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魔法学園のマキャヴェリ  作者: Kk


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2/25

誰も知らない夜

学園の鐘が鳴る。


授業終了。


生徒たちは友人たちと談笑しながら校舎を後にする。


訓練場ではまだアルフォンスの話題で盛り上がっていた。



「やっぱ首席はすごいな」



「レオンなんて相手になってなかったしな」



笑い声が響く。



その輪の中にレオンはいない。



学園の裏手。


結界塔。



赤い瞳の魔族は壁に叩きつけられていた。



「ぐ……」



骨が砕ける音。



だがレオンは表情を変えない。



黒い亀裂から侵入した魔族。


本来なら王国騎士団が出動する案件だ。



しかし。



「なんでここにいる」



レオンの問い。



魔族は笑った。



『知らぬのか』



「何を」



『始まるぞ』



沈黙。



『また始まる』



次の瞬間。


魔族の身体が崩壊した。



自壊。



レオンは眉をひそめる。



魔族は死んだ。


だが最後まで何も語らなかった。



残されたのは違和感だけ。



「……またか」



レオンは空を見上げた。



夕焼け。



だが何かがおかしい。



最近増えている。


こういうことが。



結界異常。


侵入者。


禁術反応。



一つ一つは小さい。



しかし確実に増えている。



まるで。



何かが準備をしているように。



レオンは結界塔へ手を置く。



青白い光。



壊れていた結界が修復されていく。



本来なら複数の教師が必要な作業。



数秒で終わる。



レオンは何事もなかったように手を離した。



「帰るか」



誰にも知られず。



誰にも感謝されず。



いつも通りだった。



その頃。



職員棟。



バルト教官は一枚の紙を見ていた。



出席記録。



レオン・クロイツ。



遅刻。


欠席。


授業離脱。



問題だらけ。



「本当に困ったやつだ」



そう呟く。



だが。



教官の視線は別の紙へ移った。



結界管理記録。



そこには奇妙な内容が書かれている。



三日前。


異常発生。


数分後。


自然復旧。



五日前。


異常発生。


数分後。


自然復旧。



七日前。


異常発生。


数分後。


自然復旧。



全部同じ。



「自然復旧……?」



そんなことはあり得ない。



学園結界はそんな簡単な代物ではない。



だが記録上はそうなっている。



誰かが直している。



しかし誰も報告していない。



バルト教官は椅子にもたれた。



ふと。



今日のことを思い出す。



レオンが消えた時間。



結界異常が起きた時間。



偶然。



ただの偶然だ。



そう思った。



だが胸の奥に小さな棘が残る。



「まさかな……」



窓の外。



夜が訪れる。



学園の生徒たちは知らない。



今夜もまた。



誰かが学園を守っていたことを。



そして。



学園の外。


遥か遠く。



森の奥。



誰も近付かない廃神殿。



暗闇の中で。



一人の男が目を開いた。



黄金色の瞳。



静かな声。



「失敗したか」



まるで。


何千年も生きてきたような声だった。



男は立ち上がる。



そして誰もいない空間へ語りかけた。



「面白い」



「まだいるのか」



その口元に笑みが浮かぶ。



だがその笑みには温度がなかった。



まるで世界そのものに飽きているような。



「なら、もう少しだけ見てみよう」



夜風が吹く。



誰も知らない。



世界を救った英雄が、


今もどこかで生きていることを。


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