日目。
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予選も終盤。
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残る出場者は少なくなっていた。
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当然。
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残っている者は強い。
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訓練場。
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朝から観客席は満員だった。
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理由は一つ。
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ダリウスの試合。
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「始まるぞ」
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「今年の本命だ」
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歓声。
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ダリウスは中央へ歩く。
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表情は険しい。
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対戦相手は二年生。
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かなりの実力者。
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普通なら勝負になる。
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だが。
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ダリウスは違った。
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試合開始。
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雷鳴。
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紫色の魔法陣。
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雷撃が訓練場を走る。
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轟音。
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観客席が揺れる。
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相手は防御魔法を展開。
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しかし。
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突破される。
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続けざまに第二撃。
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第三撃。
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圧倒。
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数十秒後。
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勝敗決着。
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「勝者、ダリウス・ヴァルハルト!」
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大歓声。
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マルクが飛び上がる。
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「よっしゃあ!」
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ダリウスは反応しない。
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ただ。
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アルフォンスを見る。
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まだ届かない。
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だが。
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近付いている。
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その頃。
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観客席。
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セシリアは試合を見ていた。
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強い。
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ダリウスも。
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アルフォンスも。
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だが。
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最近は別のことが気になる。
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地下。
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封印。
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黒ローブ。
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そして。
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レオン。
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視線を向ける。
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いつもの場所。
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だが。
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いない。
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「……?」
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珍しい。
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試合中に席を外すことなど、
今までなかった。
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少しだけ気になる。
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その時だった。
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訓練場入口。
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誰かが入ってくる。
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黒髪。
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レオン。
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戻ってきた。
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だが。
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セシリアは違和感を覚える。
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制服。
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袖口。
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土が付いている。
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「どこに行っていたの……?」
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小さな疑問。
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しかし。
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答える者はいない。
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試合は続く。
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次々と勝者が決まる。
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そして。
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予選最終戦。
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アルフォンス。
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対。
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ダリウス。
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会場が沸く。
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ついに来た。
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誰もが待っていた試合。
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アルフォンスが前へ出る。
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ダリウスも前へ出る。
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二人の視線がぶつかる。
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火花。
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周囲の空気が張り詰める。
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遠く。
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観客席最上段。
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カイルが目を開いた。
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「お」
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初めて。
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少しだけ興味を示す。
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隣のリヒトが笑う。
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「起きたんですか」
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「うん」
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カイルは欠伸をする。
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そして。
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訓練場中央を見る。
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アルフォンス。
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ダリウス。
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学園屈指の実力者同士。
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誰もが注目している。
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だが。
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カイルの視線は、
その後ろにいた。
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観客席。
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無表情で試合を見ているレオン。
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数秒。
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カイルは目を細める。
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「やっぱ変だな」
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理由は分からない。
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ただ。
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何かがおかしい。
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学園最強の直感だけが、
静かに警鐘を鳴らしていた。




