封印を守る者
翌朝。
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学園中に噂が広がっていた。
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昨夜。
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教師たちが慌ただしく動いていた。
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何かあった。
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生徒たちはそう感じている。
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だが。
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当然。
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真実は知らない。
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「また旧校舎らしいぞ」
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「最近多くないか?」
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「なんか怖いよな」
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そんな話を聞きながら、
セシリアは教室へ向かっていた。
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昨夜の出来事が頭から離れない。
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消えた日誌。
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黒いローブ。
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そして。
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【封印は守られるべきだった】
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という言葉。
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あの人物は。
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敵なのか。
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味方なのか。
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分からない。
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昼休み。
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生徒会室。
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セシリア。
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アルフォンス。
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バルト。
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三人は再び集まっていた。
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「妙なんだ」
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バルトが口を開く。
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机の上には紙。
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昨夜の筆跡分析結果。
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「同じ人物の可能性が高い」
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「何がですか」
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「地下の壁」
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【封印は既に破られている】
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「昨夜の紙」
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【封印は守られるべきだった】
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セシリアが息を呑む。
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同じ人物。
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つまり。
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地下へ入った人物。
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そして。
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日誌を持ち去った人物。
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同一人物。
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アルフォンスが腕を組む。
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「矛盾しているな」
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「どういう意味だ」
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「封印は破られている」
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「だが守るべきだった」
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確かに。
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おかしい。
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破った側なら。
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守るべきだったなどとは書かない。
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つまり。
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その人物は。
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封印を破った者ではない。
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封印が破られた事を知っている者。
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その可能性が浮上した。
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沈黙。
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その時。
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学園長が現れる。
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「一つ分かったことがある」
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全員が顔を上げる。
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学園長は古い資料を机へ置いた。
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学園創立記録。
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かなり古い。
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そして。
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その中の一文。
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【第七封印管理者 三名】
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三名。
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「封印を維持する役目だ」
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学園長が説明する。
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「当時は定期的に地下へ入っていたらしい」
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「その三人は?」
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セシリアが聞く。
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学園長は静かに首を振る。
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「名前が消されている」
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まただった。
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誰かが消している。
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徹底的に。
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「だが」
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学園長が続ける。
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「一人だけ分かった」
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全員の視線が集まる。
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学園長は資料を指差した。
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そこには。
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掠れた文字。
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【アーヴェル・グランツ】
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封印された教師。
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つまり。
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封印対象であり。
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封印管理者でもあった。
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部屋の空気が変わる。
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あり得ない。
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封印される者が。
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封印を管理していた。
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何かがおかしい。
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その夜。
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学園の外れ。
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誰も来ない森。
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黒いローブの人物が立っていた。
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手には日誌。
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消えたはずの封印管理日誌。
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人物は静かにページを閉じる。
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そして小さく呟いた。
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「遅すぎた」
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声は老人のものだった。
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「もう始まっている」
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そのまま森の奥へ消える。
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誰にも見つからず。
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誰にも知られず。
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ただ一人。
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封印の真実を知る者が動き始めていた。




