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魔法学園のマキャヴェリ  作者: Kk


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3/25

生徒会長の評価

レオン・クロイツが嫌いだ。


セシリア・アルバートは心の底からそう思っていた。



朝。


生徒会室。


窓から差し込む光が机を照らしている。



セシリアは一枚の書類を見ていた。



問題行動報告書。



名前はもちろん。


レオン・クロイツ。



「また授業離脱……」



ため息が漏れる。



遅刻。


居眠り。


無断離席。


授業欠席。



並べれば酷いものだった。



どうして退学にならないのか。


本気で不思議に思う。



王国最高峰の魔法学園。


努力する生徒はいくらでもいる。



なのに。



あの少年だけは違う。



やる気がない。


向上心も見えない。


誰とも関わろうとしない。



それでいて、


どこか他人を見下しているようにも見える。



「本当に嫌な人……」



自然と呟いていた。



コンコン。



扉が鳴る。



「失礼します」



入ってきたのはバルト教官だった。



「おはようございます」



「おう」



バルトは苦笑する。



「またレオンの資料か?」



セシリアは少し恥ずかしくなった。



「気になりまして」



「生徒会長も大変だな」



バルトは椅子へ腰掛ける。



そして窓の外を見る。



訓練場。



遠くにレオンの姿が見えた。



一人で歩いている。



周囲には誰もいない。



「友達いないんですかね」



セシリアの言葉。



バルトは答えない。



ただ少しだけ考え込む。



最近。


妙なことが増えていた。



結界異常。



原因不明。



しかし必ず直っている。



誰がやったのか分からない。



証拠もない。



「……」



ふと。



頭に浮かぶ。



レオン。



すぐに打ち消した。



あり得ない。



あいつにそんなことができるはずがない。



「教官?」



「ああ、いや」



バルトは立ち上がる。



「今日は巡回当番だったな」



「はい」



「気を付けろ」



そう言って部屋を出ていった。




昼休み。



セシリアは学園内を巡回していた。



生徒会長の仕事の一つ。



特に異常はない。



今日も平和だ。



そう思った時だった。



校舎裏。



人の気配。



セシリアは足を止める。



「誰?」



静かな場所。



人気もない。



普通なら誰も来ない。



視線の先。



そこにはレオンがいた。



壁にもたれて座っている。



「……」



目を閉じている。



寝ているらしい。



セシリアの眉が動く。



授業時間だった。



「またですか」



近付く。



本当に呆れる。



学園中が努力しているのに。



この少年だけは違う。



「レオン」



呼びかける。



返事はない。



「レオン」



もう一度。



反応しない。



セシリアは肩を掴もうとして、


止まった。



傷。



腕。



制服の隙間。



包帯。



血が滲んでいた。



「え……?」



思わず声が漏れる。



戦闘訓練ではない。



あんな傷になるはずがない。



セシリアが目を凝らした瞬間。



レオンが目を開いた。



「……何か用ですか」



相変わらず無表情。



だがその目だけは少し疲れていた。



「その傷……」



レオンは腕を見る。



数秒。



そして。



「転びました」



「そんな傷になるわけ」



「なります」



即答だった。



明らかな嘘。



だが本人はそれ以上話す気がない。



沈黙。



風が吹く。



セシリアは苛立った。



この男はいつもそうだ。



何も話さない。



何も見せない。



だから余計に分からない。



「ちゃんと保健室へ行ってください」



それだけ言う。



レオンは少しだけ首を傾げた。



そして。



「分かりました」



小さく答えた。



セシリアはその場を離れる。



だが。



数歩進んだところで振り返る。



レオンはもういなかった。



「え……?」



さっきまでそこにいた。



数秒も経っていない。



なのに。



誰もいない。



静かな校舎裏。



風だけが吹いていた。



セシリアは知らない。



その瞬間。



学園外周の結界に、


再び異常が発生していたことを。



そして。



そこへ向かっている少年が、


誰だったのかを。


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